Y染色体がなくてもオスになる Y染色体をもたない哺乳類の性決定メカニズムの一端が明らかに -- 北海道大学
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【リリース発信元】 大学プレスセンター http://www.u-presscenter.jp/
・Y染色体がないのにオスが生まれてくるネズミで遺伝子を解析。
・Y染色体上の性決定遺伝子は消失しているが、その他のオス化に関わる遺伝子とホルモンが働くことを確認。
・Y染色体がなくてもオスが生まれる仕組みの一端を明らかに。
◆研究成果の概要
私たちヒトをはじめとする有胎盤哺乳類では、性染色体の組み合わせがXXだと女性(メス)、XYだと男性(オス)になる。これはY染色体にある性決定遺伝子、SRY遺伝子が男性(雄性)化を決めるからである。しかし、奄美大島に固有のアマミトゲネズミ(Tokudaia osimensis)は、哺乳類でありながらY染色体を失っており、オスもメスもX染色体を1本しかもたない(XO)。さらに、SRY遺伝子も失っているが、なぜかこの種ではオスが生まれてくる。Y染色体やSRY遺伝子がないのにどうやってオスが生まれてくるのか、その謎はよくわかっていなかった。
今回、黒岩教授らはSRY遺伝子以外のオス化に関わる遺伝子やホルモンが、アマミトゲネズミで働いていることを新たに見いだした。私たちヒトのY染色体は多くの遺伝子を失っており、いつか消滅してしまうと考えられている。本研究の成果は、Y染色体がなくても雄性を維持できる仕組みの一端を明らかにしたもの。
◆論文発表の概要
研究論文名: Molecular mechanism of male differentiation is conserved in the SRY-absent mammal, Tokudaia osimensis(SRY遺伝子をもたない哺乳類でも雄性分化の仕組みは保存されている)
著者: 大竹智史(北海道大学大学院生命科学院)、黒岩麻里(北海道大学大学院理学研究院)
公表雑誌: Scientific Reports
公表日: 日本時間(現地時間) 2016年9月9日(金)午後6時(英国時間 2016年9月9日(金)午前10時) (オンライン公開)
※リリース全文は、PDFファイルを参照願います。
▼本件に関する問い合わせ先
北海道大学大学院理学研究院 教授 黒岩 麻里(くろいわ あさと)
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