~ノーベル・プライズ・インスピレーション・イニシアチブの一環として~
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:デイヴィド・フレドリクソン、以下、アストラゼネカ)は、2016年11月8日、9日、エイズウイルス(HIV)の発見により2008年ノーベル生理学・医学賞を受賞したフランソワーズ・バレシヌシ博士を招聘した公開講座を、ノーベル・プライズ・インスピレーション・イニシアチブの一環として、東京大学と京都大学で開催しました。当日は、午前の部の基調講演と午後の部のパネルディスカッションに、大学生や若手研究者などを中心に延べ528名が参加し、ノーベル賞受賞者の貴重な話に耳を傾けました。
それぞれの会場で午前に行われた基調講演では、バレシヌシ博士が“世界が抱える医療の課題:HIV発見から21世紀を考えて”をテーマに、ノーベル賞を受賞した自身のHIV研究や、AIDSの治療に使われる新しい抗ウィルス薬に関する一連の開発について話しました。バレシヌシ博士は「完治が難しいとされているHIV研究が前進する上で、研究者同士が粘り強くかつ辛抱強く研究に取り組むことや、グローバル規模での研究連携が必須だが、それだけでは不十分である。政府や公的機関と民間企業の連携、情報提供のためのプラットフォーム構築、地域コミュニティの協力など、さまざまな団体が協力し合い努力することでのみ達成し得る」と述べ、HIV研究のこれから取り組むべき課題を挙げました。来場者はHIV研究の歴史と治療の現状について学ぶと同時に、基礎研究に取り組む研究者のマインドと、研究室を越えた社会との関わり方について考えを深めました。
午後に行われたパネルディスカッションでは、バレシヌシ博士に加えて、パネリストとして日本の官民学を代表する女性科学者が登壇し、“My Science Career~多様なステップで拓くサイエンスキャリア~”をテーマに、女性科学者のキャリア形成について議論しました。東京会場では登壇者から「今は実績があれば性別に関係なく適切に評価されているが、昔は女性だからというだけで科学者として認められなかった」と、女性科学者の受け入れられ方が昨今では変化している点に触れました。また、キャリア形成として20代でやったほうがよいこととして「自分と同じ専門分野の人だけではなく、それ以外の分野の人とも積極的にコミュニケーションをとることで、視野が広がり、自分のやりたいことや興味があることが明確になる」「自分にとって何がモチベーションで、どう高く保つかを知ることが重要」とアドバイスしました。
京都会場では、研究に失敗はつきものである点に触れ、つまずいたり調子が悪い時期をどう乗り越えるか、という会場からの質問に「我慢強く研究に集中する」「患者さん等自分以外の誰かの為にやっていることを忘れない」「研究はやらなければいけないものではなく、自分が好きだからやっているということを思い出す」など登壇者がそれぞれの考え方を語りました。
イベントに参加した学生からは、「ノーベル賞を受賞されたバレシヌシ博士の研究成果や考え方を伺い、将来患者さんの助けになるような研究がしたいと思った」「専門分野以外の人との交流も大切にし、自分の興味や関心を見つけることが、今後のキャリアを考える上で大切だと感じた」等の声が聞かれました。
本プロジェクトの日本チームのリーダーである、アストラゼネカメディカル本部循環器/代謝領域統括部長 橋上 聖は「アストラゼネカは、“What Science Can Do”(サイエンスにできること)という企業スローガンのもと、“サイエンスのリーダーシップを実現すること”を戦略の1つに掲げています。業界のリーダーとして、若い学生や研究者の皆さんに、偉大な功績を残されたバレシヌシ先生から直接お話を聞ける機会を提供できたことをとても嬉しく思います。今回の交流の機会によって、学生や若手研究者の皆さんが、自分たちの中に秘めた今後の日本のサイエンスの進展に貢献していく可能性を、実感してくれれば幸いです。会場を提供してくださった東京大学ならびに京都大学、パネリストの先生方、司会やモデレーターを担当してくださった皆さま、この企画に賛同しご協力くださったすべての関係者に心より御礼申し上げます」と述べました。
本公開講座は、ノーベル・メディア AB (本社:スウェーデン・ストックホルム、CEO:Mattias Fyrenius、以下、ノーベル・メディア社)が、世界各国でノーベル賞受賞者のもつインスピレーションを与えるストーリーや洞察力を、人々と共有することを目的に実施しているノーベル・プライズ・インスピレーション・イニシアチブの一環として、ノーベル・メディア社とアストラゼネカのパートナーシップによって企画・運営しました。
以上
写真:講演するバレシヌシ博士、東京会場でのパネルディスカッションの様子、聴講者との交流、熱心に聴講する学生や研究者の参加者
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■フランソワーズ・バレシヌシ博士について
1947年生まれ。パリ大学卒業。 現在、パスツール研究所所属。1983年に、HIVを発見し、2008年ノーベル生理学・医学賞受賞。日本で薬害エイズ事件が発生した際には、エイズ研究の専門家としての証言が注目された。
■ノーベル・メディア社について
