ギリアド・サイエンシズ 2018年国際肝臓学会議において線維化が進行した非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の患者に対する複数の開発中の化合物に関するデータを発表

- 12週間の併用療法試験のデータを発表
- ASK1阻害剤selonsertibの第III相STELLAR試験の患者登録は完了

米国カリフォルニア州フォスターシティ、2018413 – ギリアド・サイエンシズ(NASDAQ: GILD)は、4月13日、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による線維化が進行した患者を対象として現在開発中のアポトーシス・シグナル調節キナーゼ1(ASK1)阻害剤selonsertibとアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤GS-0976または選択的非ステロイド性ファルネソイドX受容体(FXR)作動剤GS-9674とを組みあわせた併用療法による概念実証試験(POC試験)の結果を発表しました。 データは、パリで開催中の2018年国際肝臓学会議(International Liver Congress™ 2018)で発表されました。

上記のデータに加えて、NASHおよびその他の線維性肝疾患に関する25を超えるデータが発表され、そこには、NASH患者の肝生検の回数を減らすことを目的とした非侵襲的な診断や経過観察のための予測モデル研究のデータなどが含まれます。

ギリアド研究開発担当上級副社長兼Chief Scientific Officerであるノーバート・ビショフバーガー博士は次のように述べています。「ギリアドは、NASHにおける最大のアンメット・ニーズである線維化が進行した患者さんに対する治療に焦点をおいて研究しています。線維化ステージがF3またはF4の患者さんを対象としたselonsertibのSTELLAR-3試験とSTELLAR-4試験では、患者登録が予定より早く完了しました。このことはアンメット・ニーズの大きさを反映しています。これらの第III相試験のデータは、2019年前半に得られる見込みです。また、作用機序が異なり、そして相補的に働くと考えられる複数の化合物の併用療法を検討中です。本日発表した初期データは、線維化が進行したNASH患者さんの転帰改善という私たちのゴールに向けた大きな前進となりました」

NASH患者における併用療法の検討
概念実証試験(口頭発表番号105)では、70例を対象としてselonsertib 18 mg とGS-0976 20 mgの併用投与(n=20)、selonsertib 18 mgとGS-9674 30 mgの併用投与(n=20)、または各薬剤の単独投与(各群n=10)を1日1回、12週間行いました。本試験には、生検またはMRエラストグラフィ(MRE)とMRIプロトン密度脂肪画分(MRI-PDFF)でステージF2またはF3の肝線維化を伴うNASHと診断された患者が参加しました。12週間の投与期間の終了後にみられた最大の変化は肝脂肪量(MRI-PDFFで測定)の減少で、GS-0976を含むレジメンで認められました。肝機能検査や線維症マーカーは、両方の併用療法群でベースライン値より改善しました。カイネティック・ラベリング法で検討したところ、線維化のマーカーであるルミカンの分画合成速度の低下幅は、selonsertibとGS-0976の併用例で最大でした。有害事象の発現率は、単剤投与群、併用投与群ともに同程度でした。試験薬の投与中止に至った患者はいませんでした。

英オックスフォード大学附属ジョン・ラドクリフ病院の肝臓学客員教授で今回発表を行ったスティーブン・ハリソン(Stephen Harrison, MD)は、次のように述べています。「今回の有望な結果は、 selonsertibとGS-0976 またはGS-9674との併用を用いて、ステージF3またはF4の線維化がみられるNASH患者を対象にした長期試験を行い、さらに検討を加える価値があることを示唆するものです。 線維化が進行したNASHの患者さんは、末期肝疾患や肝がんなどの合併症が現れ、肝移植が必要になるなどより重篤な病態に至るおそれがあるため、有効な治療選択肢を今すぐ必要としています。併用療法は、このような患者さんにおいてより高い効果を得るための一歩となる可能性があります」

ギリアドは、NASHに対する上記以外の治療法として、GS-9674と GS-0976の併用投与と、各薬剤の単剤投与を線維化が進行したNASHの齧歯類モデルを用いて検討した前臨床試験のデータも発表しました(ポスター番号077)。その結果、併用投与は各剤の単独投与に比べ、線維化と脂肪沈着を抑制する作用が強く、肝機能検査値と線維化マーカーの改善度が高いことが明らかにされました。

これらの有望な前臨床試験結果と概念立証試験のデータに基づき、ギリアドは、線維化が進行したNASH患者を対象にselonsertibをGS-0976またはGS-9674と併用するより大規模な第IIb相試験を開始しています。

