近年、木造建築は人に与える温もりや香りの効果だけでなく、木の建材としての柔軟性、衝撃や音の吸収、そして木材を使用することによる工期の短縮化やコスト軽減といった点が高い評価を受けています。特にサステナビリティに対する貢献度は大きく、木材が再利用可能な循環資源であることや二酸化炭素貯留効率の高さなど、環境負荷を低減する建材としても多くの注目が集まっています。また、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)に関しては、床・壁・屋根が一体となった強固な「六面体構造(箱構造)」によって荷重を一点でなく面全体に分散させて外力に対して抜群の強さを発揮し、建物の変形や倒壊を防ぐという耐震性能も兼ね備えています。
実際に、日本国内では住宅以外の木造建築が増加傾向にあり、カナダ林産業審議会(COFI)日本事務所が発表した市場調査報告書「Beyond Housing:A Market Analysis of Timber Opportunities in Japanese Non-Residential Construction(日本の非住宅建設における木材の市場機会の分析)」では、2011年から2019年の間の日本の非住宅市場全体における木造建築の占める割合は、総戸数では32%から36%、総床面積では9.3%から9.8%へと拡大していることが明らかとなりました。日本の非住宅木造市場は過去10年間で着実な成長を遂げていると言えます。