デロイト、新たなレポートを発表:アジア パシフィックの企業には事業ポートフォリオのリバランスが急務、今後18カ月間で2件以上の事業売却を検討している企業経営者は79%

本ページに掲載されている情報は2024年7月15日に、デロイト アジア パシフィックが配信した内容を翻訳したものです。なお、この翻訳文と原文(英語)に相違がある場合は、原文の記載事項を優先します。
  • 59%の企業が、少なくとも年に2回はポートフォリオのパフォーマンスを評価しており、2022年の46%から上昇
  • 調査対象となった経営者の95%は、過去12カ月から18カ月の間に売却を断念
  • 回答者の99%は、従来型の売却以外に、代替的な出口戦略を少なくとも1件検討
  • 回答者の52%が、直近の事業売却においてESGファクターが頻繁に議題に上ったと回答

デロイト アジア パシフィックのレポート「事業ポートフォリオリバランス~サステナブルな成長の実現~」によると、アジア パシフィック地域の企業は、成長の機会に向けた事業ポートフォリオのリバランスや、自社戦略に合わなくなった保有資産の売却を模索しており、その中で、自社の事業ポートフォリオの厳密な精査が急務になっていることが浮き彫りになりました。
本レポートでは、アジア パシフィック地域の企業の戦略目標の変化や、事業ポートフォリオの見直しを促す要因について調査しました。調査対象は非上場または上場企業の経営者250人で、大半は売上高10億ドル以上の企業です。

5つの外部要因によって事業ポートフォリオのリバランスの必要性が高まっています
  • 地政学リスクへの対応
    市場サプライチェーン、取引先の変更等のリスクヘッジの必要性の高まり
  • 資本効率に関する規制の強化
    (日本、韓国、おそらくその他のアジア諸国において)資本効率性に関する開示および改善策の実行に関する要求の高まり
  • 株主アクティビズムの活発化
    業績不振の事業やノンコア事業の売却についての企業への圧力
  • ESGとネットゼロの取り組み
    取締役会と経営陣への「グリーンな事業ポートフォリオ」への移行に沿った案件の実行や事業売却のプレッシャーの増加
  • プライベートエクイティの役割の高まり
    ポートフォリオ最適化において、投資家や潜在的なパートナーとしてプライベートエクイティが果たす役割に対する期待の高まり
調査からは、経営者や取締役会が、これらの外部要因に適応していくためには、積極的な事業ポートフォリオ管理が重要であることが明らかになりました。本レポートでは、成長機会やシナジーを的確に捉え、「レジリエンス」と「変革的な成長」の2つの観点から、事業ポートフォリオ リバランスを意識し、積極的に実践していくことの重要性をうたっています。

デロイト アジア パシフィック ストラテジー・リスク・トランザクションリーダー Jiak See Ngは、本レポートに関して次のように述べています。「世界経済を変容させている大きな力は、アジア パシフィックの企業にも非常に大きな影響を与えています。地政学上の緊張、サステナビリティに向けた大きな流れ、投資家からの圧力といった外部要因に対して、企業として競争力を保ち、事業売却に備えていくために、事業ポートフォリオを積極的にリバランスする必要があります。デロイトのレポートでは、長期的な成長や価値創造に向けて、企業の戦略ビジョンに沿ったダイナミックな事業ポートフォリオの見直しプロセスが必要であることが明確に示されています。」

案件価値を高める最も大切なドライバーはESG
本調査によると、回答者の半数以上(52%)が直近の事業売却においてESGへの配慮が頻繁に議題に上ったと述べています。ESGファクターは、事業ポートフォリオの評価やリバランスの検討の基準になるなど、企業の戦略決定に中心的な役割を果たすようになっています。

ESGが個社に及ぼす影響はセクターや市場での位置づけによって異なります。企業としては、ESGへの関心の高まりによって生まれるリスク(逆風)と成長や価値創造の機会(追い風)のどちらにも注意を払う必要がありますが、本調査では、明確なESGストーリーのある売り手は、期待以上の取引価値を実現できる可能性が6倍になることが示されています。