ノーベル・メディア社(Nobel Media AB)は、ノーベル賞を受賞した業績についての知識を広めると同時に、アルフレッド・ノーベルの理念に従い、遺産を活用して、科学、文学、そして平和への関心を喚起するための活動を行っています。世界中で開催するインスピレーションを鼓舞するようなノーベル賞受賞者の講演イベントはもちろん、ノーベルプライズ・コンサートや公式WebサイトであるNobelprize.org、ポッドキャストなどのデジタルメディアや放送番組を活用した高品質なコンテンツを通じて、世界中の皆さんにノーベル賞受賞者の声を届けています。同社はまた、ノーベル賞授賞式の生中継の権利や、出版ライセンス、ビデオ販売などを手がけています。
Nobel Media(R) とNobel Prize(R)は、ノーベル財団の登録商標です。ノーベル・メディアABは直接的にも間接的にも、ノーベル賞受賞者のノミネートや選考のプロセスに関与していません。これらの手続きは極秘とされ、いくつかの異なるノーベル賞授与機構により、それぞれ独立して厳格に管理されています。
■ノーベル・プライズ・インスピレーション・イニシアチブについて
ノーベル・プライズ・インスピレーション・イニシアチブは、ノーベル賞受賞者が、自身がもつインスピレーションを与えるようなストーリーや洞察力を、人々と共有することを目的にしたグローバル規模のプログラムです。世界中の大学やリサーチセンターへのノーベル賞受賞者の訪問やビデオメッセージを通じて、ノーベル賞受賞者が世界中の若手科学者などのサイエンス・コミュニティと、より密接な交流ができるよう取り組んでいます。
このプログラムは、ノーベル賞のメディア権利管理会社であるノーベル・メディア社が、イノベーション志向のグローバルバイオ・医薬品企業として、サイエンスのリーダーシップを主要戦略として掲げるアストラゼネカ社の協力のもとに運営・実施しています。ノーベル・メディアとアストラゼネカは、2010年より中国、インド、韓国、欧州、ロシア、ブラジル、米国でのイベントを共同実施しています。
ノーベル・プライズ・インスピレーション・イニシアチブのイベント期間はそれぞれ2~3日で、期間中、ノーベル賞受賞者は若手科学者との交流を深めることを目的として、基調講演や質疑応答セッション、パネルディスカッションに参加します。
公式Webサイト: www.nobelprize.org
Twitter: @NobelPrizeii
Facebook: www.facebook.com/Nobelprize.org
YouTube: www.youtube.com/nobelprize
Google +: plus.google.com/+NobelPrize
■アストラゼネカ株式会社について
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に呼吸器・自己免疫疾患、循環器・代謝疾患、オンコロジーの3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
http://www.astrazeneca.com をご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、呼吸器・自己免疫疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社については
http://www.astrazeneca.co.jp をご覧ください。
<お問い合わせ先>
アストラゼネカ株式会社
東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館
コーポレートアフェアーズ統括部 池井
JPN.Ex.Comm@astrazeneca.com
TEL: 03-6268-2800 / 070-1369-2228
<ご参考>
実施概要
■ 11月8日(火)東京大学 伊藤国際学術研究センターB2F「伊藤謝恩ホール」
■ 11月9日(水)京都大学 芝蘭会館2F「稲盛ホール」
<午前の部:基調講演>
「From HIV’s discovery to global health challenges of the 21st Century」
世界が抱える医療の課題:HIV発見から21世紀を考えて
フランソワーズ・バレシヌシ博士
司会: 東京会場 飯田香織氏(NHK報道局経済部 副部長)
京都会場 岩崎真季氏(通訳・司会フリーランス)
モデレーター:坂内博子氏(国立研究開発法人 科学技術振興機構)
<午後の部:シンポジウム>
「My Science Career~多様なステップで拓くサイエンスキャリア~」
登壇者:
・東京会場
フランソワーズ・バレシヌシ博士
大西由希子氏(朝日生命成人病研究所附属医院 糖尿病代謝科 治験部長)
後藤由季子氏(東京大学大学院 薬学系研究科 分子生物学教室 教授)
佐藤淳子氏(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 国際協力室 室長)
司会&モデレーター:飯田香織氏(NHK報道局経済部 副部長)
・京都会場
フランソワーズ・バレシヌシ博士
佐藤淳子氏(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 国際協力室 室長)
高橋淑子氏(京都大学大学院理学研究科 生物科学専攻 教授)
濵崎洋子氏(京都大学大学院医学研究科 感染免疫学講座免疫細胞生物学 准教授)
モデレーター:東京会場 飯田香織氏(NHK報道局経済部 副部長)
京都会場 アダム・スミス(ノーベル・メディア)
司会:東京会場 飯田香織氏(NHK報道局経済部 副部長)
京都会場 岩崎真季氏(通訳・司会フリーランス)
開催:ノーベル・メディア社、アストラゼネカ株式会社、東京大学、京都大学