企画を担当した若手社員の一人、宇田亜美さん
発端は若手社員による「自主研究会」
「電動車いすのお客さまから、素敵な体験談をお聞きました。町の中で通りすがりの親子とすれ違った時、『おねえさんのタイヤ、きれいでかわいい』 って声を掛けてもらったんだそうです。その光景を思い浮かべて、私たちが考える共生社会、その第一歩を象徴しているように感じました」
こう話すのは、当社JW※ビジネス部の宇田亜美さん(写真)。当社と(株)ヘラルボニーのコラボレーション商品、電動車いす用「アートスポークカバー」の企画を担った一人です。
ヘラルボニー社は、“異彩を、放て。”をミッションに障がいのイメージの一新をめざす福祉実験ユニットです。障がいのあるアーティストが描く作品をプロダクトにして社会に提案し、その収益の一部をアーティストに還元しています。新商品の「アートスポークカバー」では、同社がライセンス契約を結ぶ3人のアーティストの作品が採用されています。
このプロジェクトの発端は、当社の若手社員たちによる自主的なマーケティングの研究会でした。その取り組みを通して出会ったヘラルボニーの活動に宇田さんらメンバー4人が共感し、「乗る人の個性を表現することで、障がいを持つ人や車いすがもっと身近になるのではないか」と考えたことがきっかけでした。
作品としての質の高さで「出かけたくなる気持ち」を後押し
「出かけたくなる気持ち」を後押し
スポークカバーは、車いすをドレスアップする代表的なアクセサリーの一つです。「選ぶのが楽しい」「愛着が沸く」といったお客さまの声に応え、当社ではお子さまに人気のディズニーキャラクターシリーズなど、全25種のスポークカバーをラインナップしています。
「共感だけでこの企画を進めてきたわけではありません。何より私たちの心を動かしたのは、それぞれのアート作品の質の高さでした。製品を見ていただければご理解いただけると思いますが、車いすのお客さまが外に出かけたくなる、そんな気持ちを後押しする力を感じました」と、宇田さん。
電動車いす事業の長い歩みの中で、歴代の担当者たちは共通の思いを抱いてきました。それは、障がいの有無にかかわらず、誰もが尊重し合い、自分の可能性を発揮できる共生社会の実現です。
「大切なのは、人びとの理解。障がいや車いすについて知っていただくこと、そして、そのためには注目されることも重要だと考えています。このスポークカバーは、きっとその一助になれる。注目される機会をさらに拡げていくアイデアとして、公共の場のレンタル車いすなどへの提案も進めていきたいと考えています」(同)
※JW= ジョイ・ホイールを意味する当社車いす製品のブランド
神奈川県の「ともに生きる社会かながわ憲章」の主旨に賛同した、神奈川県とのコラボモデル
■電動車いす アートスポークカバー
https://www.yamaha-motor.co.jp/wheelchair/accessories/spokecover/art/
■広報担当者より
「アート作品の質感を損なわないよう、転写の方法にも一工夫を加えるなど、企画から製品化まで一連の流れを体験することができた」と宇田さん。このコラボ製品を生み出した4人の若手研究会はいまも継続中で、毎週水曜日に集まり、幅広い領域の研究活動を続けているそうです。