代替的な出口戦略への重要性の高まり
回答者のほぼ全員が、従来の事業売却に加えて、プライベートキャピタルやプライベートエクイティとの代替的な出口戦略を積極的に検討するようになっています。投資待機資金が史上最大の水準に積みあがっており、プライベートエクイティはアジア パシフィックでの投資機会をうかがっています。しかし、効果的にプライベートエクイティと関わっていくためには、売り手はプロセスの初期段階から買い手候補を関与させ、幅広い案件ストラクチャーを検討するなど、企業としても事業ポートフォリオリバランスへの取り組み方を順応させていく必要があります。

企業が順応していくための5つの重要なアクション
調査対象となった企業経営者の大半(79%)は、今後18カ月間に2件以上の事業売却を検討している一方で、興味深いことに、95%の回答者は過去12カ月から18カ月の間に売却を断念しており、事業売却に備えるために企業にはやるべきことが多々あることが分かります。

「テクノロジーが急激に進化し、ESGへの注目が高まっているこの時代において、積極的な事業ポートフォリオ管理が企業の成功に欠かせない要素の1つになります。脱炭素化を進めたい、最新のテクノロジーを手に入れたい、といった思惑による買収や売却が増加し、M&Aが目的と利益目標を達成していくための手段になっていくでしょう。」と、デロイト アジア パシフィック CEO David Hillは述べています。

本レポートの調査結果の分析に基づくと、企業にはインパクトの大きい以下のアクションが求められています
  1. 企業戦略の方向性と保有する事業ポートフォリオとの整合性を図るために、担当者を配置し、取締役会レベルで監督するなど、事業ポートフォリオのリバランスを「常にスイッチオン」にしておくマインドセットを身に着ける
  2. 戦略的な整合性、価値創造の潜在性、レジリエンスの3つの観点から事業ポートフォリオを評価し、この3つの要素からなる「競争力の高い事業ポートフォリオ」の見直しを頻繁かつ全社的に実施する
  3. 説得力のある価値ストーリーやトラックレコードを作成し、自社事業に合致しなくなった資産からの価値を最大化する
  4. 事業ポートフォリオの評価とリバランスにおいて、ESGを中心的な要素として取り込む
  5. アジア パシフィックにおける事業ポートフォリオのリバランス実行時には、税務上の影響や機会を慎重に検討する
本レポートの全文はこちらからご覧いただけます(日本語訳)
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/mergers-and-acquisitions/articles/portfolio-rebalancing.html

調査概要
2024年3月21日から4月5日にかけて市場調査会社OnResearchが実施したアンケートを通して、デロイトは直近36カ月間に事業売却を実施した企業経営者250人に対して、今後12~18カ月間の事業売却に対する考え方や、直近の事業売却案件における経験について調査しました。調査の参加者はすべて、売上高5億ドル以上の非上場または上場企業に勤務しています。回答者の3分の2(67%)は売上高10億ドル以上の企業の代表者です。参加者は企業のシニアディレクター以上の上級職に就いており、大半(80%)は経営陣です。回答者の会社の本社所在地はアジア パシフィックの8拠点のいずれか(オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、中国、台湾、インド、東南アジア)で、各拠点は統計的に有意な回答者のサンプルで代表されています。
本件に関するお問合わせ先
<報道機関の方からの問い合わせ先>
デロイト トーマツ グループ 広報担当 伊藤、菊池
Tel: 03-6213-3210 Email: press-release@tohmatsu.co.jp

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この企業の情報

組織名
デロイト トーマツ グループ
ホームページ
https://www2.deloitte.com/jp/ja.html
代表者
木村 研一
資本金
100,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-2-3丸の内二重橋ビルディング
連絡先
03-6213-3210

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