「信頼で世界をつなぐ」をビジョンに掲げ、日本の政府開発援助(ODA)実施機関として開発途上国への国際協力を行っている独立行政法人国際協力機構(理事長:田中明彦、本部所在地:東京都千代田区、以下:JICA)は、ウクライナ公共放送局(UA:PBC)が非常事態下でも公共放送が継続できるよう大型中継車を供与し、8月19日(月)、UA:PBC本部(キーウ市)にて引き渡し式を行いました。
ウクライナでは、2022年2月のロシアの侵攻以降、多数の放送施設・機材が破壊され、国民に正確、公平、公正な情報を届けることが困難な情勢です。JICAでは、過去の支援も踏まえつつ、PBC本局が機能不全になった場合でも放送を継続できるよう、バックアップセンターの整備、拠点局の機能強化、さらにはアーカイブ改善等、組織改革を支援しています(※)。今回の供与はこの支援の一環として行われ、中継車は今後、ウクライナ各地の被災状況に関する報道や、各種情報番組・教育番組等の制作にも活用される予定です。
引き渡し式には松田邦紀・駐ウクライナ日本大使、増田淳子JICAガバナンス・平和構築部長らが出席し、ミコラ・チェルノティツキーUA:PBC会長より日本の支援に対する謝意が述べられました。
談話:
松田邦紀・駐ウクライナ日本大使:「中継車がウクライナの人々にとって、戦争が終わった後でも、正確な情報へのアクセスやプロパガンダに対抗する努力のシンボルとなることを期待します。」
ミコラ・チェルノティツキーUA:PBC会長:「この中継車の供与により、スポーツやカルチャーなども含め、多様な番組作りが可能になります。日本の継続的な支援に感謝しています。」
供与式にて、引渡証明書を手に微笑むミコラ・チェルノティツキー会長(左)、松田邦紀駐ウクライナ日本大使(中央)、増田淳子JICA ガバナンス・平和構築部長(左)
今回供与された中継車
JICAでは、UA:PBCに対し、これまで発電機やジャーナリスト向けラップトップ・コンピューターの供与を行ってきましたが、今回、大型中継車が導入されたことにより、UA:PBCの取材・番組制作能力のさらなる向上が期待されます。加えて、UA:PBCは、インターネット上を中心に偽・誤情報が氾濫する中、中継車を活用しながら緻密な現場取材に基づくファクト・チェックを行い、信頼できる情報を提供していく意向を示しています。
(※)UA:PBCに対するこれまでの支援
2017年1月~2022年3月、「公共放送組織体制強化プロジェクト」を実施し、UA:PBCの番組制作能力、機材の維持管理能力の強化及び緊急報道体制の構築等を支援。
2022年2月のロシアの侵攻以降を受け、2023年2月に「公共放送組織体制強化プロジェクトフェーズ2」を開始。非常事態下、UA:PBC本局が機能不全になった場合でも放送を継続できる体制構築を支援中。
■独立行政法人国際協力機構(JICA)について
JICAは、開発途上国が直面する課題を解決するため、技術協力、有償資金協力、無償資金協力など日本の政府開発援助(ODA)を一元的に担う二国間援助の実施機関で、150以上の国と地域で事業を展開しています。
国際社会の課題は日本とも密接に関係しています。国内外のパートナーと協力してそれらの解決に取り組み、世界の平和と繁栄、日本社会の更なる発展に貢献します。
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