バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:ニコラス R.ジョーンズ、以下バイオジェン・ジャパン)は、多発性硬化症(MS)の当事者の方、ご家族・ご友人、MSに関わる医療関係者の皆様を対象にMSとの多様な向き合い方を俳句で詠む「想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト」を、実施いたしました。
この度、テレビでお馴染みの俳人 夏井いつき先生より、応募数161句の中から審査いただいた、特選・秀逸10作品・佳作11作品を、当社が運営するWEBサイト「多発性硬化症サポートナビ」にて公開いたしました。
指定難病の1つに認定されているMSですが、症状や程度は人によって異なることからご自身の病気や人生と向き合う姿勢や考え方、悩みもまた人それぞれです。そんな多様な向き合い方を「俳句」で表現することで、ご自身が抱く想いに改めて気づくきっかけとなり、またほかの方が詠む句の背景にある想いに触れることが、新たな気づきや共感、連携につながると考え、今年はMSに関わる方を対象に俳句コンテストを実施いたしました。
7月3日(日)には受賞作品の発表として、落語家の三遊亭とむさんが司会を務めるオンラインイベントを実施しました。当日は、夏井いつき先生より選定頂いた受賞作品の発表ならびに講評と、九州大学大学院医学研究院 神経内科学 教授 磯部紀子先生をお招きし、作品が生まれた背景となるMSにまつわるエピソードについてのトークセッションを行いました。イベント当日の録画映像は、当社が運営する疾患啓発ウェブサイトである「多発性硬化症サポートナビ」およびYouTubeチャンネルでご視聴いただけます。
夏井いつき先生からは、161句全体を通して以下の選評を頂きました。
「多発性硬化症(MS)の当事者の方、ご家族やご友人、MSに関わる医療関係者の皆様を対象とした『想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト』では、闘病の苦労をリアルに語りつつ、一句の中心に据えられた季語に心を托す皆さんの俳句に出会うことができました。
私は、コロナ以前から、病気や介護などの様々な理由で、吟行に出かけることが難しい方々にも俳句を楽しんで頂きたい、との思いで『おウチde俳句』を呼びかけてきましたが、このコンテストを通して、また同志が増えたように感じています。このコンテストを機に、俳句と出会った皆さんの毎日がさらに豊かなものになる事を願ってやみません。」
バイオジェン・ジャパンは、本コンテストを通じてMS当事者とその周囲の方々が、よりお互いの理解を深め、MSを中心とした大きな輪が生まれていくことを願っています。
【ご本人による作品】
■特選
〈作品〉ウートフの足音ひびく夏近し
〈詠み手〉俳号 asagi
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
この度は入選のご案内を頂きありがとうございました。私自身、MSを発症してから、暑いのが本当につらくなっていて、今の時期もまさにそうなんですが、毎年春から夏にかけて気温が高くなるのと連動するように、体もどんどんしんどくなっていて、「なんだかこれはウートフが夏を知らせているみたいだな」と感じ、その想いをそのまま表現してみました。正直、かなりうんざりした気持ちではあるのですが、それが作品の1つの要素となって、このようにご紹介頂いたことを嬉しく思います。素敵な機会をありがとうございました。
〈夏井先生 選評〉
多発性硬化症(MS)のウートフ徴候とは、体温の上昇のために、一時的に症状が悪化したり、別の症状が出てきてしまうことだそうです。作者にとって、気温が上がる「夏」は、特にウートフ徴候を意識せずにいられない季節なのかもしれません。近づいてくる「夏」を「ウートフの足音ひびく」と五感でとらえた一句です。
〈作品〉ブラウスのボタンに5分小春かな
〈詠み手〉俳号 はなゑ
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
この度は「私の多発性硬化症俳句コンテスト」の特選に選出いただき誠にありがとうございます。大変嬉しいです。病気に関して感じていること、悩んでいることを言葉にすることで、改めて病気に向き合うことができて感謝しております。
