京都産業大学生命科学研究科 加藤啓子教授と藤田明子研究助教らの研究グループは、うつ・不安症モデルマウスにおいて、尿に排出される代謝産物が情動行動に反映されることを発見した。本研究の成果は、2020年2月21日付で国際学術論文誌『PLOS ONE』に公開された。
精神疾患に含まれる「うつ・不安症」は、近年世界的に患者が増加し、精神疾患を発症する分子機構の解明は重要な課題となっている。不安行動や恐怖記憶といった情動行動が、生体の最終代謝産物に与える影響は、これまで明らかではなかった。
京都産業大学生命科学研究科 加藤啓子教授と藤田明子研究助教らの研究グループは、生体の代謝変化を反映し、生体を傷つけずに得られる尿に着目し、様々な化学物質の種類を含む揮発性有機化合物(VOCs)を解析した。その結果、尿中の6種のVOCsの量が、不安の指標である驚愕反応行動と相関のあることが証明された。さらに、情動行動の一つである社会性行動(雄マウスの雌マウスとの出会い)が、尿中に排出する代謝産物である「ファルネセン」というフェロモンの量と連動した。以上により、マウスの情動行動(オスの驚愕反応や社会性行動)が、生体の代謝に影響をおよぼすことを明らかにした。
むすんで、うみだす。 上賀茂・神山 京都産業大学
[関連リンク]
・本研究の概要および詳細
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20200302_400a_news.html
・側頭葉てんかんモデルマウスを用いた、新規の尿中揮発性有機化合物・バイオマーカーを発見(2019.7.25)
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20190722_345_release_ira01.html
・京都産業大学生命科学部先端生命化学科 加藤啓子教授
https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/ls/kato-keiko.html
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