2026年6月30日 ―アクサグループの主要なフィランソロピー活動を統合する、アクサ・ヒューマン・プログレス財団(以下、アクサ財団)とワールド・モニュメント財団(以下、WMF)は、このたび、能登半島地震による被災文化遺産の修復支援活動の一環として、七尾市和倉温泉地区に残る希少な皇室建築「和倉御便殿」(2024年能登半島地震で被災)の修復・保存プロジェクトを立ち上げ、和倉温泉観光協会を中心に地元で進められている活動を支援することを決定しました。
本プロジェクトは、今年1月に発表されたWMFとアクサ財団 のグローバル・パートナーシップに基づくもので、WMFがアクサ財団より基金協力を受け、七尾市、和倉温泉観光協会と金沢工業大学建築学部 山崎幹泰研究室の協力のもと、2024年能登半島地震で被災した七尾和倉御便殿の修復と持続的な保存を目指すものです。あわせて、本プロジェクトを通じて、和倉温泉街をはじめとする能登半島の復興の要のひとつである七尾の復興を後押しし、被災地域の再生と持続的成長に貢献することを目指します。
本プロジェクトの活動プログラムは、①和倉御便殿本殿※1(現・青林寺客殿、国登録有形文化財)および供奉殿(現・信行寺書院、国登録有形文化財)の修復、②修復・保存プロジェクトの記録制作および文化遺産保存啓発活動の2つで構成され、2027年春までの完了を予定しています。
(左から)青林寺住職 濱田 晃瑞氏、アクサ・ホールディングス・ジャパン株式会社 取締役 安渕 聖司、
ワールド・モニュメント財団 日本代表部 理事長 ディメイ美代子氏、信行寺住職 伊賀 正道氏
なお、本プロジェクトの調査および修復作業の支援には、2019年の火災で大きな被害を被ったノートルダム大聖堂(木造建築)の修復に携わった、フランス・ボルドー大学の研究機関であるI2Mラボ (Institut de Mécanique et d’Ingénierie, University of Bordeaux: I2M lab)が、木造建築の修復に関する技術や知見の共有を通じて、金沢工業大学建築学部 山崎幹泰研究室と協働してあたります。
WMFは1965年創立以来、世界各地で主に建造物を対象とした文化遺産の保全活動を展開しています。その活動の一環として、隔年で、「緊急に保存・修復などの措置が求められている文化遺産」の保存継承を目的とするWatch(文化遺産ウォッチ)プログラムを実施しています。
2025年には、世界中からの支援申請の中から「能登半島の地震被災文化遺産」が選出されました。これを受け、WMFは昨年より、七尾市一本杉通りおよび輪島市黒島地区伝統的建造物群保存地区における歴史的町並みの復興支援に取り組んでいます。そして、今年2026年1月には、アクサ財団とグローバル・パートナーシップを締結し、同財団がWatchプログラムのリードパートナーとなったことで、今回の助成支援の実現に至りました。
※1:御便殿とは、天皇や皇族が地方を訪れる際に使用される宿泊・休憩施設を指します。通常は旧藩主の屋敷や寺院の書院等が転用されることが多く、新築される場合でも、使用後は仮設建物としてすぐに解体されることが一般的でした。和倉には明治42年(1909年)、大正天皇の七尾行啓に際して、本殿(休憩所)と供奉殿(随行員の控所)が建てられました。これらは、休憩施設の御便殿として現存する国内唯一の皇室建築です。両建物は、昭和30年代以降の高度成長期における都市開発に伴い、同じ和倉温泉地区の青林寺に本殿が、信行寺に供奉殿がそれぞれ移築され、現在に至っています。
参考資料
御便殿移転前後位置図
■移築前
和倉御便殿供奉殿(左)と和倉御便殿本殿(右)
■移築後
青林寺客殿(和倉御便殿本殿)
信行寺書院(和倉御便殿供奉殿)
被災後の和倉御便殿供奉殿と内装
スピーチ全文およびコメント
アクサ・ヒューマン・プログレス財団 代表代理
アクサ・ホールディングス・ジャパン株式会社 取締役
安渕 聖司
【スピーチ全文】
「本日はお忙しい中、ワールド・モニュメント財団とアクサ・ヒューマン・プログレス財団による共同記者発表会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。フランス発のグローバルな保険グループ、アクサの日本法人、アクサ・ホールディングス・ジャパンの安渕でございます。本日は、アクサ・ヒューマン・プログレス財団の代表である、クレマン・ルークセルの直接の出席が叶わないため、私が代理でご挨拶させていただきます。
まず、七尾市、そして和倉温泉観光協会、七尾商工会議所の皆さまのご協力のもと、このような発表の場を設けていただきましたことに、心から感謝申し上げます。
私自身、こちら七尾へは、2024年の震災後、1月末の訪問以来2年半ぶりとなりますが、皆さまが一丸となって復興に取り組まれ、地域が着実に前へ進んでいく姿を目の当たりにし、心から敬意を表します。今回、このような素晴らしい取組みが実現できたのも、皆さまの強い想いがあってこそだと確信しております。
アクサグループは、長年にわたり、責任と連帯、そしてよき企業市民としての精神を機軸に、社会貢献活動に取り組んでまいりました。そして昨年、アクサグループの主要なフィランソロピー活動を統合し、年間6,000万ユーロの基金を活用して世界各地で活動する「アクサ・ヒューマン・プログレス財団」を設立いたしました。本財団は、アクサのパーパスである「すべての人々のより良い未来のために。私たちはみなさんの大切なものを守ります」を体現すべく、科学、自然、連帯・包摂・教育、そして芸術・文化遺産という4つの重点分野で、よりよい社会の実現に向けて、より大きなインパクトをもたらすことを使命としています。
