電力が不安定な環境下でも高速データバックアップ可能な 1MビットFeRAM「MR45V100A/MR44V100A」を量産開始

1.8Vから3.6Vの広範囲で40MHz高速動作、IoT機器にさらなる高信頼化を提供


<要旨>
ロームグループのラピスセミコンダクタは、高速・高頻度なログデータ取得や緊急時の高速データバックアップが必要とされるスマートメータ/計測機器/医療機器/金融端末などに向けて、1Mビット強誘電体メモリ(以下FeRAM)(注1)「MR45V100A / MR44V100A」を開発し、12月から量産出荷を開始します。
「MR45V100A」は、SPI(注2)バス品として、1.8V~3.6Vの広い電源電圧範囲全域で40MHzの高速動作を実現します。これにより大容量の1MビットFeRAMとして、例えば電力が不安定な環境下における急な電圧低下時でも安定した高速動作が可能で、搭載される装置の高速データバックアップにより信頼性向上に貢献します。また、「MR44V100A」は、シリアルバスの異なるI2C(注3)バス品として、速度を必要としないアプリケーションに最適です。
さらに、モバイル用途を視野に入れ、データ大容量化に伴う消費電力増加を抑えるため、スタンバイ(待機)モードを改良すると同時に、当社FeRAMで初めてスリープ(休止)モードを搭載しました。1MビットFeRAMで業界最小クラス※のスタンバイ電流10µA(平均)とスリープ電流0.1µA(平均)をそれぞれ実現したことで、電池駆動時間が重要視される決裁端末やデータロガーなどのハンディターミナルやモバイル機器・端末にも展開可能です。
本LSIは現在サンプル出荷中で、12月から量産出荷を開始します。生産拠点は前工程がローム本社(京都市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)です。


<背景>
不揮発性メモリのFeRAMは、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに対して、「高速データ書き換え」「高書き換え耐性」「低消費電力」という特長があります。
ラピスセミコンダクタは、ロームの強誘電体メモリ製造技術とラピスのメモリ開発技術の技術融合によって、2011年からさまざまな容量・インターフェースのFeRAMを開発。不揮発で高速・高頻度なデータ書き換えを必要とする多機能プリンタ、車載アクセサリ、FA(Factory Automation)機器などに採用されてきました。
そして近年、電子機器では、データの大規模化、低消費電力化、モバイル化、瞬時停電等の緊急時を含むデータのセキュリティ向上が要求されるようになりました。ラピスセミコンダクタはこれに応えるため、大容量化、広い電源電圧範囲と高速動作の両立、待機/休止時を含む低電力化に取り組み、電池駆動のモバイル機器/端末等への展開も期待できるFeRAMを開発しました。

<特長>
1. 1.8V3.6Vの広範囲で40MHz動作可能

FeRAMは、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発メモリと比較して、高速データ書き換えや低電圧動作が可能なことから、書込み中に瞬時電圧低下や停電が発生しても、データが失われるリスクの低いことが特徴です。
「MR45V100A」は、SPIバス品として、当社従来品64KビットFeRAM「MR45V064B」と同様、1.8V~3.6Vの全電源電圧範囲で40MHz動作を保証し、性能そのままで1Mビットへの大容量化を実現しています。これにより、高いセキュリティが求められる用途で、そのまま大規模なデータが扱えるようになります。

2. 大容量FeRAMとして業界最小クラスの待機・休止電流

電子機器では、低消費電力化の要求が高まる中、例えばシステム稼働中に動作不要な部品を低電流モードへ移行させ、機器全体の平均消費電力を削減するなどの手法が用いられています。
このような状況を踏まえ、MR45V100A / MR44V100Aはデータの大容量化に伴う消費電力増加を抑えるため、以下の特長で電子機器のシステム電力低減にお応えします。

(1)スタンバイモードを改良し、1MビットFeRAMで業界最小クラスのスタンバイ電流10µAを達成
スタンバイ(待機)モード時は動作不要な回路の電源遮断を徹底し、動作復帰時は必要な部分のみ高速で初期化することで、電流の消費を抑制しました。これらにより平均10μAという1MビットFeRAMでは業界最小クラス※のスタンバイ電流を達成しました。

(2) スリープモードを搭載し、業界最小クラスのスリープ電流0.1µAとスリープモード復帰時間を実現
従来のスタンバイ(待機)モードよりも桁違いに低電力化できるスリープ(休止)モードを当社で初めて搭載し、しかもスリープモード時の消費電流を平均0.1μAという業界最小クラス※としました。加えて、スリープモードからの復帰時間を業界最短※の100μsとしたため、休止期間が短いことが望まれる用途であってもスリープモードの適用が可能となります。
※2017年10月ラピスセミコンダクタ調べ


【販売計画】
-商品名 :MR45V100A / MR44V100A
-サンプル出荷時期 :サンプル出荷中
-サンプル価格(参考) :700円(税別)
-量産出荷予定 :2017年12月から
【応用分野】
OA機器、産業機器、放送機器、車載アクセサリ、医療機器、電池駆動機器

【用語説明】
(注1)FeRAM (Ferroelectric Random Access Memory)
強誘電体メモリ。電源を切っても記憶データを保持できる不揮発性メモリの1種で、記憶素子に強誘電体容量を用いる。高速データ書き換え、高書き換え耐性、さらに低消費電力が特長。
(注2) SPI(Serial Peripheral Interface)
クロック線、入力データ線、出力データ線の 計3本を用いて通信するシリアル通信規格の1種。データのフォーマットや原理が単純なため高速通信ができる。
(注3)I2C(Inter-Integrated Circuits)
クロック線と入出力兼用データ線の計2本を用いて通信するシリアル通信規格の1種。入出力を兼用するため対応ピン数を少なくできるが、スピードはSPIほど出ない。

ロームグループのラピスセミコンダクタは、低消費電力技術、高周波回路技術、デジアナ混載技術、メモリ設計技術などを得意技術とし、これら技術でロジック、メモリ、表示ドライバといったLSI商品を創出しています。また、お客様が設計し当社の工場で製造するファンダリサービスも主軸の一つで、お客様の様々なご要求にお応えします。
「品質第一」を企業目的に掲げ、お客様のニーズを満足する商品を創出し、国内だけでなく世界規模でグローバル社会に貢献しています。

本件に関するお問合わせ先
<本件に関するお問い合わせ先>
ラピスセミコンダクタ株式会社  ニュースリリース担当
〒222-8575 神奈川県横浜市港北区新横浜2-4-8
電話:(045)476-9212

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この企業の情報

組織名
ローム株式会社
ホームページ
https://www.rohm.co.jp/
代表者
松本 功
資本金
86,969,000,000 万円
上場
(旧)東証1部
所在地
〒615-8585 京都府京都市右京区西院溝崎町21
連絡先
075-311-2121

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