多摩大学(東京都多摩市、学長:寺島実郎)は2024年度に開学35周年を迎え、地域に密着した大学であり続けるために、多摩キャンパスに於いて、震災など災害時に地域の大学としての役割を果たす「防災拠点化」に取り組む。大学と同敷地内の多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校(校長:石飛一吉)も同じ志で「防災拠点化」に協力し、2024年2月19日、同大学・同中学高等学校は、多摩市と「災害時における避難所等施設利用に関する協定」を締結、多摩市の私立大学では初めての締結となる。
2024年元日、能登半島で起きた震災で誰もが目の当たりにしたことは「水」「電力」「食料」「避難所(トイレ)」が緊急時に必要であること、このことは、過去の震災でも言われ続けていたことであるが、まだまだ大きな課題である。そこで、多摩大学では、地域のレジリエンスに貢献する大学として、この実装化に取り組んでいく。多摩市との協定締結では、災害時、周辺市民の自宅が被害を受けた場合、その被害状況に応じてキャンパスなどの一部を「指定緊急避難場所」として開設する。「指定緊急避難場所」は1次避難所で受入れきれない等、緊急を要した場合に多摩市が開設を依頼する。避難所運営及び管理、水、食料などの供給は、ほぼ全てを多摩市が行い、同大学・同中学高等学校は協力する。現在、多摩市が指定している避難所は34か所、約1万2千人の収容人数を確保しているが、約4千人分が不足している。今回の協定締結で約900人の収容が可能になる。(避難所の収容人数等は、2024年2月29日号タウンニュースから抜粋)
多摩大学多摩キャンパスは、多摩市の高台に位置しているが、隣接した場所に多摩市の「応急給水拠点」があるので緊急時には飲み水の配給が行われる。今後、避難所運営や避難民のスマホ充電に使用する電力を、多摩市、地域の企業、寺島学長が会長を務める(一財)日本総合研究所と連携し、再生可能エネルギーを利用した太陽光パネルなどの設置で蓄電を進めていく。
(一財)日本総合研究所は、2021年2月「医療・防災産業創生協議会」を、関連企業だけでなく超党派議員連盟が参画する形で立ち上げられた。人々の「安全・安心」を守る取り組みが、一定の利潤を確保し産業として自立・自走することは、国の危機管理能力を向上させることにもつながるとのパラダイム転換を協議会が目指す姿とし、そのシンボリックな活動として、災害時に高機能・高付加価値コンテナを活用した医療・防災の拠点を全国各地に整備することを目的として、2023年6月2日~4日福島県道の駅「猪苗代」にて、実証実験を行った。地域のレジリエンスから始まる、多摩大学「防災拠点化構想」は日本全体のレジリエンスに繋がるプロジェクトの第一歩である。
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山本紀子
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