ギリアド・サイエンシズ COVID-19治療薬として開発中のremdesivirの第III相臨床試験で得られた重症患者の結果を発表

― 5日間投与と10日間投与によるremdesivirの有効性は同程度 ― 

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は 本日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症入院患者を対象に、現在開発中の抗ウイルス薬remdesivirの5日間投与と10日間投与を評価した非盲検第III相試験(SIMPLE試験)の主要結果を発表しました。試験では、10日間にわたりremdesivirの治療を受けた患者の臨床症状の改善度は、5日間にわたり治療を受けた患者の改善度と同程度であることが明らかにされました(第14日におけるオッズ比:0.75 [95% CI 0.51 – 1.12] )。いずれの治療群にも、新たな安全性シグナルは認められませんでした。ギリアドは、今後数週間以内に本試験の詳細データを査読論文誌に発表する予定です。

ギリアドのチーフ・メディカル・オフィサーであるマーダッド・パーシー (Merdad Parsey, MD, PhD)は、次のように述べています。「従来の医薬品開発とは異なり、私たちは世界で拡大しつつあるパンデミックの中で開発中の医薬品の評価を行っています。本試験と並行して行われている多数の試験より、remdesivirのCOVID-19における安全性と有効性に関して、また本剤の最良の使用法についての情報も得られつつあります。これらの研究結果は、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)が実施しているremdesivirのプラセボ対照試験のデータを補完するものとなり、remdesivirの最適な投与期間を判断する一助となります。今回の試験は、一部の患者さんは5日間の治療を受けられる可能性を示すもので、現時点でのremdesivirの供給量で治療可能な患者さんを大幅に増やせる可能性があります。このことは、パンデミックの只中では特に重要であり、医療機関や医療従事者がさらに多くの急を要する患者さんを治療することができるようになります」

remdesivirは現在開発中の新薬候補で、世界のいずれの国・地域でも認可・承認されておらず、COVID-19治療薬としての安全性と有効性は立証されていません。今回の試験は、remdesivirの投与期間を短縮して5日間とした場合にも、現在実施中の複数の臨床試験で検討されている10日間投与で得られる結果と同様の有効性が得られるかどうかを検討する目的で実施しました。また、各群の有害事象発現率や臨床効果の評価指標の追加検討も副次的な目的としました。試験参加時点で肺炎の所見を示し、酸素飽和度の低下がみられるものの、人工呼吸器を必要としない患者が試験に参加しました。臨床的改善は、試験計画書に示した7段階スケール(退院~酸素療法の必要性~死亡)でベースラインからの2段階以上の改善がみられることと定義しました。臨床的回復とは、酸素療法と治療が不要となるか、退院に至ることとしました。

今回の試験では、臨床的改善が患者の50%に認められるまでの期間は、5日間投与群では10日、10日間投与群では11日でした。両群とも、半数以上の患者が第14日までに退院しました(5日投与群: 60.0%, n=120/200 vs.10日投与群: 52.3% n=103/197; p=0.14)。第14日には、5日投与群の64.5%( n=129/200)、10日投与群の53.8%(n=106/197)が臨床的回復に到達しました。

臨床転帰は、地域により異なりました。イタリア以外では第14日時点の死亡率は両群あわせて7% (n=23/320)、第14日時点で臨床的改善がみられた患者の割合は64% (n=205/320)であり、61%(n=196/320)が退院しました。

早期治療への影響
探索的解析では、発症後10日以内にremdesivirの投与を受けた患者は、発症後11日以降に投与を受けた患者に比べ、転帰が良好でした。両治療群のデータをあわせて解析したところ、第14日までに退院した患者の割合は、発症後10日以内に治療を開始した患者では62%、発症後11日以降に開始した患者では49%でした。

本試験の主任試験責任医師の一人であるスタンフォード大学医学部の易感染性宿主感染症部長で医学臨床教授のアルナ・スブラマニアン医師(Aruna Subramanian, MD)は、次のように述べています。「今回のデータは、remdesivirによる治療を通常より短期間の5日間受けた患者さんでも、10日間の治療を受けた患者さんと同じように臨床的改善が認められることを示すものです。さらなるデータは必要ですが、今回の結果は、remdesivirの安全性と有効性が立証された場合には、本剤の治療の最適化についての理解を深める一助となります」

remdesivirの忍容性は、5日間投与群、10日間投与群とも概ね良好でした。患者の10%以上に認められた有害事象は、悪心(5日間投与群: 10.0%, n=20/200 vs. 10日間投与群: 8.6%, n=17/197)と急性呼吸不全(5日間投与群: 6.0%, n=12/200 vs. 10日間投与群: 10.7%, n= 21/197)でした。グレード3以上の肝酵素(ALT)上昇は患者の7.3%(n=28/385)で認められ、3.0%(n=12/397)は肝酵素上昇のためremdesivirの投与を中止しました。

