東京薬科大学の吉川大和准教授らがラミニンβ2鎖の変異による腎障害メカニズムについて解明 -- 遺伝的要因による蛋白尿の治療法開発に期待



東京薬科大学・薬学部・病態生化学教室の吉川大和 准教授らのグループは、東京大学・大学院医学系研究科・小児医学講座 張田豊 准教授および山形大学・医学部・小児科 橋本多恵子 助教との共同研究により、糸球体基底膜の構成分子であるラミニンβ2鎖の異常による腎障害のメカニズムを明らかにしました。




【ポイント】
■成果について
腎糸球体基底膜の構成分子であるラミニンβ2鎖をコードするLAMB2遺伝子の変異は、全身的な症状を呈するピアソン症候群や腎臓病の原因になります。日本人に見られるLAMB2の変異の解析から、発症に関与するラミニンβ2鎖の新たな機能を解明しました。
■研究の背景
日本人で同定されたLAMB2遺伝子の特定の変異では腎臓以外の全身症状をきたさない孤発性腎症を発症します。この研究では腎臓にのみ異常をきたすこれらの変異が、機能が不明のラミニンβ2鎖の一部の領域に多いことに着目しました。LAMB2遺伝子の変異がどのように糸球体における尿のろ過に影響しているのか、また全身の重度な症状を引き起こさない理由も不明でした。
■今後の展望
本研究の成果はラミニンβ2鎖の変異の種類に応じて症状を予測したり、メカニズムに基づいた治療戦略につながることが期待されます。



【概要】
東京薬科大学・薬学部・病態生化学教室の吉川大和 准教授らのグループは、東京大学・大学院医学系研究科・小児医学講座 張田豊 准教授および山形大学・医学部・小児科 橋本多恵子 助教との共同研究により、糸球体基底膜の構成分子であるラミニンβ2鎖の異常による腎障害のメカニズムを明らかにしました。

糸球体の基底膜は、血液をろ過して尿を生成するフィルターとして機能する膜状の構造体です(図)。ラミニンβ2鎖は、ラミニン-521のサブユニットであり、糸球体基底膜のろ過機能に関わっています。ラミニンβ2鎖の欠損は、神経や目の異常と尿中に蛋白を多量に漏出する重症のネフローゼ症候群を合併するピアソン症候群を引き起こすことが知られています。しかしながら、日本人で同定されたLAMB2遺伝子の特定の変異では腎臓の異常(蛋白尿)だけを呈します。LAMB2の様々な変異により重症度の異なる病態が発症するメカニズムの解明が求められていました。

本研究では、腎臓にのみ異常をきたす変異がラミニンβ2鎖の一部に多いことに着目しました。まずこれらの変異(p.R469Q, p.G699R, p.R1078C)が、古典的なピアソン症候群を起こす変異と異なり、ラミニンβ2鎖を欠損させるものではないことを見出しました。さらに生化学的な解析により、その変異がヘパリン結合性およびラミニン結合性などを上昇させ、ラミニン-521によるフィルター形成を妨げることで選択的なろ過機能が失われ、血漿蛋白を漏出させる可能性を明らかにしました。

ラミニンβ2鎖の新たな機能を明らかにし、特定の変異がなぜ腎臓病を起こすのかというメカニズムの解明は、変異の種類に応じた症状の予測や、メカニズムに基づいた治療法の開発に繋がるものと期待されます。
(本研究成果は、科学研究費の支援により得られました。)

【論文情報】
Laminin β2 variants associated with isolated nephropathy that impact matrix regulation
Yamato Kikkawa, Taeko Hashimoto, Keiichi Takizawa, Seiya Urae, Haruka Masuda, Masumi Matsunuma, Yuji Yamada, Keisuke Hamada, Motoyoshi Nomizu, Helen Liapis, Masataka Hisano, Yuko Akioka, Kenichiro Miura, Motoshi Hattori, Jeffrey H Miner, Yutaka Harita
掲載誌:JCI Insight



【関連リンク】
東京薬科大学|ラミニンβ2鎖の変異による腎障害メカニズムの解明 ~遺伝的要因による蛋白尿の治療法開発に期待~|プレスリリース
https://www.toyaku.ac.jp/pharmacy/newstopics/2020/0323_4340.html

▼本件に関する問い合わせ先
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【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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