水戸済生会総合病院(茨城県水戸市)消化器センター長・筑波大学消化器外科講師の丸山常彦医師らの研究チームがメディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:岩崎博之、以下 MDV)の保有する国内最大規模の診療データを機械学習で解析し、術後入院期間を誤差3日以内で予測するモデルを構築しました。また、胃がん手術の入院期間にがん拠点病院であるかないかや、病院規模の大小などが関係していることが分かりました。
【研究チームの丸山氏】
この研究の論文は、Frontiers inMedical Technologyに掲載されています。
原著論文はこちら→
https://www.frontiersin.org/journals/medical-technology/articles/10.3389/fmedt.2025.1732580/full
XG Boostと呼ぶ機械学習ツールで解析したMDVの診療データは、2017年8月から2022年7月までの5年間の胃がん症例の28万4953。そのうちの手術を受けた2万6299症例から7日以内に死亡したり、18歳以下と100歳以上の患者の症例であったりすることなどを除外した2万6097症例を対象としました。入院時の患者背景から術後の入院期間を機械学習で予測するモデルを構築しました。
入院時の患者背景から相対的な重要度を算出し、入院期間に影響する因子を解明したことで、入院時の患者因子のみ用いることで手術後の入院期間を誤差3日以内で予測するモデルの構築につなげました。このモデルは将来的に、ベッドコントロールマネジメントへの応用も可能になります。
相対的な重要度の最も高かったのは、腹腔鏡下幽門側胃切除術でした。また、術式では開腹胃全摘も上位に位置しました。その他に、「がん拠点病院の有無」「病院規模」の施設因子、「入院時ADLスコア」「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」「摂食・嚥下機能障害の有無」といった患者因子、さらには、「糖尿病」「アルコール性肝炎」「脳梗塞後」「不安障害」といった併存疾患が上位の因子となりました。