足元における、ウクライナ情勢を巡るリスクの上昇は、投資家がリスクに備える必要性を強調します。
ヨハナ・カークランド
CIO
マルチアセット運用・グローバルヘッド
ウクライナ情勢を巡り足元でボラティリティの高い環境が続いています。緊張が高まる中、2つのシナリオが考えられます。プーチン大統領の行動を予測することは難しく、これらのリスクは予測不可能となっています。緊張が緩和される可能性がメインシナリオと考えるとしても、状況が悪化する可能性は大きく残っています。
このような状況に直面した時、我々のアプローチは最悪の場合に備えて、ポートフォリオのプロテクションとなる手段を特定することです。
足元では、コモディティがこのプロテクション役割を果たすと考えています。足元のインフレ圧力を巡る懸念に対するヘッジ手段としてコモディティを選好していますが、原油や金についても、ロシアによるウクライナへの軍事作戦に対するプロテクションとなることが期待されます。
政治リスクが存在する場合、起こり得るシナリオは、無数に存在すると考えられます。ウクライナの場合、ロシアがウクライナを侵略するか否かの2つのシナリオだけではないということです。
実際には、プーチン大統領はロシア国外での自国の影響力を拡大するための様々な戦略を取っています。例えば、ベラルーシとの合同軍事演習や、ウクライナにおける分断の助長、またウクライナの政治的リーダーシップの弱体化等が挙げられます。
戦争が回避された場合は、短期的には市場にとって支援材料となります。しかしながら、様々な要因を考慮すると、根本的な解決には至らないと考えられます。ロシアはこの先、数カ月、数年に亘り、リスクの源となる可能性があり、我々はそのリスクと共存する方法を学ばなければなりません。
足元の市場をさらに広範な視点で見た場合、イギリスの諺「手の中にある一羽の鳥は、繁みの中の2羽の価値がある(大きくても不確実な将来の利益よりも小さくても確実な現在の利益のほうが有用という意味)」を再認識させます。
この諺を運用チームに置き換えると、判断は慎重かつ冷静に行い、必要以上のリスクを取らないということになります。中央銀行の金融政策により金利がゼロの水準で推移した過去10年間においては、この諺の重要性は軽視されてきました。投資家は、手の中の鳥(確実な現在の利益)に関心はなく、リスクは気にせず、リターンの獲得ができた状況が続いてきました。
では、利上げの開始と足元における利回りがマイナスの債券の割合の低下は、この状況を変えることにつながるのでしょうか?
答えは、YESです。金融政策が支援材料となったブルマーケットの基盤は変化しつつあり、株式は割高なバリュエーションに直面しつつあります。社債市場のボラティリティが上昇する中、そのボラティリティを許容するために、投資家はより高いスプレッドを要求することになります。
そうした中、我々は足元ポートフォリオのリスクを削減しています。とはいえ、2022年に景気後退のリスクがあるから、ということではありません。現にその可能性は依然低いと判断しています。このことから、キャッシュよりも分散投資の重要性を強調しており、バリュエーションに対する懸念がより低い、一部の株式に注視しています。
景気サイクルは成熟化しており、バリュエーションは割高となっており、資産間の相関性にも変化が見られつつあります。このような環境下においては、投資家は投資を継続する必要はありますが、分散が重要となると考えています。
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