神経線維腫症1型における全身の白血球バランスの異常を発見

学校法人慈恵大学

〜白血球の変化に明確な性差を世界で初めて明示〜

東京慈恵会医科大学の延山嘉眞教授らの研究グループは、指定難病「神経線維腫症1型(NF1)」の患者を対象とした血液データ解析により、全身の白血球バランスが通常と大きく異なることを突き止めました。さらに、この免疫細胞(白血球)の変化パターンに明確な「性差(男女差)」があることを世界で初めて明らかにしました。

NF1は全身に皮膚のシミや神経腫瘍が現れる遺伝性疾患です。症状の現れ方には個人差や男女差(性差)がありますが、その理由は未解明でした。近年、様々な疾患で免疫システムの関与が注目されていますが、NF1患者における血液中の免疫細胞の全体像や性差は詳しく分かっていませんでした。そこで、日本人NF1患者225名と非罹患者87名のデータを、年齢・性別を揃えて精密に比較解析しました。
  • 白血球バランスの偏り(男女共通):NF1患者では、炎症や異物排除に関わる白血球(好中球、単球、好塩基球)が増加し、免疫の司令塔を担当する白血球(リンパ球)や、アレルギー等に関わる白血球(好酸球)が減少していました。
  • 免疫変化に見られる「明確な性差」:「偏り」の程度に男女差があり、男性患者では好中球の増加とリンパ球の減少が、女性患者では単球の増加と好酸球の減少がより顕著でした。
本研究は、NF1が局所の腫瘍だけでなく「全身の免疫バランス変化」を伴う疾患であることを示しました。NF1は脳腫瘍の発生等に男女差があることが知られており、今回発見された免疫の性差はそのメカニズムを解明する重要な手がかりとなります。将来的には、性別や免疫状態に応じた個別化医療や、腫瘍環境を標的とした新薬開発への貢献が期待されます。

本研究の成果は、2026年6月30日に国際学術雑誌であるFrontiers in Immunology誌に掲載されました。

メンバー:
東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座 教授 延山嘉眞
東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座 助教 今井聡子
東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座 研究技術員 冨永美菜子
東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座 主任教授 朝比奈昭彦

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