非侵襲的な検査データはNASH患者の組織学的重症度と臨床転帰の予測に役立つ
現在、NASHの診断と経過観察には肝生検が必要ですが、生検は侵襲的で費用のかかる手技で、重篤な合併症が現れる可能性もあります。本学会においてギリアドは機械学習技術を用いた2件の試験結果を発表し、非侵襲的検査により、線維化が進行したNASH患者の臨床転帰予測が肝生検と同じく効果的に行えることを示しました。いずれの試験も、線維化ステージがF3またはF4のNASH患者477例を対象として実施したsimtuzumabの2つのIIb相臨床試験のデータを用いました。Simtuzumab自体は無効でしたが、これらの試験のデータより、NASHの自然経過に関する重要な知見が得られ、非侵襲的な線維化マーカーが有用である可能性が明らかにされました。

別の試験(ポスター番号466)では、非侵襲的検査データを用いたモデルで線維化が進行したNASH患者の症状進行リスクが予測できました。もうひとつの試験(口頭発表番号178)では、線維化の自然改善の可能性が最も高い患者が予測可能なモデルを特定しました。いずれの試験も、ELF(Enhanced Liver Fibrosis)スコア、 FIB-4やNAFLD線維化スコアなどの非侵襲的検査を取り入れています。

さらに、国際肝臓学会議では、プロテオミクス(ポスター番号432)、血清中胆汁酸濃度(ポスター番号422)、マイクロRNA(ポスター番号463)、糞便中微生物叢(ポスター番号004)などの非侵襲的マーカーを用いた肝臓の組織所見やその変化の予測の正確性についての報告がなされました。これらの新たなアプローチは、今後、ギリアドの試験で評価していく予定です。

ギリアドのNASHにおける臨床プログラムについて
NASHは慢性進行性肝疾患の一種で、肝臓内に脂肪沈着(脂肪肝)や炎症が生じ、肝障害や線維化に至る可能性があります。 ギリアド社は、肝線維化が進行したNASHの治療薬として複数の新規化合物の開発を進めています。

ギリアドは現在、NASHに関連する各種病態(代謝調節異常、炎症、線維化)に対する単剤療法と併用療法を検討する第II相試験と第III相試験を計画中または実施中です。 開発中の化合物は以下の通りです。
  • Selonsertib (旧名称GS-4997) – 酸化ストレスにより活性化され、NASHの発症に特徴的な炎症、アポトーシスや線維化を促進するアポトーシス・シグナル調節キナーゼ1(ASK1)と呼ばれる酵素を阻害する低分子化合物です。
  • GS-9674 – 消化管と肝臓で多く発現する核ホルモン受容体であるファルネソイドX受容体(FXR)に対する選択的非ステロイド性作動剤です。FXRは、胆汁酸の合成を調節する主な酵素であり、糖と脂質の代謝に重要な役目を果たします。
  • GS-0976 – アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)と呼ばれる脂質のデノボ合成に関わり、炎症や線維化を介在する酵素に対する低分子阻害剤です。ACCは、β酸化を介する肝脂肪の燃焼を促進させる働きもあります。
Selonsertib、GS-9674およびGS-0976の単剤療法や併用療法は開発段階にあり、その安全性と有効性は明らかにされていません。

ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、医療ニーズがまだ十分に満たされない分野において、革新的な治療を創出、開発、製品化するバイオファーマ企業です。 会社の使命は、生命を脅かす難病を抱える世界中の患者さんのために医療を向上させることです。 カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35か国以上で事業を行っています。

将来予想に関する記述
本プレスリリースは、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、NASH患者におけるselonsertib、GS-9674および/またはGS-0976の単独投与および併用投与を検討する第II相試験・第III相臨床試験プログラムを現在見込まれる日程内に完了する能力など、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。 また、これら化合物の臨床試験で否定的な結果が得られる可能性があります。 また、ギリアド社が、同社の他のパイプライン品目に比べ商業化が困難と判断する場合など、selonsertib、GS-9674および/またはGS-0976の開発中止について戦略的な決定を下す可能性があります。 開発中止により、これら化合物が商業化されない可能性があります。 これらのリスクや不確定要素、その他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。 本記述の内容は確定したものではありませんのでご注意ください。 これらのリスクやその他のリスクについては、米国証券取引委員会に提出した2017年12月31日までのギリアド社の年次報告書(Form 10-K)で詳細に説明しています。 将来予想に関する記述はすべて、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは将来予想に関する記述を更新する義務を負いません。
本件に関するお問合わせ先
ギリアド・サイエンシズ株式会社 広報代行
株式会社ブレインズ・カンパニー 養祖(ようそ)
TEL: 03-3568-3844
E-mail: gilead_pr@prap.co.jp

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この企業の情報

組織名
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ホームページ
http://www.gilead.co.jp
代表者
ルーク ハーマンス
資本金
0 万円
上場
非上場
所在地
〒100-6616 東京都千代田区丸の内グラントウキョウサウスタワー 16F
連絡先
03-6837-0055

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