- データ転送速度の高速化への要求を受けて光I/Oモジュールの電力要件が厳しくなる中で、従来の強制空冷システムには限界も
- 224 Gbps PAM-4への移行により電力密度は約4倍に増加、熱対策コストと複雑性も高まる
- サーバーおよび光モジュール向けの熱管理技術としては、最新の水冷ソリューションやドロップダウン型ヒートシンク (DDHS) テクノロジーの進化に可能性
アメリカ合衆国イリノイ州ライル - Media OutReach Newswire -2024年6月14日 – エレクトロニクスで世界をリードしコネクティビティの分野で革新を続けるモレックス (
https://www.molex.com/en-us/home?utm_source=pr&utm_medium=wire&utm_campaign=dss-2024-03-server-compute-pc ) は本日、重要サーバーおよび相互接続システムにおけるデータ転送速度の高速化要求と電力密度増加の影響および放熱ニーズとの間の調整に悩むデータセンター設計者や事業者向けに、熱管理における新たな技術や可能性を考察した調査レポートを公開いたしました。
今回のIn-Depth Report of Thermal Management Solutions for I/O Modules (I/Oモジュール向け熱管理ソリューションに関する詳細レポート) (
https://www.molex.com/content/dam/molex/molex-dot-com/ja_jp/pdf/general/HPC_Report_JP.pdf?inline ) は、熱特性および熱管理に対する従来型手法の限界への対処法について考察し、112Gおよび224G接続で稼動するサーバーおよび光モジュールの冷却にも十分に対応可能な新たなイノベーションについて調査したものです。
モレックスのEnabling Solutions GroupのVP兼GM、ダグ・ブッシュ (Doug Busch) は、次のように述べています。「より高速かつ効率的なデータ処理およびデータストレージへの要求が急速に高まり続けているのと同じく、生成AIアプリケーションの拡張や112 Gbps PAM-4 から224 Gbps PAM-4への移行を支えるために必要なハイパフォーマンスサーバーや周辺システムからの発熱量も増大しています。これに関しては、光コネクターと光モジュールを一体化して新たな冷却技術を適用することで、次世代データセンター内におけるエアフローと熱管理を最適化する手法が考えられます。弊社では、顧客の次世代データセンター内の設備冷却能力の改善、およびエネルギー効率の向上を支援すべく、弊社の銅および光の両プラットフォームならびに電源管理製品の領域で、熱管理技術の革新を進めています」と述べています。
224 Gbps PAM-4への移行で、クリエイティブな水冷方式に焦点
サーバーとネットワークインフラ間の接続が224 Gbps PAM-4へと移行することで、レーンあたりデータ伝送速度は、2倍になります。消費電力も同様に著しく増加し、長距離コヒーレント光伝送においては、光モジュール単独での消費電力に限っても、わずか数年前の12Wから40Wにまで増加しており、接続方式の移行によって電力密度は4倍近くにまで上昇していることがわかります。
今回モレックスが発表するレポートでは、最新の空冷技術事情のほか、既存フォームファクタ上にクリエイティブな水冷ソリューションを搭載することでI/Oモジュールの消費電力量と発熱量の増加に対処する方法について、詳説しています。能動冷却機能を高めるためのダイレクトチップ液冷方式、液浸冷却方式、そしてパッシブコンポーネントの役割等の情報も掲載。そのほか、高性能化するチップやI/Oモジュールの電力需要に応じた、最も有効と考えられる冷却方式の概要も説明しています。
また、解決の難しいプラガブルI/Oモジュールの冷却問題への対応策としては、液冷ソリューションの一つとしてインテグレーテッド・フローティング・ペデスタルを取り上げました。このペデスタル(台座)に着目した冷却シナリオでは、モジュールと接触する個々のペデスタルをスプリングで独立動作させることで、コールドプレート1個で1列 (1xN、2xN) およびスタックケージという異なる構成のI/Oモジュールの冷却を可能とするシナリオについて論じています。たとえば1x6 QSFP-DDモジュール向けソリューションの場合、独立動作する6個のペデスタルを用いて嵌合高さの差異を補正することで、十分な接触面を確保します。この仕組みによって発熱源であるモジュールから直接、可能最短の伝導経路でヒートシンクのペデスタルに熱が流れるため、熱抵抗の最小化と熱伝達効率の最大化が実現します。
さらに本レポートでは液浸冷却方式に固有の、コストとリスクについても説明しています。液浸方式は冷却効率に優れ、ラックあたり消費電力が50kWを超える場合に適する方式ではあるものの、現行データセンターの大規模な改修が必要となる技術です。
モレックスのドロップダウン・ヒートシンク (Drop Down Heat Sink: DDHS) テクノロジー
モレックスの "In-Depth Report of Thermal Management Solutions for I/O Modules" (I/Oモジュール向け熱管理ソリューションに関する詳細レポート) では、上記の水冷方式のほか、高速ネットワーク相互接続製品の性能に変革をもたらすモジュール設計、ならびに熱特性関連の最新アプローチについても詳しく説明しています。I/Oモジュールの具体的な冷却方法としては、サーバーとスイッチに新たなソリューションを統合して、I/Oモジュールの信頼性を損ねることなくヒートシンク効果のみを向上させる手法が考えられます。それが、本レポートで説明する、モレックスの革新的なドロップダウン・ヒートシンク (DDHS) ソリューションです。従来型のヒートシンクを上から実装する方法はそのままに、コンポーネント表面摩耗の原因である金属間の接触を最小化することで熱伝導を最大化します。
DDHSは、現状の発熱体の上に置く形のヒートシンクに代わる、光モジュールとサーマルインターフェースマテリアル (TIM) との直接接触を排除して摩擦や穿孔を生じさせない、よりシンプルで耐久性の高いソリューションです。DDHSを搭載したポートで100回超えの挿抜試験を行ったところ、TIMの劣化は生じておりません。この信頼性に優れた熱管理ソリューションは、標準モジュールおよびラックマウント型フォームファクタに適し、消費電力量の大きなモジュールの効率的な冷却と全体的な電力効率の改善を実現します。
光モジュール冷却の将来
オープンコンピュートプロジェクト (OCP) のCooling Environments Project (
https://www.opencompute.org/projects/cooling-environments ) 参加企業として、モレックスは業界をリードする各社との協働により、要求の厳しい今日のデータセンター環境の新たな熱管理ニーズを満たす、次世代の冷却技術の開発を進めています。
モレックスについて
モレックスは、未来の変革とより豊かな生活を実現させるテクノロジーを可能にすることでつながる世界を支えます。世界40ヵ国以上で事業を展開し、データ通信、医療、インダストリアル、自動車、家電などの様々な市場に広範な接続システム、サービスおよび電子ソリューションを提供しています。お客様や業界との信頼関係、エンジニアリングに関する卓越した経験と知見、そして製品の品質と信頼性をたずさえて、モレックスは無限の可能性を追求していきます。Creating Connections for Life ― ソリューション開発のその先に、つながる未来を見据えて。詳細に関しては、
https://www.molex.com/ をご覧ください。