「岡田三郎助―まぼろしの名画『裸婦』―特別公開」を開催します
- 佐賀県立博物館・美術館
- 2012年06月25日
- 11:32
近代洋画の大家岡田三郎助の最高傑作《裸婦》(昭和10年作、油彩画、縦99.8×横65.5cm)が、約70年ぶりに私たちの前にその姿を現します。
《裸婦》は、昭和10(1935)年10月、帝展の若手、中堅洋画家たちによる第二部会展(会場東京府美術館)に賛助出品され、「婦人像の岡田」「裸婦の岡田」の名をはせる岡田の面目躍如たる傑作として紹介されました。その後、鍋島家とも縁戚になる李王家(李方子妃は鍋島直大侯の孫にあたる)の愛蔵品となり、旧李王家美術館で展示されましたが、昭和20(1945)年以降、作品のゆくえは杳として知れず、その発見が待ち望まれてきたものです。このたび機会を得て、長年言わばまぼろしともなっていた、この《裸婦》を特別公開することになりました。
《裸婦》は、岡田が66歳の時、すでに名実ともに大家としての名声を確立し、成熟の域に達した頃の作品で、緻密な色彩の重なりと流麗な筆遣いが際立ち、匂い立つような華やかさと品格を誇ります。まさに岡田芸術の極み―到達点というべきもので、同じ昭和時代の作《あやめの衣》(ポーラ美術館蔵)や《婦人半身像》(東京国立近代美術館蔵)と並ぶ傑作です。
さらに今回は、県立美術館コレクションの岡田三郎助作品(油彩画、パステル画、素描、版画等)の数々も展示し、岡田の偉大な足跡をあらためて御紹介します。
明治~昭和の三代に渡り、日本洋画壇の牽引者として独自の美を模索し続けた岡田の最高傑作が、時を超えてここ佐賀にやってきます。
今回の《裸婦》の展示は、限られた期間の特別公開です。この名画を直に鑑賞できるこの機会を皆様お見逃しなく。
記
1 会期 平成24年7月13日(金曜日)~9月2日(日曜日)
2 開館時間 午前9時30分~午後6時
3 休館日 月曜日休館 ※7月16日(月曜日祝日)は開館。翌17日(火曜日)は休館。
4 会場 佐賀県立美術館 3号展示室
5 観覧料 無料
6 展示資料 岡田三郎助のまぼろしの名画《裸婦》及び県立美術館所蔵の岡田三郎助作品、資料(洋画、水彩画、素描、彫刻、遺品等) 計62点(予定)
※ 会期中一部展示替(前期、中期、後期)を行います。
7 関連事業 (参加料無料)
(1) 岡田三郎助 知っとく講演会
「OKADA Saburosuke!って 本当は ドンナ画家?―和洋折衷、魂才の行方―」
(日程)7月14、21、28日、8月4日(各土曜日)
(時間)午後1時30分~2時30分
(場所)美術館3号展示室内
(講師)松本誠一(当館副館長、『佐賀偉人伝3 岡田三郎助』著者)
※ 各回のテーマ(予定)
第1回 美女三態
第2回 日本国の肖像―富士山の絵―
第3回 昭和天皇の傍らで―薔薇と柳の絵―
第4回 色彩をまとう人と風景
(2) 学芸員によるギャラリートーク
「まぼろしの名画《裸婦》と県立美術館コレクションの岡田三郎助作品」
(日程)7月15、22、29日、8月5、19、26日(各日曜日)
(時間)午後2時~(40分程度)
(場所)美術館3号展示室内
(講師)野中耕介(当館学芸員)
(3) 学芸員及び展示解説員による作品解説(会期中常時)
会期中、学芸員と展示解説員が来館者の皆様に作品の見どころや魅力について分かりやすく解説します。
(展示解説員は常駐。学芸員は曜日により時間が異なります)
(4) まぼろしの”裸婦”オリジナル絵葉書プレゼント
先着3000名様に《裸婦》絵葉書を贈呈します。(非売品。今回のみの特典。)
【岡田三郎助 おかだ・さぶろうすけ 明治2(1869)~昭和14(1939)】
佐賀城下に生まれる。旧姓石尾。幼時に上京、旧藩主鍋島直大邸で百武兼行の油絵に接し、洋画への関心を示す。明治20年小代為重の紹介で曾山幸彦の門に入る。同27年黒田清輝、久米桂一郎が指導する天真道場に入門。同29年白馬会創設に加わる。また同年新設の東京美術学校西洋画科の助教授となる。翌30年渡仏。ラファエル・コランに師事する。帰国後は美校教授に就任。官展の中心作家として活躍する。大正8年帝国美術院会員、昭和9年帝室技芸員となり、同12年第1回の文化勲章を藤島武二らと受章する。
- 本件に関するお問合わせ先
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佐賀県立博物館・美術館
TEL:0952-24-3947
E-mail:nonaka-kousuke@pref.saga.lg.jp