職場の同僚や家族、友人たちが補助役を務めた「はじめましてコース」
お客さまの気持ちを理解すること
「エンジン音を肌で感じたのは初めての経験。クルマと較べて自分で操っているという実感を持てたし、風を受けて自然をじかに感じました。身体全体でお客さまの喜びを理解できたような気がします」
昨年11月、当社ではグループ従業員を対象に、「ヤマハ従業員女性限定バイクレッスン」を開催しました。冒頭のコメントは、このイベントで初めてオートバイの操作を体験した女性社員の言葉です。
「当社はオートバイを製造している会社なので、もちろん二輪免許を持っている人がたくさんいます。でも、若い人たちと話している中で、『一緒に走る人がいない』とか『乗るきっかけがない』といった言葉を何度も聞きました」と話すのは、同イベントの企画・運営を担った太田晴美さん。「そのきっかけを用意したい、と考えたのが始まりです。自分自身が楽しむことで自社製品への愛着も湧くでしょうし、日々の業務をより楽しくできるんじゃないかと企画しました。そして何より、お客様の気持ちを理解すること。これがもっとも大切なことだと考えています」
「みんな笑顔で帰ってくれたのが嬉しかった」と太田さん
社内の「おせっかいさん」がサポート
笑顔と歓声、たくさんの拍手に包まれた当日は、二輪免許を持っていない従業員のための「はじめましてコース」、免許取得者を対象とした「久しぶりコース」と「初心者コース」の3グループに分かれて講習を実施。「はじめましてコース」では、職場の上司や同僚、家族、友人などが受講者の補助役として一緒に参加しました。
装具を身に着けては笑い、エンジンが掛かれば歓声をあげる。そんな楽しそうな雰囲気も、いざオートバイにまたがれば表情は一変。「ゆっくり、ゆっくり」、「肩の力を抜きましょう」、「ほらできた。すごく上手です!」。インストラクターがかける言葉の一つひとつに思いやりがあふれています。「初めてオートバイに乗るときは誰でも緊張しますし、怖さも感じます。だからこそオートバイとの原体験をいい思い出にしてもらおうと、スタッフで確認し合っていました。社内のおせっかいさん、といった感じでしょうか(笑)」(太田さん)
多様性を活かした職場づくりを進める当社では、家庭と仕事の両立セミナーや女性リーダー研修など、さまざまな女性活躍支援の取り組みを行っています。「こうした機会を用意してくれたことも、この会社ならではの、らしい支援の形だと思う」。参加者の一人はそう話しました。
さて、免許所有者対象の「初心者コース」の締めくくりは、公道でのグループツーリング。「もう、道路で走ることはないかもと思ってました。練習コースから公道に出た瞬間、感動して涙が出そうでした」。わずか1時間ほどのツーリングが、バイクライフ再開のきっかけになりそうです。
免許所有者の「初心者コース」は、公道走行も体験
■広報担当者より
7年ぶりに3回目の開催となった女性従業員対象のバイクレッスン。前回の参加者には、このイベントをきっかけに二輪免許を取得した社員もいます。「はじめましてコース」のカリキュラムは、小学生対象の「親子バイク教室」をアレンジしたもの。初めてまたがるオートバイに緊張しながら2時間後には全員笑顔で走っている姿を見て、当社安全普及活動=YRA(ヤマハライディングアカデミー)の質の高さを実感しました。