才能あるデザイナーやアーティストの発掘・支援・コラボレーションを目指した デザインとアートのコンペティション 「TOKYO MIDTOWN AWARD 2024」結果発表
受賞・入選作品展示 : 10月10日(木)~11月10日(日)
東京ミッドタウン(港区赤坂 / 事業者代表 三井不動産株式会社)は、“「JAPAN VALUE(新しい日本の価値・感性・才能)」を創造・結集し、世界に発信し続ける街”をコンセプトに掲げており、その一つのアクションとして、才能あるデザイナーやアーティストとの出会い、支援、コラボレーションを目指したデザインコンペとアートコンペの2部門にてアワードを開催しています。この度、計1,767点の応募作品の中からグランプリなど全14点の受賞・入選作品を決定いたしました。全14作品は、10月10日(木)~11月10日(日)まで、東京ミッドタウンのプラザB1メトロアベニューにて展示いたします。
デザインコンペ グランプリ
テーマ : とき(時)
グランプリ賞金 100万円
福田雄介
アートコンペ グランプリ
テーマ : 応募者が自由に設定
グランプリ賞金 100万円
さとうくみ子
TOKYO MIDTOWN AWARD 2024 デザインコンペ受賞作品一覧
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■グランプリ(1点)
受賞者:福田雄介
<作品コンセプト>
このトイ文具は、人の成長に合わせて役割を変化させることができるプロダクトで、乳幼児期には赤ちゃん用の『玩具』として、就学期以降からは学業等で必要となる『文具』として活用することができるといったものです。赤ちゃんの頃から使い続けたこの思い出の玩具は、時がたって姿形が変わっても、それまでの愛着や思い入れによってこれから先も長く大切に使い続けたくなるようなアプローチをした提案です。
■優秀賞(2点) ※今年度は2点になりました。
受賞者:nanka/川畑紗希、明石怜旺、児玉菜緒
<作品コンセプト>
画面越しのコミュニケーションが増えた今、別れはボタンひとつで完結する。しかし本来、人との別れ際はお互いの仕草や開いていく距離によって心に余韻を残すものだ。現代のインスタント化された別れの時に新たな余韻を提案する。
受賞者:若田勇輔、内山智義
<作品コンセプト>
人間にとって心地よいリズムは、心拍と同じリズムだと言われている。これは、自分の心拍のリズムにあわせて様々な音が発されるスピーカー。指を置くと脈拍が計測され、それと同じリズムで水の音、木魚の音、金属音など様々な音がスピーカーから流れる。目を閉じて、自分の中を流れる“とき”を静かに聞いてみよう。それが、自分と向き合う時間となるはずだ。
■ファイナリスト(5点) ※今年度は5点になりました。
作品名:《灯台と小さな天体》
入選者:一條遥貴
【写真上段中央】
作品名:《循環印》
入選者:小松崎慎梧
【写真上段右】
作品名:《MapCup》
入選者:中村 綾
【写真下段左】
作品名:《toki-shirube》
入選者:Baumkuchen/栗本真亜人・稲葉 巧・西門 亮
【写真下段右】
作品名:《ゆっくりドリル》
入選者:藤森朝子
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TOKYO MIDTOWN AWARD 2024 デザインコンペ審査員総評
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◆総括
「とき(時)」「モノからコトへ、コトからトキへ。――」というテーマと付随するステイトメントは、審査員と主催者の協議によりつくりあげていきました。社会においてデザインが担う領域がますます広がっている背景から、ジャンルレスなアワードであるというメッセージを前面に提示したこともあり、多様な作品案が集まりました。個人の体験を基に着想したアイデアや、パーソナルな問題解決を念頭に置いた作品案が、上位に残った印象です。二次審査では、模型の仕上がり、プレゼンテーションの質ともに高い水準にあり、現役クリエイターの製作力・提案力の強靭さを垣間見ることができました。また、審査員の鋭い質問に対し真摯に応えるプレゼンターの姿に心打たれる瞬間も多くありました。
◆審査員総評
・倉本 仁(プロダクトデザイナー)
プロダクト、グラフィック、空間からサービス提案に至るまで様々なジャンルの提案が一堂に会し、多種多様なアイデアが提案されました。「とき(時)」に対するアイデアも様々な視点をもとに展開されており、ジャンルと視点の二つが掛け合わさってかなりの総数の、発想・思想が集まっていたなという印象です。審査員から評価された応募作は特に素晴らしい提案力を持っており、ジャンルの違うそれぞれの審査員を一様に唸らせていたように感じました。注目を集め、しっかりと納得させられる力を持った作品がグランプリや優秀賞に選出されました。