本試験で得られた有効性と安全性に関する主な結果を下表に示します。

1ベースライン時点の臨床状態で補正

SIMPLE試験について
ギリアドは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大している国々において、remdesivirを検討する2件の無作為化非盲検多施設共同第III相試験(SIMPLE試験)を開始しました。

1 番目の試験では、重度のCOVID-19症状を呈する患者を対象に、5 日間および 10 日間の remdesivir 静脈内投与レジメンの安全性および有効性を評価します。試験の最初のフェーズでは、患者397名を1:1の比率で無作為化し、標準治療法に加え、remdesivirの点滴静注を初日に200mg投与した後、第5日まで1日1回100 mg投与する群と第10日まで1日1回100 mg投与する群に割り付けました。このほどこの試験の拡大フェーズを設け、人工呼吸器の使用例を含む5,600名を追加登録する予定です。試験は現在、米国、中国、フランス、ドイツ、香港、イタリア、日本、韓国、オランダ、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾と英国をはじめ世界各地の180の医療機関で実施中です。

2 番目の試験では、中等度の COVID-19 症状を呈する患者を対象に、標準治療に加えて 5 日間および 10 日間の remdesivir 静脈内投与レジメンを併用した群の安全性および有効性を、標準治療のみの群と比較して評価します。初期600例の結果は、5月末に得られる見込みです。

remdesivirについて
remdesivir は、エボラウイルス、マールブルグウイルス、MERS ウイルス、SARS ウイルスなど、複数種類の新興感染症病原体に対し、in vitro と動物モデルを用いた試験の両方で広範な抗ウイルス活性が認められている、開発中の核酸アナログです。ギリアドが実施したin vitro試験では、remdesivirはCOVID-19の原因ウイルスに対し抗ウイルス活性を示すことが明らかにされました。COVID-19におけるremdesivirの安全性と有効性は、複数の第III相臨床試験において評価中です。

ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、医療ニーズがまだ十分に満たされない分野において、革新的な治療を創出、開発、製品化するバイオファーマ企業です。会社の使命は、生命を脅かす病を抱える世界中の患者さんのために医療を向上させることです。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35か国以上で事業を行っています。

ギリアドの新型コロナウイルスへの対応に関する詳細については、こちらをご覧ください: https://www.gilead.com/purpose/advancing-global-health/covid-19

将来予想に関する記述
本プレスリリースは、1995 年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。remdesivirは現在開発中の新薬候補で、世界のいずれの国・地域でも認可・承 認されておらず、安全性と有効性は、COVID-19治療を含むいずれの用途においても確立されていません。remdesivirに関連して現在実施中の試験や追加しておこなわれる臨床試験において良好な結果が得られない可能性があるほか、ギリアドおよびその他の団体がこれら試験のうちの1件またはそれ以上を予定通りに完了することができないか、または試験の中止に至る可能性もあります。また、ギリアドがremdesivirの開発中止に至る戦略的判断を下す可能性、FDAまたはその他の規制当局がremdesivirを承認しない可能性、あるいは承認された場合にもその使用に大きな制限がつく可能性もあります。これにより、remdesivirが商業化されない可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、将来予想に関する記述とみなしてください。これらのリスクや不確定要素、その他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。本記述の内容は確定したものではありませんのでご注意ください。上記以外のリスクは、Form 8-K の最新報告、Form 10-Q の四半期報告とForm 10-Kの年次報告などの米国証券取引委員会(SEC)への企業の定期報告に詳細が記載されています。将来予想に関する記述はすべて、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは将来予想に関する記述を更新する義務を負いません。
本件に関するお問合わせ先
お問い合わせ先:
ギリアド・サイエンシズ株式会社 広報部 
E-mail: JPPublic.Affairs@gilead.com
TEL:03-6837-0790
FAX:03-5224-5270

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組織名
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ホームページ
http://www.gilead.co.jp
代表者
ルーク ハーマンス
資本金
0 万円
上場
非上場
所在地
〒100-6616 東京都千代田区丸の内グラントウキョウサウスタワー 16F
連絡先
03-6837-0055

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