ヤマハ発動機株式会社は、産業用マルチローター「YMR」シリーズの新機種として、自動飛行機能を標準搭載した「YMR-II(ワイエムアール・ツー)」を2023年春から発売します。
“安全・安心な国産農業用ドローン”を目指して開発した「YMR-II」は、1)農業生産現場で得られたノウハウの流出や、機体の乗っ取り等から生産者を守る高い情報セキュリティ機能、2)初心者でも運用が簡単な新型自動飛行用アプリケーション「agFMS-IIm」による優れた自動航行および自動離着陸機能、3)6枚ローター(回転翼)レイアウトおよびボックスフレーム構造の採用による高い飛行安定性などが主な特長です。
その他、ワンタッチでアーム開閉が可能な新機構やカセット式散布タンク、丸洗い可能な防水性能(防水規格:IP55)等により、効率的な作業をサポートします。また今後、粒剤散布装置、4Kカメラ、障害物センサー、追加散布ポンプ等のオプションを揃え、多様化するニーズに対応します。
本製品の開発は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構/NARO)が事業実施主体である国際競争力強化技術開発プロジェクトの「安全安心な農業用ハイスペックドローン及び利用技術の開発」を受託(2021年6月)したハイスペックドローン開発コンソーシアム*の事業として行いました。機体の基本要素は他社でも利用可能な基盤技術として開発を進め、これらの技術は国内ドローン産業の国際競争力向上に貢献します。
なお、10月12~14日に幕張メッセ(千葉県)で開催される「第12回農業Week」のヤマハ発動機ブースに、本製品を参考出品します。
農業Week 2022 特設ページのリンク
https://www.yamaha-motor.co.jp/ums/agriexpo-week2022/
※ハイスペックドローン開発コンソーシアム 代表機関:ヤマハ発動機株式会社、共同研究機関:〈企業〉株式会社ザクティ、株式会社ザクティエンジニアリングサービス、株式会社ナイルワークス、ヤンマーアグリ株式会社、〈研究機関〉農研機構、大分県農林水産研究指導センター、鹿児島県農業開発総合センター、佐賀県農業試験研究センター、長崎県農林技術開発センター
産業用マルチローター(ドローン)「YMR-II」
「YMR-II」の主な特長
■生産者のノウハウを守る高い情報セキュリティ機能
ハッキング等による取得データの流出や、外部操作による機体乗っ取りから生産者のリソースを守る高い情報セキュリティ機能を備えています。機体との通信は「AES256」による暗号化通信を採用。また、第三者機関による送信機アプリケーションのセキュリティ診断を実施するほか、ユーザーの意図に反した飛行ログアップロードを行わない仕様など、さまざまなセキュリティ対策を施しています。
■新型自動飛行用アプリケーション(agFMS-IIm)により、自動飛行機能の利便性を向上
ベテランの方が詳細に飛行設定できる「プロフェッショナルモード」と、初心者でも簡単に飛行設定可能な「シンプルモード」を搭載。「シンプルモード」では、画面の指示に従う操作で簡単に設定を完了することができます。また、高精度な測位を実現するRTK方式*は、従来の基準局モジュールを用いるRTK-GNSS方式と、基準局モジュールが不要なネットワーク型RTK-GNSS方式を選択できます。
※RTK(リアルタイム・キネマティック)方式: 現場で取得した衛星データと、周辺の電子基準点の観測データから作成された補正情報を組み合わせ、リアルタイムで測量を行う方式
■6枚の回転翼とボックスフレーム構造の採用により実現した高い安定性
「YMR-II」は、6枚のローター(回転翼)を配したヘキサコプターです。外乱に強く、安定した飛行と機体の軽量化に貢献するローターレイアウトとしています。また、アルミとカーボンファイバーの強化樹脂によるボックスフレーム構造の採用により、高い飛行安定性を実現しました。
■従来機との比較で収納時約1/2サイズのコンパクト設計
ローターを折りたたんだ収納時のサイズは、コンパクトな733×626×786mm。当社従来モデルとの体積比で約1/2の縮小を実現しました。
※仕様は予告なく変更される場合があります。