・篠原ともえ (デザイナー/アーティスト)
私は審査時に、デザインだけではなく応募者の「想い」そのものを見つけ出そうとします。特にプレゼンテーションでは、長く続けてきたこと、または原体験に基づいたものづくりが垣間見えたとき、歓喜するのです。応募者の皆さん、是非今後も個性をデザインに活かし、自信を持って参加してください。これからもデザイナー自身の個性が光り社会へとつながるクリエーションに出会えますことを楽しみにしています。
・菅野 薫 (クリエーティブディレクター/クリエーティブテクノロジスト)
プレゼン力がある才能は、自分で社会に出ていく可能性が高い。むしろ「丁寧に観察して、色々考えているんだけど、それをうまく伝えられない人」を審査員が審査の過程で見つけて、議論して、世の中に出る手助けをするということが、アワードの最も重要な役割のひとつだと感じています。プレゼン力だけで勝って欲しくない。今回の受賞作に関しても、過剰に言語化したり自己言及していなかったですが、実際はディテールの作り込みがすごい。そういうアイデアと才能を選ぶことができて本当によかったと思っています。
・中村拓志 (建築家)
今年も生き方を問うような質の高い作品が揃った。金利や賃金労働といった時計仕掛けの社会構造故に、商品は消費者の時間の節約を目指す。我々は何か大切なことのために時間を貯めていたはずなのに、ただ安価な商品を使い捨て、分刻みの毎日が挨拶や余韻といった、人間のための「とき(時)」を圧縮していないか。そんな問題意識の作品の一方、現代の時間の価値観を超えた、長い時のデザインも社会変革として印象的だった。また、建築家としては、時間を空間と身体に結びつけ、いまここにしかない主観的な「とき(時)」の作品にも可能性を感じた。
・山田 遊 (バイヤー)
二次審査に進むにあたり、皆さんがとても頑張られて、短期間で大幅に完成度の上がった提案をされたことを、非常に好意的に捉えています。興味深かったのは「とき(時)」というテーマの影響か、それぞれの捉え方、個人の体験や記憶といったものが強く込められていたことです。パーソナルな想いを素直にぶつけてきてくれたことで、どの提案も審査員である我々を含む受け手のシンパシーに響くようなものでした。グランプリ、優秀賞、他のファイナリストの作品にも、それぞれ心当たりのあるような学びや気付きがあり、とても良い審査の時間でした。
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TOKYO MIDTOWN AWARD 2024 アートコンペ受賞作品一覧
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■グランプリ(1点)
受賞者:さとうくみ子
<作品コンセプト>
一周まわる。私が一つ車輪の立体作品「相棒」とそのケースを背負い歩き回る。適したところで相棒を取り出し、地点Aから出発しその場に戻るまでを記録する遊び。単純だからこそ、その場の事がよく見える。例えばこの場所、東京ミッドタウンはある人にとっては働く場所、ある人にとっては買い物する場所。いつでもどこでも自分事に没入でき、見たいように見られる世界で、相棒と一緒に一周まわると別のおもしろな世界が見えてくる。
■準グランプリ(1点)
受賞者:Sareena Sattapon
<作品コンセプト>
私たちは身近なものを忘れがちで、自己の感謝も忘れがちです。社会を動かす力として、労働者、企業の従業員、事業主など、皆で協力し、社会を前進させています。私たちは認められ、感謝されるべきです。この作品は、人々を代表するだけでなく、私たちを結びつける接着剤のような役割も果たします。タイの農村から東京のビジネス街まで、多様な人生の物語を通じて私たちを結びつけています。
■優秀賞(4点)
受賞者:大原 由
<作品コンセプト>
本作は「個人と作品のあいだにある距離」をテーマに、延々と読書と休憩を続けるパフォーマー、映像、書籍、来場者によって構成される。鑑賞行為には、それを行う個人と作品とのあいだに、常に先行して存在する鑑賞者が含まれているように思える。ここではそのような存在の集合である「鑑賞共同体」と呼べるものを視覚化し、鑑賞行為の過程に本作品のような空間が林立して、無限に列をなしているのではないかという推測を示す。
受賞者:何 梓羽
<作品コンセプト>
通信技術の進歩により、私たちの生活、社会関係は「いま·ここ」の外にも拡張され、リアリティを簡単にオンライン·オフラインで定義できなくなりました。この作品は、現代社会の静と動という象徴から造形要素を抽出し、虚構·平面空間で作られた立体物を現実空間で再構築する。鑑賞者に複数の時間軸の出来事を想像させ、虚構と現実に跨る「リアリティ」を捉えることが狙いです。
