Autodesk、メディア&エンターテイメント業向けソリューションの新機能および機能拡張を発表

オートデスク株式会社

AI 機能による作業効率の大幅向上でクリエイティビティが促進


米国 Autodesk 社(本社:米国カリフォルニア州/代表取締役社長兼 CEO:アンドリュー・アナグノスト)は、10 月に米国サンディエゴで開催されたデザインと創造(Design & Make)のカンファレンス「Autodesk University(AU)2024」にて、複数のメディア&エンターテイメント業向けソリューションの新機能および機能拡張を発表しました。

映画やゲームなどメディア&エンターテインメントのコンテンツには、大きな魅力と収益性の両方が必要です。今日のソフトウェアツールは、コンテンツ制作における目標を達成するために重要な役割を果たしてきましたが、効率性を高める余地はまだあります。そのため Autodesk では、手間のかかるタスクの自動化を促し、アーティストがよりクリエイティブな作業とストーリーテリングに集中できるよう、現行ツールのパフォーマンスと機能の向上を図りながら、主要ツールに AI ワークフローを統合しました。

Maya(R) や Flame(R) など Autodesk の主要ツールを AI で補強
Autodesk は、アーティストの作業フローを加速するため、以下の主要なクリエイティブツールに AI 機能を追加しました。
  • 新たにリリースされた Maya の ML デフォーマ は、複雑な変形システムを処理し、機械学習による高速近似を用いて表現することで、アーティストはインタラクティブにキャラクターを操作できます。アーティストはキャラクターにリアルタイムにポーズを設定し、より迅速に結果を出すことで、創造的な反復プロセスにより多くの時間を割くことができます。

 
  • Flame の Machine Learning Timewarp を使用することにより、スローモーションショット用のフレームを自動的に追加し、簡単に思い通りの動きを実現できます。さらに、Arnold(R) の新機能、Intel Denoiser では、ノイズ除去がこれまでより 10 倍から 20 倍も速くなります。
  • Golaem(※)は、群衆キャラクターに動きを指示して、3D の世界に配置することを可能にします。キャラクターが数人しかいないシーンでも、何十万もの群衆がいるシーンでも、アーティストは数分でショットを配置できるため、時間を節約できると同時に、予算やプロジェクトスケジュールの範囲内でできることが広がります。
(※) Mayaと統合され、主要なレンダラとの互換性があります

Wonder Studio へ AI機能を追加
Autodesk は、Wonder Studio の機能拡大にも取り組んでいます。Maya や Blender など既存のツールと AI を組み合わせることで、アーティストは CG キャラクターをドラッグアンドドロップでライブアクションシーンに配置したり、細かい処理や最終ショットのデリバリなど必要に応じて、エレメントを任意の 3D ソフトウェアにエクスポートすることが可能です。
Corridor Digital 社は、Wonder Studio をいち早く導入した独立系 VFX 制作会社です。カメラマン兼エディターであるディーン・ヒューズ氏は、次のように述べています。
「Wonder Studio のおかげで、アーティストがアーティストのままでいられます。退屈な作業はソフトウェアが担ってくれるので、クリエイティブな作業に集中できるのです」

先日サンディエゴで開催した、Autodesk University(AU) 2024で紹介した、Wonder Studio の新しく高度な AI 機能「Motion Prediction」は、キャラクターがテーブルや自転車などの物体に遮られて見えないときも、その動きを予測することができます。Motion Prediction が自然な動きを予測することで、キャラクターはブレやノイズの少ない自然なポーズが得られます。

デザイン・設計テクノロジーの向上を追求する科学者やエンジニア、業界の専門家で構成されている Autodesk Research(https://www.research.autodesk.com/ )は、AI ツールを利用してキャラクターに命を吹き込む新しい方法を開発しています。
たとえばニューラルモーション制御では、アニメーターがいくつかのキーフレームやニューラルネットワークを使用してキャラクターに動きを指示することで、その指示に基づいて自然で本物のような動きが生成されます。この新システムにより、アニメーターはこれまで通りの低レベル制御を維持しながら、作業時間を大幅に短縮できるので、人間(二足動物)であっても、クリーチャー(四足歩行)であっても、キャラクター固有の動作づくりに集中できます。

