JICAとPanasonicが協働し、ケニアの無電化地域にソーラーランタンを供与 ~ジェンダーに基づく暴力に立ち向かう女性や女性たちへの支援~

独立行政法人 国際協力機構

国際協力機構(JICA)は、パナソニック ホールディング株式会社(Panasonic HD)と協働し、2024年11月19日 に、ケニアの無電化地域に住む女性や少女たちに、100台の環境に優しいソーラーランタンを供与しました。
 
ケニア カジアド県オリニエ村で実施したソーラーランタンの寄贈式

 
ケニアの南西部に位置するカジアド県のオリニエ村は、広大な草原と乾燥した土地が特徴で、多くのマサイ族が住んでいる地域です。家父長制に基づく伝統的な慣習や文化が根強い地域としても知られ、村に住む女性や少女の多くが夫や家族からのドメスティック・バイオレンスや性暴力、そして児童婚などの深刻な問題に直面しています。教育や経済的自立の機会が限られる中、女性たちは家庭や地域で支配権を持つ男性からの暴力を日常的に経験しており、地域における性暴力被害も深刻です。

このような状況に対して、JICAは2023年からカジアド県政府とともに、地域の女性や男性たちの「GBVのないスマートな地域づくり」に向けた取り組みを支援しています。オリニエ村では、多くの女性や少女がGBVの被害について声を上げることができていません。そのため、女性たちが自信を高め、知識やネットワークを強化し、経済的に力をつけることで、GBVに立ち向かう力をつけていけるように取り組んでいます。男性の理解や行動、村における支援体制の強化に向けた取り組みも進めています。

Panasonic HDとの連携によるソーラーランタンの提供は、この活動の一環として実施しました。無電化地域で暮らすオリニエ村の女性や少女たちが、ソーラーランタンによるあかりを手にすることによって、安全に夜間の学習や経済、社会活動を行うことが可能となります。将来への希望が広がることで女性たちは自信と能力を深め、GBVに立ち向かうための意識と行動を一層強化していくことが期待されています。

寄贈式の当日、村の教会に集まった約100名の女性たちに対して、パナソニックグループの多田直之氏は「このあかりでみなさんの将来を明るく照らしてほしい」と力強いメッセージを発信。オリニエ村の女性リーダーからは「このソーラーランタンは私たちのこれからの人生を明るく照らし、私たちの人生のレベルを一段階上げてくれるものです」と感謝の言葉を述べられました。
 
「このあかりで女性や少女の将来を明るく照らしてほしい」と述べる多田直之氏

 
その後、実際にソーラーランタンを手にした女性たちは、「このあかりがあれば家でも勉強できる」「夜の活動時間が増える」と目を輝かせました。JICAの支援が始まって以降、村でGBVの撤廃に向けた歌づくりを始めた女性は、「夜にあかりがあればGBVの撤廃を呼びかけるための歌がもっとたくさん作れる」と嬉しそうに語りました。
 
「このあかりがあれば家でも勉強できる」、「夜の活動時間も増える」と語る女性たち
 
「私の手をとり、私をエンパワーしてくれたJICAに感謝している」と歌う女性たち(寄贈式にて)

ソーラーランタンの提供は、GBVの撤廃に向けた女性たちの能力や活動を後押しし、より安全な地域の実現に大きく貢献するものです。女性や少女が平和で安全に暮らしていける社会の実現に向けて、JICAは今後もさまざまなパートナーとの連携や知の共創を図りつつ、ジェンダーに基づく暴力の予防と撤廃に向けた国際協力を推進していきます。

はじめての夜のあかりに思わず笑顔になる女性 / 夜のあかりの下で識字教室のノートを広げる女性
   
JICAの久保田真紀子国際協力専門員からソーラーランタンを受け取る女性

■独立行政法人国際協力機構(JICA)について 
JICAは、開発途上国が直面する課題を解決するため、技術協力、有償資金協力、無償資金協力など日本の政府開発援助(ODA)を一元的に担う二国間援助の実施機関で、150以上の国と地域で、ジェンダー平等・女性のエンパワメントを推進するプロジェクトを含む様々な事業を展開しています。 国際社会の課題は日本とも密接に関係しています。国内外のパートナーと協力してそれらの解決に取り組み、世界の平和と繁栄、日本社会の更なる発展に貢献します。 
詳しくは https://www.jica.go.jp/index.html をご覧ください。 

 
 
 

 
 







 
 

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