国際社会を揺るがすロシアのウクライナ侵攻から約4カ月が過ぎました。このような状況を受け、学校法人関西学院は6月21日、キーウ工科大学と西宮上ケ原キャンパスなど4キャンパスをつないだオンライン講演会を開催。当日はセルギー・ゲラシコフ・哲学科准教授(元関西学院大学社会学部海外客員教員)が「ウクライナからの声 戦争でウクライナ社会はどう変わったか」をテーマに講演し、学生、生徒、教職員ら約160人が聴講しました。
冒頭では中道基夫・院長が「私たちは毎日、ウクライナに関するニュースを目にしているが、それはほんの一部でしかない。講演を通じて、実際に起こっていることを学び、日本にいる私たちができることは何かを積極的に考えてほしい」と参加者に訴えました。
ゲラシコフ准教授は複数の事例や客観的なデータをあげてウクライナの現状を紹介しました。ロシアの侵攻による影響はウクライナ国内にとどまらず、国家主義や民主主義と専制主義の対立、人権、世界秩序にまで及んでいると指摘。次に、ウクライナ国民はゼレンスキー大統領や政府を支持している割合が多いことから高い結束力を持っていることなどを紹介しました。
最後には、戦争が教育に甚大な影響を与えていることを説明。授業が一時停止され、教育関連の施設が破壊されている実態に対しては、学生らも驚きを隠せない様子。ゲラシコフ准教授は「大学は、徐々にオンライン授業が再開されているものの、不安定な状況が続いている。戦時下においても教育を維持するため、国家レベルの指針が必要になっている」と訴えました。
講演後の質疑応答では、「必要な支援は何か」「制圧された地域を取り戻すのか、軍事的な勝利かどちらを望んでいるのか」と在学生が聞く場面も。ゲラシコフ准教授は「支援内容とは異なるが、必要なのは『平和』。私がいる地域でもこの講演の1時間前に空襲警報が発令されており、いつミサイルが飛んでくるかわからない。ウクライナ国民はみんな疲れ切っている。勝利も必要だが、それ以上に、私にはこの戦争の終わり方がイメージできていない」と、苦しい胸の内を明らかにしました。
参加した由藤美羽さん(社会学部3年生)は「データを交えた生の声を聞くことで、ウクライナ国民が想像を越えた困難にも立ち向かえる強さを備えていることなど、報道だけではわからない部分を知りました。今後も国際社会の問題を積極的に調べ、関心を深めていきたい。日本で生活していると遠い存在に感じてしまう戦争が、オンライン講演会をきっかけに身近で起こっていると感じた。一日でも早く現地に平和が戻って欲しい」と願いを込めました。
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