神奈川工科大学とマツダ株式会社、株式会社日立製作所は「G-Vectoring Control」技術の「車載技術」「コース追従性能向上メカニズム」「運動性能向上の分析」について、自動車技術会春季大会で共同発表する。
神奈川工科大学は、マツダ株式会社、株式会社日立製作所と共同で、これまで別々に制御されていた横方向と前後方向の加速度(G)を統合的にコントロールし、車両に加わる合成加速度を方向づける(Vectoring)制御技術として、G-Vectoring Control(GVC)の研究開発を進めてきた。
今回、マツダ株式会社は、この技術を高応答エンジンの制御ロジックとして実用化した。ドライバーのステアリング操作に応じて、ごくわずかにエンジンの駆動トルクを変化させることで、タイヤの接地状態を最適化し、スムースで効率的な車両挙動を実現。無意識のものも含めたハンドル修正操作を減らし、コースへの追従性が向上することで、長距離運転などでの疲労蓄積を抑制する。またドライバーや同乗者にかかるGの変化がよりスムースになることで、体の揺れが減って乗り心地や快適性が向上。さらに、雨の日や雪道などの滑りやすい路面での操縦性と安定性も改善し、運転時の接地感や安心感を高める効果を確認した。
神奈川工科大学、マツダ、日立は、これらの研究開発の成果を3件の講演論文としてまとめ、5月25日(水)~27日(金)にパシフィコ横浜で開催される公益社団法人自動車技術会2016年春季大会の学術講演会にて発表する。タイトルと概要は下記の通り。
(1) 高応答エンジンを用いた量産型G-Vectoring制御車両の開発
高応答エンジンを用いた量産型G-Vectoring制御車両を開発した。このシステムでは、従来のブレーキや電気モーターを用いたGVCよりも細密な減速度付加制御を実現し、ステアリングの中立領域からの操舵応答性を改善した。これに加えて、ドライバーの修正操舵を大幅に減少させる効果を確認し、安心感といったダイナミクス性能の質感レベルの進化を実現した。
(2) G-Vectoring制御による目標コース追従性能向上メカニズムの検討
拡張した「平面2輪モデル」と「前方注視ドライバモデル」にて、計算される操舵入力、運動を「目標コース追従性能」として評価した結果、GVC車両では、操舵を止めた(操舵速度がゼロ)時の、車両のヨー角加速度のオーバーシュート(残留ヨー角加速度)が低減される効果がある。
(3) G-Vectoring制御による人が感じる車両運動性能向上効果に関する分析
微小な駆動力の制御による車両運動性能の向上に関し、実車検証から、操舵角速度入力に対する横加加速度やロールレイトの応答性が向上し、旋回ごく初期からダイアゴナルなロール姿勢が維持されることを確認した。これより操舵時の人の筋活動をより適切な方向へ誘導することが示唆される。
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