中央大学理工学部 教授中村太郎、助教山田泰之らが、本学発ベンチャー「SoLARIS」を設立~人工筋肉を用いた生物型のソフトロボットの実用化へ~



 中央大学理工学部(精密機械工学科)教授の中村 太郎と助教の山田 泰之らが、自身の研究成果を基としたベンチャー企業「SoLARIS Inc. (株式会社ソラリス)」(以下、「同企業」)を設立しました。
 中央大学において、大学所属の教員による研究成果を基としたベンチャー企業の設立は初の事例です。




 中村教授が主催している研究室(以下、「同研究室」)では、かねてより、柔軟軽量で高出力な空気圧人工筋肉アクチュエータの開発、ミミズや大腸の柔らかい運動を規範とした蠕動(ぜんどう)運動型ロボットを研究してきました。現在、同研究室は多くの企業との実践的な共同研究や公的機関の委託研究開発を受けており、これらのロボットの早期の事業化・実用化が求められております。
 そこで、同企業では研究室で培われた技術と知識に基づき、最先端の空気圧人工筋肉や生物型のソフトロボット(柔らかいロボット)の事業化・実用化を目指していきます。
 
1.背景
 産業用ロボットに代表されるような従来のロボットは、高速で正確な位置制御を優先させるため「固く」「頑丈」である必要がありました。一方、人間を含めた生物は、軽くて柔らかい構造を持ち、数万年をかけてそれぞれの環境に適応するように独自の進化を遂げました。このような生物や生体の機能から学ぶ「柔らかいロボット」を開発することで、今までにないような全く新しいロボットの開発が期待できます。

2.中村研究室での研究内容と成果
 このような構造を実現するために、同研究室では生物の筋肉のように柔軟軽量で高出力な空気圧人工筋肉の開発に成功しました。この人工筋肉は図1のようにゴムチューブに内包された繊維層が軸方向に配向されており、内部に空気圧で印加すると、人間の筋肉のように膨らみながら収縮します。本人工筋肉は従来のMcKibben(マッキベン)型空気圧人工筋肉の約4倍の収縮力を持っています。
 さらに本人工筋肉は以下のような幅広い分野での応用が期待されています。

(1) 装着型パワーアシストシステム(図2)
 本人工筋肉は軽量で人間の筋肉と近い特性を持っていることから、人間親和性・ウェアラブル性が高く、アシスト装置等として適しています。現在、工業・農業用アシスト装置、医療用リハビリテーション装置、VRやARの力覚提示装置等への適用を検討しています。



(2) ミミズ型蠕動運動ロボット(図3)
 ミミズの蠕動運動は、狭小空間での移動に適しており、大きい牽引力を持っています。したがって、曲がり角が複数混在する長距離の細管の中の検査や補修の移動手段として適しています。現在、ガス管、上下水道管、換気ダクトの点検と清掃、レアアース等の採掘をもう目的とした地中自律掘削等への適用を検討しています。



(3) 大腸型蠕動運動ポンプ(図4)
 人間の大腸は蠕動運動により食塊を運搬しています。また運動パターンを変化させることで 食塊を適度な柔らかさになるように混合する機能も有しています。そこで、人工筋肉により大腸の蠕動運動の機能を再現することで、高粘度・固液混相流体の混合・搬送を実現しています。応用分野として、土砂の搬送、粉体の搬送、固体燃料生成装置を開発中です。



3.大学発ベンチャーとしての今後の展開
 現在、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)や火薬メーカとの共同研究の成果である、蠕動運動ポンプを応用した蠕動運動型混合搬送装置による、固体ロケット用推進剤の生成装置の事業化を目指しています。本装置を用いることで、推進剤を安全かつ連続的に捏和・搬送でき、固体ロケットの抜本的な低価格化による普及が期待されます。

4.会社概要
社名 :   株式会社SoLALIS(ソラリス)
設立日 :  平成29年9月29日
所在地 :  東京都板橋区
    (連絡先 中央大学後楽園キャンパス 中村研究室)
事業内容 : 人工筋肉等を用いたソフトロボット・メカトロニクス機器の研究開発、設計・製造、販売、コンサルタント
資本金 :  100万円
役員 :   中村太郎
     山田泰之
主要株主 : 中村太郎、山田泰之、プログレステクノロジーズ株式会社
ホームページ http://solaris-inc.com/index.html



【用語解説】
注1)人工筋肉:生体の筋肉のように柔らかく軽量・高出力なアクチュエータの総称。現在、電気駆動による高分子型と空気圧駆動による空気圧型が主に研究開発されている。空気圧人工筋肉では主にMcKibben型人工筋肉が検討されている。

注2)蠕動(ぜんどう)運動:ミミズや大腸等に見られる運動で、管状の柔軟物が軸方向と半径方向に伸縮することによって、「太く短く」「細く長く」の状態を繰り返しながら縦波に波動を伝播させて、運搬や移動を生じさせる運動のこと。



▼お問い合わせ先
<研究に関すること>
 中村 太郎 (なかむら たろう) 
 中央大学理工学部 教授(精密機械工学科)
 TEL: 03-3817-1825
 E-mail: nakamura@mech.chuo-u.ac.jp

 山田 泰之 (やまだ やすゆき) 
 中央大学理工学部 助教(精密機械工学科)
 TEL: 03-3817-1882
 E-mail: yamada@mech.chuo-u.ac.jp

<広報に関すること>
 中央大学 研究支援室 
 TEL 03-3817-1603 FAX 03-3817-1677
 E-mail: k-shien@tamajs.chuo-u.ac.jp

【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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組織名
中央大学
ホームページ
http://www.chuo-u.ac.jp/
代表者
河合 久
上場
非上場
所在地
〒192-0393 東京都八王子市東中野742-1

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