【イベントレポート】アッヴィ、観光地域との共創でIBD患者さんの非日常の「旅」の場面へ活動拡大を発表

炎症性腸疾患(IBD)患者さんを取り巻く「見えない壁」を解消する「I know IBDプロジェクト」

 炎症性腸疾患(IBD)とは、大腸・小腸など消化管に炎症が起こり、腫瘍を合併することもある疾患で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病があります。原因は不明、根治方法も見つかっていない指定難病であり、主な症状が”下痢”や“腹痛”という身近な症状のため、疾患であることを周りに気づかれにくい「見えない難病」とも言えます。
 アッヴィ合同会社は国内の推計患者数が約29万人※1と、指定難病の中でも患者数が多い疾患※2であるIBDについて、社会全体での理解を高めることを目的に発足した「I know IBD(アイノウ アイビーディー)プロジェクト」に関する記者発表会を「IBDを理解する日」である5月19日に先立ち、5月17日に開催しました。
 I know IBDプロジェクトは、IBD患者さんの日常生活での困りごとの1つである外出時のトイレの不安に対して、トイレの貸し出しに協力いただく企業・店舗を募り、社会全体でのIBDへの理解向上を目的としています。プロジェクト発足から約1年を経て、協力企業・協力店数は、全国47都道府県で79社2,235店舗(6月5日時点)を数え、IBD 患者さんへ施設・店舗内トイレの貸し出しを実施いただいています。
 この度、全47都道府県に協力企業・協力店が拡大したことから、また昨今の旅行需要の回復を受けて、IBD患者さんの日常だけでなく、非日常の外出といえる「旅」の場面にも活動を拡大することを発表しました。「旅」をテーマとした活動では、商店街や観光地、自治体等のパートナーとの共創で、I know IBDプロジェクトへの賛同を広げていきます。
 記者発表会では、IBD専門医やIBD患者さんなどさまざまな立場から、IBDについて、またIBD患者さんの旅の場面での課題「見えない壁」とその解消に向けて、お話をいただきました。
  1. I know IBDプロジェクトについて
    アッヴィ合同会社 イミュノロジー事業本部 事業本部長 三上 香宏
  2. 炎症性腸疾患とは? 
    慶應義塾大学 名誉教授 
    北里大学 北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター 特別顧問 日比 紀文先生
  3. ユニバーサルツーリズムの現状とIBD患者さんの旅のサポートの在り方
    JTB総合研究所 ユニバーサルツーリズム推進担当 勝野 裕子氏
  4. IBD×旅についての患者さんの声  
    IBD患者さん 安達 涼子さん(仮名)
【記者発表会サマリー】
1. I know IBDプロジェクトについて
アッヴィ合同会社 イミュノロジー事業本部 事業本部長 三上 香宏
 グローバルな研究開発型の製薬企業として、アッヴィは最先端の科学技術を活かしながら、医薬品の開発、提供に取り組んでいます。さらに、医薬品の開発だけでなく患者さんのアンメットニーズに応えるため、啓発活動にも取り組んでいます。
 アッヴィが注力する疾患の1つである炎症性腸疾患(IBD)領域では、IBDの正しい理解を広め、患者さんが「周囲の IBDへの理解」を実感できる社会の実現を目指すI know IBDプロジェクトを2022年に発足しました。
 I know IBDプロジェクトは、IBD患者さんの日常生活での困りごとの一つである外出時のトイレの不安に対して、トイレの貸し出しに協力いただく企業・店舗を募り、社会全体でのIBDへの理解向上を目的としています。プロジェクト発足から約1年を経て、協力企業・協力店数は、全国47都道府県で75社2,224店舗(5月8日時点)を数え、IBD 患者さんへ施設・店舗内トイレの貸し出しを実施いただいています。
 この度、全47都道府県に協力企業・協力店が拡大したことから、また昨今の旅行需要の回復を受けて、IBD患者さんの日常だけでなく、非日常の外出といえる「旅」の場面にも活動を拡大することを発表しました。「旅」をテーマとした活動では、商店街や観光地、自治体等のパートナーとの共創で、I know IBDプロジェクトへの賛同を広げていきます。
 先行した取り組みとして、埼玉県川越市にあります、年間約240万人が訪れる川越一番街商店街がI know IBDプロジェクトへの参加に向けて、準備いただいています。今年の夏ごろから、プロジェクトへの参加を開始見込みであり、参加いただける店舗数など詳細は、協議中です。
 アッヴィは「I know IBD」プロジェクトを通じて、一人でも多く「I know IBD」と言える人を増やし、社会全体でのIBDの認知・理解向上を目指します。

2. 炎症性腸疾患とは?
慶應義塾大学 名誉教授 
北里大学 北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター 特別顧問 日比 紀文先生
 IBD は、大腸や小腸など消化管に炎症が起こり、原因不明のため根本治療のない疾患で、主に指定難病である潰瘍性大腸炎とクローン病があります。
 下痢や腹痛が主な症状であるため、トイレの回数の急増や、食事の制限など患者さんの生活にさまざまな影響を及ぼすこともあります※3,4。
 IBD の発症は、これから社会で活躍する世代である 10-20 代で多く報告されています※5,6が、現時点では完治につながる治療法がなく、患者さんの人生を通じて大きな負担となる可能性もある疾患です※3,4,7,8。
 しかし、治療が進歩し、適切な治療により炎症が抑えられ多くの患者さんが普通の日常生活を送ることができるようになってきました。学校に通い、社会に出て働き、結婚、出産などさまざまな経験をしています。一方で、IBDの症状の1つである便意切迫感により、外出や旅行に対して不安や気後れを感じる患者さんも、多く存在すると考えられます。
 周囲の方々のIBDへの正しい理解と、その理解を目に見えるようにすることは、患者さんが治療を続けていく上でも、日常生活を送る上でも、そして非日常の旅の場面でも、非常に勇気になると思います。

