【ポイント】
・サクリピンが皮膚の老化に関与するエラスターゼ活性を阻害することを発見。
・サクリピンが肌の美容成分であるコラーゲンとヒアルロン酸の産生を促進することを発見。
・サクリピンが肌の美白効果(チロシナーゼ活性阻害、メラニン生成抑制)を示すことを発見。
・サクリピンが光および熱に対して安定な化合物であることを実証。
詳細については添付PDFまたは本学サイト(
https://www.meijo-u.ac.jp/news/asset/8c491ae21a7d31abde8edea35c1f5077.pdf )からご覧いただけます。
【概要】
スイゼンジノリは、古くから日本で食用利用されているラン藻(シアノバクテリア)の一種で、九州地方の一部でしか分布が確認されていない日本固有種です。環境省によって絶滅危惧 I 類に指定されており、収穫量が年々減少しています。
名城大学大学院総合学術研究科の景山伯春教授、本田真己准教授、内田美重大学院生らの研究チームは、2023年にスイゼンジノリがつくる新奇な紫外線吸収物質「サクリピン」を発見しました。その際、サクリピンが日焼けや日焼けによる炎症を引き起こすUVAおよびUVB領域の波長をよく吸収することと、アンチエイジングに寄与する抗酸化活性・抗糖化活性を示すことを報告しました。研究を進め、今回、研究チームは、サクリピンが有する肌質改善作用として、エラスターゼ活性阻害、チロシナーゼ活性阻害、メラニン生成抑制作用、コラーゲンおよびヒアルロン酸の産生促進作用を新たに発見しました。また、サクリピンが光照射および熱に対して化学的に安定な化合物であることを実証しました。これらの成果は、サクリピンがスキンケア化粧品への配合剤として有望な天然由来化合物であることを示しています。
研究成果は2024年11月2日(日本時間)に米国化学会が刊行する国際科学雑誌「ACS Agricultural Science & Technology(電子版)」に掲載されました。
自然界において、スイゼンジノリは環境変化の影響で絶滅が危惧される状態になっていますが、食用海苔同様に養殖が可能です。サクリピンの応用利用によってスイゼンジノリの需要が増えることは、養殖業や環境保全活動の活性化につながる慶事であり、絶滅回避につながることが期待されます。
【掲載論文】
雑誌名:ACS Agricultural Science & Technology
タイトル:Photo- and thermo-chemical properties and biological activities of saclipins, UV-absorbing compounds derived from the cyanobacterium Aphanothece sacrum
(食用ラン藻 Aphanothece sacrum 由来の紫外線吸収物質「サクリピン」光および熱化学的性質と生理活性)
著者情報:
Yoshie Uchida(内田美重・名城大学大学院総合学術研究科・大学院生)
Masaki Honda(本田真己・名城大学大学院総合学術研究科・准教授)
Rungaroon Waditee-Sirisattha(ルンガルーン・ワディティーシリサッタ・チュラロンコン大学理学部微生物学科・教授)
Hakuto Kageyama(景山伯春・名城大学大学院総合学術研究科・教授)
掲載日時:2024年11月2日(日本時間)に電子版に掲載
DOI: 10.1021/acsagscitech.4c00571
【本件に関するお問い合わせ先】
・研究内容に関すること
名城大学大学院総合学術研究科 教授
景山 伯春(かげやま はくと)
Tel: 052-838-2609
Email: kageyama@meijo-u.ac.jp
・広報担当
名城大学渉外部広報課
Tel: 052-838-2006
Email: koho@ccml.meijo-u.ac.jp
▼本件に関する問い合わせ先
名城大学渉外部広報課
住所:愛知県名古屋市天白区塩釜口1-501
TEL:052-838-2006
FAX:052-833-9494
メール:koho@ccml.meijo-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/