東京農工大学科学博物館(東京都小金井市)では、クラウドファンディングサービス「Readyfor」を利用し、「勧工寮葵町製糸場」図面を3Dデジタル化するための支援募集を実施する。同製糸場は明治期に設置されたもので、富岡製糸場に次ぐ官営二番目の洋式製糸工場だが、稼働していたのは数年間のみで、実資料の存在も知られていなかった。2017年に同博物館で図面が発見され、明治期の近代技術様式について具体的に記された資料として注目を集めていた。このたびのクラウドファンディングによる3D復元で、工場の全体像やその技術の詳細、明治期の西洋技術の伝播過程の解明などが期待される。
東京農工大学科学博物館では養蚕、製糸に関する貴重資料、繊維関連のコレクションから、現在の大学の先端研究まで、技術の系譜を紹介している。
勧工寮葵町製糸場が所在していたのは現在の港区虎ノ門付近。イタリア式工場で動力には水車を利用しており、蒸気を利用するフランス式の富岡製糸場とは異なる技術が用いられていた。
2017年に発見された41点の図面は、イタリア式工場についての詳細が記された初の具体的な資料だが、工場の各機構がばらばらで全体像をイメージすることが困難であった。
そこで、博物館ではクラウドファンディングによるプロジェクトを立ち上げ、まずは図面の3Dデジタル化による復元を目指し支援を募集することを決定した。
なお、図面は現在開催中の企画展「繭から糸を繰る~技術の変遷と未来~」において公開中であり、期間中にはシンポジウム「勧工寮葵町製糸場図面発見!近代製糸技術の継承と未来」も実施される。
クラウドファンディングと、企画展・シンポジウムの概要は下記の通り。
■クラウドファンディング実施概要
【募集期間》
2019年2月1日(金)~3月29日(金)
【プロジェクトサイト】
・クラウドファンディングサービス「Readyfor」
https://readyfor.jp/projects/aoimachi
■関連イベント
1)シンポジウム「勧工寮葵町製糸場図面発見!近代製糸技術の継承と未来」
【日時】 2019年2月2日(土)13:00~15:00
【会場】 東京農工大学 小金井キャンパス グリーンホール
・基調講演「工部省勧工寮製糸場(葵町製糸場)図面の重要性について」東京大学教授 鈴木淳
・パネルディスカッション「日本の製糸技術をいかに未来に継承するか?」
◇パネリスト
岡谷蚕糸博物館館長 高林千幸
前橋市前橋学センター長 手島仁
速水堅曹研究会代表 速水美智子
東京大学教授 鈴木淳
2)企画展「繭から糸を繰る~技術の変遷と未来~」
2017年に協定を締結した岡谷蚕糸博物館との連携による開催。実物の繰糸機からその技術変遷を辿る企画展で、葵町製糸場図面を公開中。期間中には上記シンポジウムのほか、エンジニアによる企画展解説ツアーや製糸技術の実演解説、子ども体験コーナーなども実施している。
【日時】 2019年1月5日(土) ~ 3月30日(土)
・休館日 日曜日(2月3日は開館)、月曜日、祝日、入学試験に伴う以下の日程(2月22・23日、3月12日)
【会場】 東京農工大学科学博物館 1階企画展示室
http://web.tuat.ac.jp/~museum/information/news/20190105-ex.html
▼本件に関する問い合わせ先
東京農工大学科学博物館 特任助教
齊藤 有里加
TEL:042-388-7161
メール:yusaito(ここに@を入れてください)cc.tuat.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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