私は両足、両腕、舌が常に痺れています。一番ひどいのは手指で、指が動かしづらく、感覚もあまりありません。暖かい日にお気に入りのブラウスを着て軽やかに出かけたいのですが、指が動かなくてブラウスのボタンをとめるのに5分もかかってしまいます。今触れているのがボタンなのか布地なのか判別がつかないので、じっとボタンを見つめながらとめます。たまに面倒臭いな、被って着られる服に変えようかと考えがよぎりますが、やっぱり大好きな可愛いブラウスを着たい! ので頑張ってゆっくり着替えます。せっかくの暖かい日和なので、まあ、のんびりいこうよ、という気持ちを詠みました。
〈夏井先生 選評〉
多発性硬化症(MS)の症状が手に出ているのでしょう。ボタン止めに掛かっている時間を、「5分」と具体的にいうことで、その困難さがリアルに伝わってきます。とはいえ、背景にある、冬の中で春の陽気を思わせる「小春」という季語が、症状に向かう作者自身の心情を象徴しているかのようです。
■秀逸
〈作品〉痺れつつ死ぬまで一緒髪洗う
〈詠み手〉中野智恵
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
12 年前に発症するまで私は障害を持つ子どもやその親の相談員をしていました。50代は仕事も充実していましたが家族の中では親の介護や兄の急逝、娘の結婚や病気と多忙を極めていました。
そんな頃朝目覚めると手足がシビレていると感じる様になりました。
その内、以前から見えにくかった左眼の視力も低下し眼科へ行くと大学病院を紹介されそこで「多発性硬化症」と診断されました。そして更に専門医の先生によって「視神経脊髄炎」と判り、適切な投薬治療によってこの10年寛解状態です。ただ、後遺症として手足の先のしびれは残っています。
そんな中で10年程前に友人が大阪市内でカフェを始めてそこで月1回の「句会」に誘ってもらいました。
それまでは俳句に触れる事もなかったのですが丁度テレビでも「プレバト!!」が始まったところで、17音の短かさも気に入り参加しました。仕事を辞め家に篭りがちだった私に「句会」に行き人と交わる楽しい時間が持てていたのですが、コロナ禍が始まり電車に乗り人混みの駅を抜けて行く事が怖くなりました。
そんな時に地元公民館での「句会」を知って入会しました。
今回「多発性硬化症俳句」との文字を見て「はっ」としました。自分の持つ困難を受け入れるしかないと思う今それを俳句にしてみました。
「痺れつつ死ぬまで一緒髪洗う」
今回の受賞を、人生の励みにしてこれからも俳句を詠んでいきたいと思います。
〈夏井先生 選評〉
多発性硬化症(MS)の症状としての痺れがずっとあるのでしょう。常につきまとう、離れたくても離れられない痺れ。ならば、と「死ぬまで一緒」の覚悟で、只管に髪を洗うのです。
〈作品〉辿り着き難病と知る夏の果て
〈詠み手〉俳号 コミマル
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
私は趣味の絵手紙に、自分の俳句を添えることができたらどんなによいだろうと長年思っていました。でも言いたいことを17文字におさめることはとても難しく、いつも途中であきらめていました。
今回、MSの俳句コンテストを知り、難しく考えるのはやめて、自分の体験をそのまま俳句にすることにしました。思いがけず賞をいただき、そのうえ夏井先生からご講評をいただけるのは望外の喜びです。
この句は10年前の夏の出来事をそのまま詠みました。夏の強い日差しのなか、あちこちの病院を訪ね歩きましたが、どの医者も首を傾げるばかり。次第に歩くことも不自由になり、藁にもすがるような気持ちで、痺れ外来を訪ねました。すぐに異変に気がついた医師は「今すぐタクシーでこの病院に行き、MRIをとって画像を持ち帰るように」と指示。
その後、脳外科のある総合病院を紹介され、多発性硬化症の疑いで、神経内科の専門医(今の主治医)に辿り着きました。病名がはっきりしたのは、その夏も終わるころでした。
MRI画像を手に陽炎のたつ交差点で、おろおろと帰りのタクシーを探した夏の日々から10年。これからもこの病と上手に付き合っていこうと思っています。信頼する医師と家族のサポートに感謝を込めて……。