受賞者:まちだリな
<作品コンセプト>
幼少のまま大きくなった女の子がこちら側を覗いている。【あの子】はいつも赤のワンピースを着ている。【あの子】にとって東京は物語を見るための巨大な装置のようだった。ところがあるとき家族が死んだ。人が動かなくなる死の手触りとともに、【あの子】は赤のワンピースを着たことなど一度もなかったことに気付いていく。そうして、巨大な装置ではなくなった物質的雑踏と視線を交わし、物語は物語を保てなくなるだろう。
受賞者:R E M A
<作品コンセプト>
私にとって〈自分と向き合う〉とは「世界を見ない」という自己保護行為でした。抑圧も不自由もなく、嫌なことを避け、感傷的な時だけショッキングな映像を見るような都合のよさが私の現実です。私が芸術を通じて行う表現は、そんな都合のよさが結晶化した自己満足や自己陶酔の手段でしかないのかもしれません。この作品が現実を直視する鏡となるか、それとも単なる逃避の一形態に過ぎないのかを問いかけます。
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TOKYO MIDTOWN AWARD 2024 アートコンペ審査員総評
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◆総括
アートコンペでは、テーマは「応募者が自由に設定」とし、東京ミッドタウンを代表するパブリックスペースであるプラザB1を舞台に、場所を活かしたサイトスペシフィックな作品を募集。17回目となる今回は総計357作品の応募がありました。非常に完成度の高い作品が多く並ぶ中、最終的に選ばれたのは、これまで培ってきた自身の表現方法を、東京ミッドタウンというパブリックスペースでどのように見せるかこだわり、展示空間の細部まで工夫された作品でした。特に、どう来街者に自身の表現や作品コンセプトを届けるか自身の表現方法やテーマを掘り下げながら相違工夫をこらし、新たな表現に挑戦する作品が多く見られました。アワードを通じて、応募者それぞれが着実にステップアップしている様子も伺えました。
◆審査員総評
・金澤 韻(現代美術キュレーター)
パブリックな場所での展示、そしてたまたま通りかかるオーディエンスにも向けた作品を考えていく時に、ふだんの実践を曲げたり薄めたりせず、工夫をこらしてプランを練ってくださった方が何人もいました。パブリックアートと、美術館など専門施設における表現が接続していくような新しい扉を、参加者のみなさんが開けようとしているのを感じました。一方で、思考や技術、空間に対するセンスなど、ふだんから使ったり深めたり磨いたりしていなければやはり勝負には勝てないということも(当然といえば当然ですが)見えた審査でした。
・永山祐子(建築家)
二次審査からファイナリストに選ばれた6作品はどれもレベルが高い作品が並んだように思う。最終審査で実際に展示された作品は想像していたものとは違っていたり、想像を超えているものもあり、やはり現物を見て、より色々なことに気付かされた。このアワードの難しさは美術館とは違い、パブリック空間の中で通り過ぎる人々とどのようにコミュニケーションを取れるかということにある。最終的に評価された作品はそこが秀逸だった。またこの都市のど真ん中にどのような批評性を持ち込むかという点も評価の対象であったと思う。今回のパブリックにさらされる経験を通してさらにジャンプして欲しい。
・林 寿美(インディペンデント・キュレーター)
今年のファイナリスト6名の作品は力作揃いで、次世代作家たちの可能性を大いに感じるものばかりでした。コンセプトの強度、東京ミッドタウンという公共の場所での見せ方の工夫、自身の表現の作り込みなど、応募時のプランから大きく変わったものもありましたが、それぞれが審査員から投げかけた課題に対して真摯に取り組まれた結果であると思います。アーティストは同じ地点に留まってはいけないものです。みなさんの今後の作家活動のさらなる展開を楽しみにしています。
・ヤノベケンジ(現代美術作家/京都芸術大学教授/ウルトラファクトリー・ディレクター)
6作家全員が二次審査のプレゼンテーションからの作品の成長が大きく見られたので驚いている。全身全霊をかけて制作に取り組まれたであろう作品群の爽快なエネルギーに大きく心を揺さぶられた。グランプリを選ぶには悩ましい才能のぶつかり合いであった。
・脇田 玲(アーティスト/慶應義塾大学教授)
