業界トップクラスの高効率とソフトスイッチングを両立した650V耐圧IGBT 「RGTV/RGWシリーズ」を開発
ローム株式会社(本社:京都市)は、UPS(無停電電源装置)や溶接機、パワーコンディショナーなどの産業機器やエアコン、IH(誘導加熱)などの民生機器の汎用インバータおよびコンバータでの電力変換に最適で、業界トップクラスの低導通損失※1)および高速スイッチング特性を両立させた650V耐圧IGBT※2)「RGTVシリーズ(短絡耐量※3)保持版)」、「RGWシリーズ(高速スイッチング版)」、あわせて計21機種を新たに開発しました。
今回開発した新シリーズは、薄ウエハ技術および独自構造を採用することで、トレードオフの関係にある低導通損失および高速スイッチング特性において、業界トップクラスの性能を両立しました。例えば、インターリーブPFC回路で使用した場合、従来品比で軽負荷時に1.2%、重負荷時に0.3%の高効率化を達成し、アプリケーションの低消費電力化に貢献します。またデバイス内部の最適化を行うことで、スムーズなソフトスイッチングを実現。同等効率の一般品と比較した場合、電圧のオーバーシュート※4)を50%低減できたことで、従来必要とされていた対策部品などの搭載点数を削減するとともに、大幅な設計負荷低減に寄与します。
なお、本シリーズは、12月より当面月産10万個の体制で量産(サンプル価格400円~/個:税抜)を開始しております。生産拠点は、前工程がラピスセミコンダクタ宮崎株式会社(宮崎県)、後工程がROHM Integrated Systems (Thailand)(タイ)となります。
<背景>
近年、IoT化によるデータ量増加にともない、データセンターの高機能化が求められています。サーバー本体はもちろん、本体電源の安定供給を行うために不可欠なUPSなどを含め、システム全体で消費電力量が大幅に増えており、低消費電力化が課題となっています。
また、IGBTを使用する大電力アプリケーションでは、機器の信頼性確保のため、デバイスの故障や機器の誤動作につながるスイッチング時のオーバーシュート対策が必須となっており、簡易化のニーズがありました。
<特長>
<ラインアップ>
短絡耐量2μs保持が特長のRGTVシリーズと高速スイッチング性能が特長のRGWシリーズの2種類をラインアップに加えることで、幅広いアプリケーションに対応できるようになります。
NEW RGTVシリーズ(短絡耐量保持版)
NEW RGWシリーズ(高速スイッチング版)
<アプリケーション>
産業機器(UPS(無停電電源装置)、溶接機、パワコン等)、エアコン、IH(誘導加熱) など
<用語説明>
※1) 導通損失
MOSFETやIGBTなどトランジスタではデバイス構造上、電流が流れる際に電圧降下が生じる。
導通損失は、このデバイスの電圧降下により発生する損失のこと。
※2) IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)
MOSFET の高速スイッチング特性とバイポーラ・トランジスタの低導通損失特性を
併せ持ったパワートランジスタのこと。
※3) 短絡耐量
デバイス破壊を引き起こす短絡(電子回路の2点が低抵抗値の抵抗器で接続すること)
に対する耐量のこと。
※4) 電圧のオーバーシュート
スイッチングON/OFFする際に規定の電圧値を超える値が発生すること。
ロームは、1958年(昭和33年)設立の半導体・電子部品メーカーです。自動車・産業機器のほか、民生・通信など多様な市場に対し、品質と信頼性に優れたLSIやディスクリート、電子部品を供給するとともに、システム全体を最適化するソリューション提案を行っています。