日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、日進医療器株式会社(以下、日進医療器)とチタン製の看板型担架「チタンカ」を共同開発し製品化しました。近年甚大化する災害に対してチタンで災害対策と街づくりに貢献したいという思いのもと具現化したプロジェクトです。
防災倉庫に格納した災害対策用品は、有事の際、建物の損傷具合によってそれらを倉庫から取り出すことが出来ない可能性があります。「チタンカ」は、沿岸部や温泉地区などの強い腐食環境でも錆びることはないため、倉庫に格納せず屋外に長期間設置してもその機能が変わることがありません。看板はA型で、広げることで瞬時に担架として利用できます。軽量で錆びないチタンは、可動部が動かなくなることも無く、軽量(*)で持ち運びも容易です。今回製品化したプロトタイプの「チタンカ」は、日本初の開閉式屋根付き天然芝球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」(所在地:北海道北広島市)に2023年9月に2台納入され、荷物搬入出入口の看板として設置されており、災害訓練などを通じ災害想定の実証実験が行われています。
(*)プロトタイプの「チタンカ」は、看板としての利用時のサイズは縦104センチ、横63センチ、奥行60センチ、重量は約7Kgです。
また「チタンカ」はチタン溶接管をフレームに採用し軽量化と強度を両立しました。担架として人を乗せる部分はチタン製パンチングメタルで柔軟性を持たせ、人が担架上に横たわった状態での安定性を確保しています。可動部は新開発の指挟み防止機能を付加した特殊ヒンジになっており、耐荷重は180Kgあります。看板部分は取り外し出来る機能をつけていますので、ニーズに合わせて素材も含め自由に取り換えてご使用いただけます。
街の景観材が有事の際に災害対策用品に変わることで安全・安心な街づくりに貢献できるという発想で「チタンカ」は開発されました。今後、自治体や工場を持つ製造業・プラント、配送センターなどでの普及を目指し、機能を簡素化した廉価版を開発していく考えです。また、今後さらに、街づくり・災害対策にチタンで貢献することを目指し、災害対策に貢献出来る商品づくりを進めて行きます。
チタンは、金属イオンの溶出がほとんどなく、塗装工程がないため揮発性有機化合物(VOC)が発生することがなく、環境にやさしい金属です。また、耐食性が高く長期使用に耐えうることよりメンテナンスなどの負荷軽減に貢献します。加えて、耐食性が高いチタンは、比重の小ささに加え、鉄と同等の強度を持っているため、許される範囲での薄肉化による総重量の大幅な軽量化が可能になり、輸送や設置の負荷が軽減出来るなど、CO2削減に寄与します。
日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した製造プロセスの開発、優れた製品・サービスの提供を通じて社会の発展に貢献して参ります。
■開発関係者
商品開発・販売:日進医療器株式会社
製造 :富安株式会社/メタルリンク株式会社
チタン製造 :日本製鉄株式会社
■エスコンフィールド設置「チタンカ」
日本製鉄のデザイニングチタン「TranTixxii(トランティクシー)」ホームページ
https://www.nipponsteel.com/product/trantixxii/
以 上
お問い合わせ先:
日本製鉄株式会社 総務部広報センター TEL:03-6867-3419
チタン営業部自動車・建材室 TEL:03-6867-5611