”群れない、慣れない、頼らない” 孤高の画家が描いた、自由の軌跡
生誕100年 堀 文子 追悼展 -旅人の記憶-
■会 期 : 2019年4月10日(水)~4月22日(月)
■会 場 : 京都高島屋7階グランドホール(京都市下京区)
■入場時間 : 午前10時~午後7時30分(午後8時閉場)
※最終日は午後4時30分(午後5時閉場)
■入 場 料 : 一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
※午後6時からは半額(京都会場のみ)
■主 催 : 京都新聞、NHKサービスセンター
■特別協力 : 一般社団法人 堀文子記念館、株式会社ナカジマアート
京都高島屋では
「生誕100年 堀文子 追悼展 -旅人の記憶-」を開催いたします。
野山の草木や自邸に咲く四季折々の花々の姿を描きとめ、「花の画家」とも呼ばれる堀文子氏。抽象的な表現や遊び心のあるモチーフ、顕微鏡を通して見えるミクロの世界など、自然への畏敬や生命の不思議に対する感動を持ち続け、独自の感性と表現によって多彩な作品を世に送り出してこられました。
本展では、“群れない、慣れない、頼らない”を信条に100年の人生を歩んだ孤高の女流画家・堀文子氏の創作の軌跡を、
初期作品から最後の作品となった「紅梅」まで100余点で紹介いたします。
「自画像」昭和14(1939)年
「紅梅」平成28(2016)年
【展覧会内容】
■旅のはじまり
堀文子氏の名を画壇に知らしめた、昭和10年代の新美術人協会展や戦後の創造美術展などへの出品作をはじめ、少女時代の希少な作例や若き日の自画像などを展示いたします。
■第一章
昭和35(1960)年、夫と死別。その喪失感から抜け出すために、昭和36(1961)年から約2年半、エジプト、ギリシャ、アメリカ、メキシコなどを旅し、海外生活を送ります。帰国後は独創的な作風へ変化しました。
■第二章
昭和42(1967)年に大磯(神奈川県)、昭和54(1979)年に軽井沢(長野県)に移住し、正統な日本画表現を掘り下げつつ、繊細さと力強さをあわせ持つ画風を追求。日本の自然豊かな環境の中で四季折々の草花や風景を描きました。昭和62(1987)年、イタリア・トスカーナ地方にアトリエを構え、平成4(1992)年まで日本とイタリアを行き来する生活を送っています。
■第三章
平成7(1995)年から平成12(2000)年までの間、メキシコやペルーの遺跡、ネパールのヒマラヤ山麓、アマゾンなどへ精力的に取材旅行。抽象的な表現、遊び心にあふれた造形、アスファルトのヒビなど、他の画家が扱わないようなものがモチーフになりました。
■第四章
平成13(2001)年、突然の病を患うものの奇跡的に回復。以降は遠出を控え、代わりに顕微鏡のレンズの向こうに広がる生命の神秘に魅了されるようになりました。ミジンコなどのミクロの世界や、分裂を繰り返して命をつなぐクラゲなどの描写を通じ、生命の根源そのものに迫るような作品を描いています。
■第五章
昭和47(1972)年、第9回国際絵本原画展にて、絵本「くるみわりにんぎょう」がグラフィック賞を受賞。絵本や挿絵にもコラージュの技法を取り入れるなど、様々な工夫を凝らしました。
■第六章
自然界で命を育む野生の植物のみならず、自身で庭に移植するなど、草花を愛していた堀文子氏。美しさだけでなく、品格や儚さなども画面に沁み込んだ草木や花を作品にし、「花の画家」として活躍されました。
■第七章
創作への姿勢や、生涯を貫く人生哲学としても引用される“群れない、慣れない、頼らない”という言葉。自らの感性や思考に忠実に行動する堀文子氏の孤高の生涯を、小動物や魚の姿に重ね合わせた一連の作品は、あたかも画家の「自画像」のようでもあります。
■第八章
平成11(1999)年から平成30(2018)年まで、「堀文子展…現在(いま)」と銘打った展覧会を開催。80 歳を越えてヒマラヤ山麓でスケッチした代表作のひとつ「幻の花 ブルーポピー」や、最後の作品となった「紅梅」まで、自由な境地で、時には日本画の枠を超えた技法を用いながら描きました。
■エピローグ
堀文子氏の作品は、人生の晩年を示唆する「終焉」や、枯れたひまわりにも、寂しさよりもむしろ輝かしさを感じさせます。展覧会のしめくくりとして、生命の不思議を見つめ続けた画家の生涯を象徴するような作品を紹介します。
【堀 文子 略歴】
1918(大正7)年 東京府麹町区平河町(現・千代田区平河町)に生まれる
1939(昭和14)年 第2回新美術1940(昭和15)年 女子美術専門学校(現・女子美術大学)卒業
第3回新美術人協会展で推奨賞を受賞
1952(昭和27)年 『山と池』で第2回上村松園賞を受賞
1965(昭和40)年 日本橋高島屋にて初の個展「堀文子作品展」を開催
1972(昭和47)年 絵本『くるみわりにんぎょう』がイタリア・ボローニャの第9回国際絵本原画展で、グラフィック賞を受賞
1974(昭和49)年 多摩美術大学教授に就任(のち客員教授~1999年)
1987(昭和62)年 第36回神奈川文化賞を受賞
2018(平成30)年 大磯町条例表彰を受賞
7月2日、満100歳を迎える
2019(平成31)年 2月5日 逝去
【巡回情報】
・日本橋高島屋S.C.本館8階ホール(東京都中央区)
・5月15日(水)~5月27日(月)
※会期は変更になる可能性があります。主催、展観作品等、京都会場と異なる可能性があります。
【お問合せ】
京都高島屋
京都市下京区四条通河原町西入真町52
TEL:075-221-8811(代表)