〈夏井先生 選評〉
果てしない病院巡りと数々の検査の末に知った「難病」という現実。「辿り着き」の五音に、闘病の境涯が滲み出ています。現実を受けとめた「夏の果て」ですが、秋という新しい季節の始まりでもあります。
〈作品〉花鋏使う喜び薔薇の花
〈詠み手〉藤村美来
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
このたびは秀逸に選んで頂き大変嬉しく思います。誠にありがとうございます。
進行性の難病ですので、自身が好きで楽しめる事を積極的にリハビリを兼ねてしており、いけばな小原流のお稽古もその中の一つです。ちなみにもう一つは、パラ馬術のレッスンです。
花鋏は重さがあり、普通の鋏とは違い独特な造りとなっております。花鋏を毎週土曜日のお稽古で握るたびに、まだいけばなが続けられる喜びを感じております。
季語として大好きな花、薔薇を使いました。薔薇には愛や平和という花言葉があり、戦争がまだ終わらない今に相応しいと考えました。
父方の祖父母が愛した俳句で受賞することができ、亡くなった祖父母も喜んでいることと存じます。
このたびは誠にありがとうございました。
〈夏井先生 選評〉
症状が改善してきて、花鋏を使っているのでしょう。手にずっしりと重く硬く冷たい花挟の感触。茎を切る音。そして、色とりどりの薔薇の花が映像となって立ち上がってきます。
【ご家族ご友人・医療関係者による作品】
■特選
〈作品〉寛解期プールに緩き波しぶき
〈詠み手〉俳号 近江菫花(福祉関係者)
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
この度は拙句に特選という栄誉を頂き、有難うございます。
拙句は、元勤務先の障害者福祉センターのプールの利用者でいらした、MSの障害のある方を詠んだものです。寛解期に体力の維持向上や水泳を楽しむ目的でプールに入り、ご自身のペースでゆったりとした波しぶきをあげて泳いでいらした利用者の方。その前向きに生きるキラキラとした姿が伝わればと詠ませて頂きました。
入選のご連絡を頂きました日は、MSではないのですが、障害のある87歳の父が退院する日でございました。寛解期とは違うのですが、何とか在宅介護が可能なADLになり、在宅での新しい生活が始まる日に、波しぶきが光るように、嬉しいご連絡を頂きましたこと、思いがけない吉報と喜んでおります。
主催のバイオジェン・ジャパン様、事務局の皆様、素敵なコンテストを企画・運営頂き有難うございました。
そして、選考頂きました選者の夏井いつき先生、専門医の先生、拙句に関して貴重なトークを賜り、お時間頂きまして有難うございました。
心より感謝をこめて。
〈夏井先生 選評〉
寛解とは、病気による症状や検査異常が消失した状態のこと。日常に戻った生活の一コマとしてプールが描かれています。まだ、本格的な泳ぎはできないけれど、プールで「緩き波しぶき」を立てられるようになった喜び。しぶきは光をうけて、きらめいているに違いありません。
〈作品〉歩行車のブレーキ固し雲の峰
〈詠み手〉俳号 丹波らる(医療関係者)
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
私が訪問理学療法士として、多発性硬化症の患者様と屋外歩行の練習時の風景を詠んだ句です。
私の母親ぐらいの年齢の患者様ですが、多発性硬化症という難病にかかりながらも、「家族のご飯をスーパーマーケットまで買いに行きたい」という強い目標をお持ちです。そのお気持ちに応えるため、歩行車をレンタルし、ただいま練習中。はじめはスムーズに歩いておられても、脱髄疾患の影響で徐々に握力が低下し、歩行車のブレーキも握りにくくなってきます。そのときは歩行器の椅子に座って休憩です。京都洛北の某神社の前で息を整えながら北の空を見上げると、丹波太郎と呼ばれる入道雲がぐんぐんと、まるで生命体のような勢いで天高く成長している様が確認できます。それは難病であってもまだまだ成長できる象徴のような気がするのです。
私は40歳を過ぎてから夏井いつき先生の影響で俳句を始めました。私は先生の蒔かれた俳句の種のちいさな一粒かも知れません。今回の受賞で、俳句にも訪問リハビリの仕事にも力強い応援をいただけたような気がしました。このたびは誠に有難うございました。
