株式会社東芝(本社:東京都港区、以下 東芝)、東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、以下 東芝デジタルソリューションズ)とBT Group plc(本社:英国ロンドン、以下 BT)は、2022年4月26日より英国ロンドンにて世界初
(注1)の量子暗号通信の商用向けメトロネットワークのトライアルサービスの提供を開始したことを発表しました。
また、本トライアルサービスの最初の顧客企業としてErnst & Young Global Limited(本社:英国ロンドン、以下EY)が、ロンドン東部のカナリー・ワーフ地区とロンドン・ブリッジ周辺地区間の拠点間接続での利用を予定しています。本トライアルサービスにより、量子鍵配送(Quantum Key Distribution、以下QKD)がどのように安全にデータを拠点間で転送できるかを示し、量子暗号通信ネットワークが顧客企業にもたらす効果を明らかにしていく予定です。
東芝、東芝デジタルソリューションズとBTは2021年10月に発表
(注2)したとおり、ロンドンで量子暗号通信の商用向けメトロネットワークの実証環境を共同で構築しました。今回トライアルサービスの提供を開始する商用向けメトロネットワークはBTの子会社であるBritish Telecommunications plcが運用し、BTの子会社であるOpenreachが提供するプライベートファイバーネットワークと、東芝デジタルソリューションズが提供するQKDシステム及び鍵管理システムによる、専用の高帯域エンドツーエンド暗号化リンクを含むさまざまな量子暗号通信サービスを提供します。
本ネットワークは、ロンドン市内で事業を展開する多くの顧客企業をつなぎ、通常の光ファイバーを用いたQKDにより、実拠点間での重要情報のデータ通信を安全に行うことを可能にします。QKDは今後の量子コンピューティングを用いたサイバー攻撃による脅威からネットワークやデータを守るために必要不可欠な重要な技術です。今般のトライアルサービスの開始は、英国政府が戦略として掲げる量子対応経済の実現に貢献する重要な一歩になります。
BTのCTOであるHoward Watsonは、「量子技術は、将来の社会とビジネスのあり方に大きな影響を与えると期待されていますが、その技術の理解・開発・構築は極めて複雑です。特に、エンドツーエンドサービスの設計が市場の厳しいセキュリティ要件を満たすことが重要となります。私は、BTと東芝が協力して順調にこの独自のネットワークを実現することができたことを非常に誇りに思います。そして最初のトライアルの顧客であるEYとともに、量子技術の商用利用に向けさらなる探求を進め、社会的アプリケーションに向けた道を切り開いていきます。」と述べています。
東芝の執行役上席常務、最高デジタル責任者、および東芝デジタルソリューションズの取締役社長である岡田俊輔は、「東芝とBTの両社はともに、世界レベルの技術開発を行い、数十年に及ぶイノベーションや活動を通じてリーダーシップを発揮してきました。ネットワーク技術におけるBTのリーダーシップと、量子技術における東芝のリーダーシップを組み合わせ、このネットワークに命を吹き込むことで、初めてロンドン一帯のビジネスにとって量子暗号通信が有益なものとなると考えています。」と述べています。
EY UK & Irelandのテクノロジー/メディア・エンターテインメント/テレコムセクター(TMT) マネージング パートナーであるPraveen Shankar氏は、「量子技術はビジネスに新たな大きなチャンスをもたらしますが、同時に潜在的なリスクもはらんでいます。量子力学に基づき安全にデータを伝送することは、デジタル経済下でビジネスを行う上で不可欠となるデータ保護において大きな飛躍を意味します。世界をリードするテクノロジーイノベーターであるBTと東芝が協力することで、EYと私たちの顧客双方に量子技術の力を示すことができるでしょう。」と述べています。
英国政府は2020年に初めて、量子対応経済の発展に向けた “strategic intent”を発行しました。その中で、量子技術が、英国のデジタルバックボーンの不可欠な一部となり、成長を促進し、繫栄とレジリエントな経済の構築に役立つイノベーションを解き放ち、英国の繁栄と安全保障に大きな価値をもたらす、今後10年間のビジョンが示されています。
今回のロンドンの商用向けメトロネットワークは、量子技術を用いた安全な通信を目指す国のネットワークを築くための重要な一歩であり、英国の量子対応経済の成長を活気づけるものとなるでしょう。
これについて、Howard Watsonは 「今回の取り組みは英国が量子対応経済を目指す上で重要な瞬間ですが、まだ道半ばです。量子コンピューティング、量子暗号、量子通信など、この新しい経済に貢献する量子技術の研究を広げるには、さらなる投資のコミットメントが必要です。私たちは英国政府や産業界のパートナーのみなさまとともにBTが始動させたこの勢いを継続し、英国の量子戦略を形成することを楽しみにしています。」と述べています。
今回の商用向けメトロネットワークでの実証環境の構築に向けた協働は、英国サフォークのBTのアダストラルパークR&Dにて行われました。 また、東芝は量子技術のビジネスの拠点を日本および英国ケンブリッジに有していますが、そこで量子暗号技術の開発や製造を行っています。
BT CTO Howard Watson(左)、
東芝 執行役上席常務 最高デジタル責任者
東芝デジタルソリューションズ 取締役社長 岡田俊輔(右)
BTについて
BT Groupは、英国を代表する電気通信およびネットワークプロバイダーであり、180か国の顧客にサービスを提供するグローバルな通信サービスおよびソリューションの大手プロバイダーです。英国での主な活動には、固定音声、モバイル、ブロードバンド、TV(スポーツを含む)、および消費者、ビジネス、公共部門の顧客への統合された固定およびモバイルネットワークを介したさまざまな製品とサービスの提供が含まれます。 BTは、世界中の顧客にマネージドサービス、セキュリティ、ネットワーク、ITインフラサービスを提供して、世界中の顧客の運用をサポートしています。BTは、コンシューマー、エンタープライズ、グローバル、およびその完全子会社であるOpenreachの4つの顧客対応ユニットで構成されており、英国全土の家庭や企業に電話、ブロードバンド、イーサネットサービスを販売する650を超える通信プロバイダーの顧客にアクセスネットワークサービスを提供しています。
2021年3月31日に終了した年度のBTグループの報告収益は213億3,100万ポンドで、税引前利益は18億400万ポンドでした。
British Telecommunications plcは、BT Group plcの完全子会社であり、BT Groupの実質的にすべての事業と資産を網羅しています。 BT Group plcはロンドン証券取引所に上場しています。
詳細については、www.bt.com/about をご覧ください。
EYについて
EYは、「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」をパーパスとしています。クライアント、人々、そして社会のために長期的価値を創出し、資本市場における信頼の構築に貢献します。
150カ国以上に展開するEYのチームは、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長、変革および事業を支援します。
アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務およびトランザクションの全サービスを通して、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導きます。
EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。
注1:東芝およびBT調べ
注2:2021年10月5日ニュースリリース
「東芝と英国BT、ロンドンで世界初の量子暗号通信の商用メトロネットワークを構築」
https://www.global.toshiba/jp/news/corporate/2021/10/news-20211005-01.html
■東芝の量子暗号通信
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/security-ict/qkd.html