そしてこのたび、その記念すべき最初の取組みとして、世界の文化遺産保護に取り組んでこられたワールド・モニュメント財団と複数年にわたるグローバル・パートナーシップを締結しました。実は、アクサグループは、フランスの文化財保護に取り組んできており、2019年4月に火災で損害を受けたフランスのノートルダム大聖堂の修復も支援してきました。文化遺産の保護は、歴史的価値を守るだけでなく、地域社会の強靭性を高め、人々のつながりや記憶を未来へと受け継ぐ重要な取組みです。これは、アクサのパーパスとも深く響き合い、世界各地で文化遺産の保護に取り組んでこられたワールド・モニュメント財団の行動理念とも深く結びつくものでもあります。
このパートナーシップでは、青林寺の客殿および信行寺の書院のほか、フランスのソルボンヌ礼拝堂、トルコ・アンタキヤの地震遺産など、世界的に重要な文化遺産の修復も対象となっています。
アクサジャパンの一員として、私たちは、特に日本におけるこのパートナーシップの意義を強く感じています。アクサの拠点である北陸支社 金沢営業所・七尾分室のある当地で、能登半島地震により被害を受けた文化遺産が、ワールド・モニュメント財団の2025年版Watchプログラムの支援・保護対象に選ばれたことは、私たちにとって大きな誇りです。
青林寺の客殿および信行寺の書院は、貴重な文化遺産であると同時に、地域の重要な観光資源であり、その修復は地域経済に必ずプラスの効果があると信じております
アクサおよびアクサ・ヒューマン・プログレス財団は今後も、これらの支援を通じて、より安全で強靭な地域社会の実現に取り組んでまいります。今後も地域の皆さまと連帯し、ワールド・モニュメント財団の皆さまとともに、より良い未来づくりに向けて微力ながら取り組んでまいります。」
アクサ・ホールディングス・ジャパン株式会社 代表取締役 社長兼CEO
クリストフ・アヴネル
【コメント】
「アクサにとって、フィランソロピー活動は一時的な取組みではなく、40年にわたり受け継がれてきた価値観であり、歴史です。創業者であるクロード・べべアールが述べたように、『責任なくして持続的に機能する経済はなく、連帯なくして繁栄する社会はなく、市民精神なくして民主的な生活はあり得ない』という考えは、アクサの企業文化に深く根ざしています。
私たちは、『すべての人々のより良い未来のために。私たちはみなさんの大切なものを守ります。』というパーパスを体現するために、地域社会や多様なステークホルダーの皆さまと連携しながら、社会的課題の解決に取り組んでいます。アクサ・ヒューマン・プログレス財団は、複雑化する社会的課題に向き合い、多様なステークホルダーとの連携を通じて、パーパスを体現し、社会にポジティブな変化をもたらす取組みを推進しています。
とりわけ文化遺産は、人々の対話や帰属意識を育み、社会的結束を強化する重要な要素であり、次世代へ継承すべき共通の資産です。文化遺産を守ることは、地域の発展や経済の活性化にもつながり、より包摂的で強靭な社会を築くための重要な礎となります。
アクサジャパンの営業拠点である北陸支社 金沢営業所・七尾分室のある当地で、地域主導の文化遺産の修復や文化の継承を軸とした長期的な復興を後押しできることは、私たちにとって大きな誇りです。ワールド・モニュメント財団とのパートナーシップを通じて、私たちアクサは、文化遺産の保護を起点に、地域社会の回復力と持続可能な発展に貢献していきます。」
アクサ・ヒューマン・プログレス財団について
アクサ・ヒューマン・プログレス財団(AXA Foundation for Human Progress)は、アクサグループおよびアクサ・ミューチュエル・ド・アシュランス(AXA Mutuelles d’Assurances)の主要なフィランソロピー活動を統合し、フランスをはじめ世界50か国で活動しています。年間6,000万ユーロの基金を活用し、科学、自然、連帯・包摂・教育、そして芸術・文化遺産という4つの重点分野で、社会にポジティブな影響をもたらすプロジェクトを推進しています。
同財団は「すべての人々のより良い未来のために。私たちはみなさんの大切なものを守ります。」というアクサのパーパスを体現し、社会のレジリエンス向上と不平等の是正に取り組んでいます。(ウェブサイト:
https://www.axa.com/axa-foundation )
アクサ・ホールディングス・ジャパン株式会社について
アクサ・ホールディングス・ジャパンはアクサのメンバーカンパニーとして、2019年に設立された保険持株会社です。傘下にアクサ生命、アクサ損害保険の2社を擁しています。
(ウェブサイト:
https://www.axa-holdings.co.jp/ )
ワールド・モニュメント財団(WMF)について
WMFは、1965年に米国ニューヨークで設立された非営利民間組織です。歴史的建造物などの文化遺産を保護・保存し、人々の生活を豊かにするとともに、国や文化の枠を超えて相互理解を育むことを使命とする、独立した世界有数の文化遺産保全団体です。本部はニューヨーク市に置き、カンボジア、中国、フランス、インド、ペルー、ポルトガル、スペイン、英国に関連組織を有しています。創設以来、112か国・700か所以上におよぶ多様な文化遺産の保全に取り組んできました。また、WMFは世界各地の地域コミュニティ、支援者、政府機関と協働し、文化遺産を通じて、気候変動への適応、包摂的な文化遺産保護、持続可能な観光、災害や紛争などの危機後の復興といった現代の喫緊の課題に取り組んでいます。文化遺産に宿る潜在的な価値を今に生かそうとしている人々とともに、WMFはより強靭で包摂的な社会の実現を目指しています。