〈夏井先生 選評〉
自立歩行が困難な方の、歩行機能を補って安全に歩行するために使われるのが歩行車です。症状が改善してきて、歩行車を使って歩けるようになったのでしょうか。ブレーキの固さを感じながらも、自力で歩く姿を応援するかのように、雲の峰は元気よく空に広がっています。
■秀逸
〈作品〉かげろふに幾度もこころを燃えたたす
〈詠み手〉近藤夕騎 (医療関係者)
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
多発性硬化症(MS)の方は,症状の再発・寛解を繰り返しながら進行性の身体障害を来すことが特徴で,特に陽炎が立つような暑い状況では,体温の上昇に伴って,一時的に神経症状が生じたり悪化したりする「ウートフ兆候」が生じ,体調を崩される方がたくさんいらっしゃいます。私たち理学療法士は,再発によって低下した機能障害を回復・軽減するため,満足した生活が送れるようにするためにリハビリテーションを提供します。MS当事者が再発・寛解を繰り返すこと,理学療法士がその都度,気持ちを奮い立たせて向き合っていることを,この俳句に表現しました。
MS当事者の方を差し置いてこのような賞をいただき,心苦しい気持ちの反面,誠に光栄に存じます。さらに,テレビ番組『プレバト!!』でいつも拝見している夏井先生に審査いただけましたことも,喜ばしい限りです。
リハビリテーション医療は,病気を治したり,再発を予防したりすることに対しては無力です。しかし,リハビリテーションを通して,満足した生活が送れるように支援することは可能です。少しでもMSのリハビリテーションに興味関心,問題意識を持つリハビリテーション専門職が,この啓発活動を通して広まればと心より思っております。
〈夏井先生 選評〉
春の季語「陽炎」は、地面から立ちのぼる蒸気により風景などが揺らめいて見える現象のこと。病気と日々向き合い、患者に力を貰いながら、治療の心を燃えたたす心情が陽炎に重なってきます。
〈作品〉貝のごと緩む春日の喫茶店
〈詠み手〉俳号 ぐ(家族・友人)
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
歩行時は杖をついて気を張って厳しい表情ですが、お気に入りの喫茶店でお母様と過ごされているときは柔らかく、幸せそうな表情でこちらも嬉しくなります。私の句を選んでいただきとても嬉しいです。ありがとうございます。
〈夏井先生 選評〉
春の光の差し込む美味しい喫茶店で、お喋りしているのでしょうか。「貝のごと緩む」が、症状の軽さだけでなく、殻から身を乗り出し緩んだ貝を想像させ、いかにも楽しく幸せそうです。
〈作品〉ゆつくりと野菜を切つて夕焼かな
〈詠み手〉俳号 くぅ(家族・友人)
〈作品の背景及び受賞者コメント〉
この度は、受賞のご連絡ありがとうございます。
自己流ながら夏井先生の著書、YouTubeを拝見し、俳句を作るようになり1年、まだまだと思っておりますが、今回夏井先生をはじめ、MSのご専門の先生のトークセッションに取り上げていただけるとはとてもうれしく思っております。
さて、今回応募しました俳句についてです。
モデルとなった友人は、手や足に不自由を感じるようになりました。
それまでは、子育てに仕事にバリバリと働いていました。診断を受けてからも幸い理解のある職場で、仕事を続けていましたが、起き上がれない日があったり、手が上手く使えない日があったりで、やむなく退職となりました。
それでも彼女は、闘病の毎日と同時に、動けない日には起き上がりや歩行を支えてくれるご主人や子どもたちに感謝をしながら過ごす日だったそうです。
そして、家族との夕食を楽しみに、時間がかかってもできることをしながら、できる範囲で料理をつくり、元気な時には気づかなかった日々の些細なことにも感動しながら過ごしています。
コロナ禍で会うことも難しい昨今ですが、穏やかに過ごしている彼女の姿を詠んでみました。ご意見をいただけましたら光栄に存じます。
〈夏井先生 選評〉
症状が軽い日でしょうか。とは言え、庖丁をもつにも困難があり、野菜を切るにもゆつくりと時間をかけて準備をしているのでしょう。準備が整って一息つくと、美しい夕焼けが広がっています。
■佳作
車椅子とめて見上げる盆の月
福冨崇史(当事者)
ただ浮かび見ても分からぬ朧月