東京ミッドタウン(六本木)の地下一階は強い空間です。そこにインストールされる作品には街の力に負けない表現の強度、もしくは、場の構成要素を空気投げのように自らの魅力に取り込む吸引力が求められました。もし会場がホワイトキューブであったならば、選考結果は違うものになっていたことでしょう。グランプリと準グランプリに選考された作品には都市と個人(アーティスト)の関わり方がとてもクリアに表現されていたように感じます。私たちは都市を消費するだけの存在ではなく、もっと創造的に関与していくことができる存在なのです。
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TOKYO MIDTOWN AWARD とは
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TOKYO MIDTOWN AWARDは東京ミッドタウンが“「JAPAN VALUE(新しい日本の価値・感性・才能)」を創造・結集し、世界に発信し続ける街”をコンセプトに、才能あるデザイナーやアーティストとの出会い、支援、コラボレーションを目指して、デザインとアートの2部門で開催するコンペティションです。アイデアだけではなく、作品を生み出すことのできる「人」にもフォーカスするアワードへの進化を目指しています。17回目となった、TOKYO MIDTOWN AWARD 2024では、まず4月にアートを、5月にはデザインの募集を開始し、デザインの応募総数は計1,410点、アートの応募総数は計357点となりました。
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TOKYO MIDTOWN AWARDの受賞後支援
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東京ミッドタウンは、受賞者・入選者の成長を継続的に支援するとともに、コラボレーションの機会を創出していくことに努めています。デザインコンペでは、受賞作品の実現化サポートや、東京ミッドタウンの季節ごとのイベントにおいてデザイナーとして起用。アートコンペでは、東京ミッドタウンからの作品制作委託やワークショップ開催など活躍の場の創出を強化しています。
2024年2月から1年間の期間限定で、アーティストの新たな成長支援プログラムとして都市の隙間を空間メディアとして活用する「ソノ アイダ」とコラボレーションし、アーティストスタジオ「ソノ アイダ#TOKYO MIDTOWN AWARD」を実施しています。また、三井不動産株式会社が事業主として推進する「(仮称)日本橋本町一丁目3番計画」における新築工事用仮囲いにて、エリアの回遊や賑わいを創出する装飾プロジェクトに、受賞アーティストを紹介しました。
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展示情報
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【TOKYO MIDTOWN AWARD 2024 EXHIBITION】
期間:2024年10月10日(木)~11月10日(日)
受賞・入選した全14作品(デザインコンペのファイナリストを含む)を東京ミッドタウンのプラザB1メトロアベニューに展示します。
【東京ミッドタウン・オーディエンス賞】
期間中、来場者の一般人気投票を実施し、「東京ミッドタウン・オーディエンス賞」を決定します。結果は11月下旬にTOKYO MIDTOWN AWARD オフィシャルサイトにて発表します。
お寄せいただいた作品へのコメントは、クリエイターにも届けます。
また投票にご参加いただいた方には、プラザインフォメーションカウンターにてオリジナルステッカーをプレゼント。(数量限定)
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トロフィー
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TOKYO MIDTOWN AWARDでは、年度ごとにオリジナルのトロフィーを制作しています。
今年度のトロフィーはデザインコンペの審査員、篠原ともえさんがデザインした作品です。
【コンセプト】
「アイデアは一枚の紙から生まれる」
アイデアが思い浮かんだ時、初めに紙に描かれるシンプルな輪郭。それらは試行錯誤を経て具体的な形へと進化していきます。多くの時間と労力を費やし、思考を磨き続けることで最終的に洗練された完成品に至ります。本トロフィーは北陸復興支援への想いを込め、富山県高岡市の伝統工芸士・職人達と共に創りました。アイデアが形になる過程の象徴としてデザインしたこのトロフィーを、受賞者の皆さんへ敬意を込めて贈ります。
概要の詳細は公式サイトをご参照ください。
TOKYO MIDTOWN AWARD公式サイト
https://www.tokyo-midtown.com/jp/award/