株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)は、ものづくりの現場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に貢献する、超小型マシンビジョンカメラ※1「LuFact(ルファクト)」を発売します。
「LuFact」は、ニコンがデジタルカメラで長年にわたって積み重ねてきた独自の画像処理技術から生まれたニコン初のマシンビジョンカメラです。撮影を行うカメラヘッドから画像処理を行うインターフェース変換ユニット(以下「I/F変換ユニット」)を分離することによってカメラヘッドの超小型化を実現。既存の装置や生産ライン、ロボットハンドなどに設置しやすい製品です。今回、カメラヘッドは、高感度モデルと高解像度モデルの2機種、I/F変換ユニットは、伝送規格が異なる2種を発売します。
なお、商品名「LuFact」は、「Luminous Factory Camera」をもとにした造語で、「明るい工場を実現するカメラ」を表現しています。また、「従来見えなかった事実を可視化する」という「Fact」の意味も込めています。
※1 生産現場において、人が行う目視検査の代わりに、コンピュータやデジタル入出力機器と組み合わせて、
各種製品を検査するための画像入力用カメラを指します。
■発売概要
・商品名
カメラヘッド
※2 「LuFact AH020-MR」
「LuFact AH080-MR」
I/F変換ユニット
※2 「LuFact A1000-G」(GigE Visionモデル)
「LuFact A1000-U」(USB3 Visionモデル)
・発売時期
2022年8月31日予定
※2 カメラヘッド、I/F変換ユニット、ともに「LuFact」シリーズの製品と組み合わせて使用します。他社製品には対応していません。
■開発の背景
生産性向上やコスト削減、新たな製品やサービスの創出などを目的に、ものづくりの現場ではDX化へのニーズが高まっています。
従来、人が目視で行っている製造工程の監視や外観検査などを自動化するためには、高感度や高解像度の撮影が高速でできるマシンビジョンカメラが必要です。また、既存の装置や生産ライン、ロボットハンドなどへの設置を考慮すると、小型・軽量で、取り付けの自由度が高いことも重要視されています。
今回発売する「LuFact」は、ニコンがデジタルカメラで長年にわたって積み重ねてきた独自の画像処理技術から生まれたニコン初のマシンビジョンカメラです。高感度、高解像度なカメラで撮影が可能なうえ、画像処理を行うI/F変換ユニットを分離させることで、超小型化を実現しました。ものづくりの現場における業務の効率化やDX化の推進に貢献します。
なお、「LuFact」のカメラヘッド「AH020-MR」とI/F変換ユニット「A1000-G」は、ソニーグループの半導体製造会社でスマートファクトリー化を推進しているソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社(社長:山口 宜洋、熊本県菊池郡、以下「SCK」)の「CR2プロジェクト※3」にニコンが参画し、SCKの協力のもとニコンが開発したものです。SCKの製造現場での性能評価を経たのち、正式にSCKで採用されました。
※3 「CR2プロジェクト」は、SCKが「世界初」「業界トップレベル」の改善をパートナー企業との協業を通じて実現していくことを目的に、
2003年に立ち上げたプロジェクトです。
■主な特長
1. カメラヘッドの超小型化を実現
カメラヘッドからI/F変換ユニットを分離することで、カメラヘッドの超小型化を実現。既設の装置や生産ラインに取り付けやすい、高い自由度を備えました。超小型で軽量であるため、ロボットハンドにも取り付けが可能で、ロボットを使用した作業の精度向上にも貢献します。
2. 生産ラインに与える熱影響を低減
生産ライン上や設備内などに取り付けて撮影するカメラヘッドと、発熱源となるI/F変換ユニットを分離して設置できるため、生産ラインに与える熱影響を低減します。また、カメラヘッド周りの温度が高くなる環境下でも、I/F変換ユニットを離すことで、サーマルシャットダウン※4による撮影停止を抑えることができます。
※4 デバイスの周囲や内部部品の温度が異常に高まった場合に、デバイスを保護するためにその機能を停止させること。
3. 撮影対象や用途に応じてカメラヘッドの選択が可能
高感度モデルの「AH020-MR」と高解像度モデルの「AH080-MR」のカメラヘッド2機種を用意。レンズ交換式カメラのように、撮影対象や用途など、ユーザーの要望に応じてカメラヘッドを変更して使用することが可能です。
4. ソフトウェア開発キットでカメラを制御するアプリケーションの開発が容易
「LuFact」シリーズのカメラを制御するアプリケーションを容易に開発するために、ソフトウェア開発キットとして、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、開発者向けリファレンスマニュアル、サンプルコードを用意。短い工数で柔軟なアプリケーションを開発することができます。