俳号 木花朔夜姫(当事者)
暑き日に譲られた席を娘に譲り
井筒こずえ(家族・友人)
桜までたどり着いた初めての春
俳号 ゆかりんりん(当事者)
このナースに叱られたくて冬苺
小沼義典(当事者)
生き延びよ友に届ける辣薤漬け
山内英子(家族・友人)
母の声涙でにじむ駅の紫陽花
俳号 一柳ナヲ(当事者)
春の闇くぐり抜けたり我生きる
樋田久美子(当事者)
秋の夕鍵盤蓋の閉じたまま
俳号 林 理(当事者)
春愁やたまに失念わが名前
俳号 プリンちゃん(当事者)
春寒し証書受け取る吾子遠く
西岡由美子(当事者)
[審査員] 夏井いつき先生
昭和32年生まれ。松山市在住。俳句集団「いつき組」組長、藍生俳句会会員。第8回俳壇賞受賞。第72回日本放送協会放送文化賞受賞。第4回種田山頭火賞受賞。俳句甲子園の創設にも携わる。帝塚山学院大学客員教授。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」等選者。2015年より初代俳都松山大使。句集「伊月集 鶴」、「おうちde俳句」、「世界一わかりやすい俳句鑑賞の授業」等著書多数。
多発性硬化症について
MSは慢性進行性神経疾患であり、認知機能、心理社会的機能及び身体機能に影響を及ぼし、中枢神経系における炎症、ミエリン破壊、オリゴデンドロサイトの細胞死、軸索損傷およびその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患です。MSの有病率は人種間および地域間で差があり、日本における推定有病率は欧米諸国の10%程度と報告されています
1)。日本でのMS患者数は増加傾向にあり
2)、罹患率は10万人当たり10.8~14.4人と報告されています
3)。
MSは、手足のしびれ、感覚機能や判断力の低下など患者さんによって症状が多様で診断が難しく、疾患としてもまだまだ理解が進んでいないのが現状です。2017年にバイオジェン・ジャパンが「全国多発性硬化症友の会」と共同で実施した調査
4)によると、最初にMSと思われる症状が現れてから、確定診断されるまでに平均3.7年、3つの医療機関を受診しているということが示されました。また、一見しただけでは病気であるとわかりづらいため、周囲の理解が得られず、就労や日常生活で困難が強いられることもあります。
バイオジェン・ジャパンは、MSとともに生きる方々を中心とした疾患啓発活動を通じて、一人でも多くの方にMSという疾患について、また当事者の方々が抱えている課題を知っていただくことで配慮や支援につながり、MSになってもその人らしい生き方ができる社会づくりの一助となることを願っています。
バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業のひとつです。バイオジェンは多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する最初で唯一の治療薬を提供しています。また、生物製剤の高い技術力を活かしてバイオシミラーの製品化を行い、業界内で最も多様な神経科学領域のパイプラインに注力し、進展させており、アンメットニーズが高い疾患領域の患者さんの治療水準に変化をもたらしています。
2020年、バイオジェンは、気候、健康、公平さが深く相互に関連する課題に対して、20年間に2億5000万ドルを投資する大規模な取組みを開始しました。Healthy Climate, Healthy Lives ™は、ビジネス全体で化石燃料の使用をゼロにし、著名な研究機関とのコラボレーションを構築して科学研究を進展させ、人類の健康を改善し、発展途上のコミュニティをサポートすることを目的としています。
バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で有数の歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。「神経科学の不可能を、可能に。」をビジョンに掲げ、日本の患者さんにも革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。
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