3. ユニバーサルツーリズムの現状とIBD患者さんの旅のサポートの在り方
JTB総合研究所 ユニバーサルツーリズム推進担当 勝野 裕子氏
 ユニバーサルツーリズムとは、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行のことです。日本の人口減少や少子高齢化が進展する中、国内外からの交流人口の拡大によって地域の活力の維持・社会の発展を目指して、ユニバーサルツーリズムが推進されるようになりました。
 日本のバリアフリー化は世界でもトップクラスで、多機能トイレや車いす用の駐車場などのハード面は整備されています。一方で、「思い込みや偏見をとる」心のバリアフリーには課題が残っています。
 特に、目に見えない困りごとに対しては想像力を働かせることが必要です。外出や旅行についても、個人の心身機能の障害で旅行が困難なのではなく、社会や環境の在り方・仕組みが障害を作り出していることに気づくことが重要になります。
 「I know IBDプロジェクト」の支援領域が旅にまで拡大され、観光地などでの賛同が広がっていくことで、心のバリアフリーも加速していくと思います。このプロジェクトが、ユニバーサルツーリズムの普及に寄与することを期待します。

4. IBD×旅についての患者さんの声
IBD患者さん 安達 涼子さん(仮名)
 IBD患者さんにとって、日常生活の中での外出時の心配事である「トイレ」の不安は、旅行でも悩みの1つです。旅行を楽しむためには、さまざまな事前の準備が必要になりますし、自分が安心できる材料を探すのが習慣になっています。
 例えば、長距離バスに乗る前は、車内にトイレがあったとしても1つしかないので使用しにくいため、便意・腹痛が起こらないように飲食を一切控えて乗車をしています。また、急な腹痛が心配なため、寒い場所や長時間トイレに行けない状況が分かっているときはトレーニングパンツとナプキンを着用することもあります。旅行先も、渋滞に巻き込まれないように混まない場所を行き先に検討する、旅程には余裕を持つなど、さまざまな対策を行っています。
 IBDは、外見からは病気であることが分かりませんが、社会が気づいていないIBD患者さんを取り巻くさまざまな課題「見えない壁」が移動や食事といった旅行の場面にもあります。しかし、周囲の理解や配慮があることで、IBD患者さんの安心につながり、旅行への「見えない壁」の解消になると思います。
 私自身の経験では、訪問先の施設に事前に、自分の病気のことを伝えて相談したところ、障がい者用駐車場を使用できるよう、配慮していただいたことがあります。相談した際に、対応していただいた方々の理解と配慮を大変ありがたく感じました。
 「I know IBDプロジェクト」の活動が、普段の外出だけではなく旅などの非日常のお出かけ先にも広がるのはとてもありがたいと思います。IBD患者さんが外出先で困ったときに借りられるトイレがある、という事が分かるだけでも、外出や旅行への不安解消につながると思います。
 多くの自治体や観光地、企業やお店がこのプロジェクトに賛同していただけると嬉しいです。そして、このプロジェクトの拡大を通じて、社会全体でIBDを知り、正しく理解するきっかけにしてもらえたらと思います。

※1 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 総括研究報告書(平成28年度)
※2 厚生労働省 衛生行政報告例 令和3年度衛生行政報告例 統計表 年度報 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040002898(2023 年 6 月15 日アクセス) 
※3 A comprehensive review and update on ulcerative colitis,2019 Dec;65(12):100851. doi: 10.1016/j.disamonth.2019.02.004. Epub 2019 Mar 2.
※4 The Facts about Inflammatory Bowel Diseases. Crohn's & Colitis Foundation of America. 2014. Available at:
https://www.crohnscolitisfoundation.org/sites/default/files/2019-02/Updated%20IBD%20Factbook.pdf (2023 年 6月15 日アクセス)
※5 難病情報センター潰瘍性大腸炎(https://www.nanbyou.or.jp/entry/62)(2023 年6月15 日アクセス)
※6 難病情報センタークローン病(https://www.nanbyou.or.jp/entry/81)(2023 年6月15日アクセス)
※7 Quality of Life in Inflammatory Bowel Disease: A Systematic Review and Meta-analyses-Part I Inflamm Bowel Dis. 2018 Mar 19;24(4):742-751. doi: 10.1093/ibd/izx100.
※8 Mehta F. Report: economic implications of inflammatory bowel disease and its management. Am J Manag Care. 2016 Mar;22(3 Suppl): s51-60.


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本件に関するお問合わせ先
【本件に関するお問い合わせ先】
アッヴィI know IBDプロジェクト PR事務局(株式会社プラップジャパン内) 松澤・山口
E-mail:abbvie_ibd@prap.co.jp  連絡先:080‐6049‐7913(松澤)/080-2019-3242(山口)

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この企業の情報

組織名
アッヴィ合同会社
ホームページ
https://www.abbvie.co.jp/
代表者
フェリシアーノ ジェームス
資本金
40,000 万円
上場
海外市場
所在地
〒108-0023 東京都港区芝浦三丁目1番21号msb Tamachi 田町ステーションタワーS
連絡先
03-4577-1111

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