ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿に初めて導入、スポーツ業界全体のデジタル・データ活用底上げをめざす
デロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ コンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役社長:佐瀬 真人、以下、「デロイト ト―マツ」)は、スポーツ分野の選手や生徒のフィジカルデータやトレーニングおよびパフォーマンスデータなどを集約、評価し、育成に活用するとともに育成履歴なども一元的に管理することができる、スポーツ分野に特化したタレントマネジメントシステムを開発しました。
デロイト トーマツは本システムをホンダモビリティランド株式会社(三重県鈴鹿市、代表取締役社長:斎藤 毅)が運営するホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿(以下、HRS)に初めて導入します。
近年、企業経営と同様にスポーツ分野でもデータに基づいた選手育成・教育が必要という考えが広がりつつあります。データ利活用は、その精度が勝敗に影響を与え得ることからトップスポーツ、トップリーグにおいて進む一方で、より幅広いスポーツ人材の育成の観点では発展途上といえます。選手や生徒の育成現場では、練習や試合時の画像解析や、選手それぞれの申告、コーチや監督の経験や勘に基づく指導など様々な情報を手書きのメモやエクセル、PDFで収集するものの、デジタル化や整備が進まず、情報があってもうまく活用できていないこともあります。また、企業の人事向けのタレントマネジメントシステムがスポーツ向けに最適化されていないものの、現場でさまざまな工夫をしながら使用するケースもあります。
スポーツ分野に特化したタレントマネジメントシステムの特徴
- スポーツ分野での人材育成に特化したデータ入力により選手のフィジカル・メンタル・勝敗等の様々な情報を可視化することで、データを用いて一人一人の強みを活かした配置・育成が可能。
- 蓄積されたデータを時系列に管理することで、経年の上達度を見たり、選手・生徒同士の比較、戦力の分析をしたりすることが可能になり、選手・チームのパフォーマンス向上のための指導や試合の戦略立案にも役立つ。
- Slack等コミュニケーションツールとの連携も容易にできる設計のため、フィールドや国内外どこでもデータの参照ができ、データを活用したチーム内のコミュニケーションを円滑にする。
*上記画像サンプルはHRSとは関係のない他スポーツ分野での活用イメージです。
本システムは上記のデフォルト機能に加え、競技ごとの特性にあわせてカスタマイズが可能で、今回、初めて二輪・四輪のモータースポーツにおいて、世界に通用する選手を育成することをめざす、HRSに導入されます。
HRSでは、走行データの記録や蓄積されたデータの自動計算を行うとともに、それらのデータから各個人の強みや弱みを導きだし、データを基にしたコミュニケーションや各々の育成メニューを検討することを想定しています。また、スター選手の生徒時代からのデータやその後選手としての活動履歴を蓄積することで、将来的には生徒の将来性や伸びしろの予測、効果的な育成方法などの開発もめざしています。
ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿 プリンシパル 佐藤琢磨氏(チップ・ガナッシ・レーシング)のコメント
ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿ではスクール生の「将来性・伸びしろ」を重要視しています。しかし、経験値の異なる生徒たちが混在するなかでの正当な評価は容易ではなく、熟練講師や現役トップドライバーである講師たちも頭を悩ませています。また、「タイム計測」や「模擬レース結果」だけでなく、「取り組み姿勢」といった評価根拠となる情報も膨大な量であり、データ整備には多大な手間を要してきました。
そういった課題を解消するために、本システムの導入を決めました。走行結果、評価データはもちろんのこと、スクール生と講師の会話までデータベースに残せる仕組みで、講師陣が行う「将来性・伸びしろ」評価をサポートします。生徒の成長や姿勢を現場で見続けている講師陣の意見はとても重要です。そこにデータ解析による科学的な根拠の裏付けが加わることで、これまで以上に精度の高い評価に繋がるものと確信しております。
また、ユーザーインターフェイス等、デジタル化におけるシステム導入の課題においても、デロイト トーマツのサポートにより「わかりやすさ」に拘ったプロダクトへと改良を重ね、無事に運用を開始することができました。
今後は、本システムを基盤とした、より精度の高い「データドリブンな育成」を目指していきます。まずは、あらゆる要素をデータ化し蓄積された28年分のデータと掛け合わせて、「将来性・伸びしろ」予測を実現していきたいと考えています。
【ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿について】
運営会社:ホンダモビリティランド株式会社
所在地:〒510-0295 三重県鈴鹿市稲生町7992 鈴鹿サーキット
代表取締役:斎藤 毅
開校:1992年
F1をはじめとする二輪・四輪のモータースポーツを開催してきた鈴鹿サーキットでは、時代を先取りし、技術のみならず精神的にも人間的にも世界のトップクラスとして通用するライダー・ドライバーの育成を目的として1992年に「鈴鹿サーキットレーシングスクールジュニア(現HRS鈴鹿Motoクラス)」を開校。
2022年、国内外のトップドライバーを目指すライダー・ドライバーの育成を、今まで以上にHondaの意思を入れ、スクールから実践までを一気通貫で指導できる体制を作る決意の表れとして、スクール名称をホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿へ変更。常時50~70名が所属し、トレーニングを受けている。
デロイト トーマツ は、スポーツにおいて一番の資産となる「ヒト」のマネジメントをデジタルアセットを用いて支援することで、スポーツ業界全体のデジタル・データ活用を底上げすることを目指しています。
今後は、日本国内に留まらず、全世界すべてのスポーツチームに本システムを活用いただき、「スポーツタレントマネジメント」のグローバルスタンダードを発信してまいります。