Autodesk Flow(R) で制作パイプラインを効率化 
Autodesk は、メディア&エンターテイメント業向けクラウドである Autodesk Flow(以下、Flow)(https://www.autodesk.com/jp/company/autodesk-platform/me )の開発に投資しています。これにより、初期のコンセプト段階から最終納品までの制作ライフサイクル全体で、ワークフロー、データ、チームを連携させることができます。Flow の中核は、現在も開発中の共通のデータモデルとアセット管理システムです。AU 2024 では、以下の Flow の新機能や強化機能を紹介しました。
  • Flow Generative Scheduling(https://area.autodesk.jp/column/tutorial/shotgrid-tips/03-generative-sheduling/:Flow Production Tracking ツールに追加された機能で、制作チームは、次のプロジェクトのスケジュール生成、変更へのリアルタイムな対応、複数のシナリオの比較、トレードオフの評価のほか、リソースに最適化したバランスのよいスケジュールを瞬時に作成できます。
  • Flow Animating in Context for Maya:ユーザーは、Maya 内の Flow Production Tracking ツールからカット内で作業をしたり、編集用シーケンスデータにアクセスしたりできます。ショットを前後のショットと比較できるため、クリエイティブの意図の把握、すばやい意思決定、連続性の改善がしやすくなります。


 
  • Flow Graph Engine API:開発者はクラウドで Bifrost グラフを実行したり、カスタム演算式を構築したり、設計プロセスを自動化、加速、拡張したり、重い処理をクラウドにオフロードしたりできます。さらに Flow Graph Engine API は Flow Retopology(Maya および 3ds Max 2025 で利用可能)にも利用されているので、アーティストは複雑なメッシュの準備作業をこれまで以上のすばやさでクラウドにオフロードできます。デジタルメディアや没入型コンテンツの制作に技術を導入することで変革的価値を生み出す支援をしている企業、DigitalFish 社は、すでに Flow Graph Engine API を活用しています。同社は、Apple の Vision OS を使用してオンセットのバーチャルプロダクション撮影をするための XR ワークフローを構築しています。このワークフローは、デジタルツインを制作するセットをスキャンするところから始まります。次に、Flow Graph Engine を使用してメッシュを作成し、VFX アーティストがデジタルツインに反応する 3D アセットや VFX シミュレーションを追加します。ディレクターはすべての視覚効果をクラウドでシミュレーションし、その視覚効果をシーンにどのように組み込むかについて詳細に指示します。それを受けて、アクターがパフォーマンスを調整したり、カメラマンが最適なカメラアングルを修正したり、クルー全体で 3D 要素を手直しすることが可能です。
  • Flow Capture は、カメラとクラウドを結ぶコラボレーションソリューションで、ユーザーエクスペリエンスを一変させます。メディアアセットを簡単に見つけてドラッグアンドドロップ機能で整理でき、わずか数クリックでコラボレーターの追加が可能になるなど、数々の新機能により、メディアの検索、アクセス、レビューすべてが 1 つの場所で完結します。
  • Flow Capture のカスタマイズ可能なホームページでは、PIX エグゼクティブのレビュー体験が向上します。この新しいホームページでは、アセットやフォルダー構造を PIX から Flow Capture に簡単に転送できるため、エグゼクティブは制作現場からのすべてのアップデートを一元化された場所でレビューできます。
  • Avid 内に Flow Capture Panel を追加することで、エディターと直接つながることができるようになります。エディターは簡単なドラッグアンドドロップ機能で映像を直接 Avid に移動し、カットやタイムラインを Flow Capture に戻すことが可能です。こうした統合により、編集用にデイリーをインポートする作業の効率性が大幅に向上しました。

AU 2024 は、以下の公式 HP にて無料のデジタルパスを取得のうえ、アーカイブをご視聴いただけます。
https://conferences.autodesk.com/flow/autodesk/au2024/web/page/passes

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