商船三井参画のリトアニアおよびラトビアCO2バリューチェーン構築プロジェクトがEUのエネルギー政策・気候目標に貢献する事業(PCI)に認定

株式会社 商船三井

株式会社商船三井(代表取締役社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)が参画するリトアニアおよびラトビアのCO2回収・輸送プロジェクト(以下「当プロジェクト」)が、欧州委員会から「欧州連合(以下「EU」)のエネルギー政策・気候目標に貢献するEU域内の主要なエネルギー・インフラ事業'Project of Common Interest'(以下「PCI」)」(註1)に認定されました。

当プロジェクトは、当社、当社が出資するノルウェーの船舶管理会社Larvik Shipping AS(本社:ノルウェー・ラルビック、以下「LS社」)(註2)、リトアニアの国営ターミナルオペレーターKN Energies, AB(本社:リトアニア・クライペダ、以下「KN社」)、同国のセメントメーカーAkmenės cementas AB(本社:リトアニア・アクメネ、以下「Akmenės社」)およびラトビアの建築資材メーカーSCHWENK Latvija SIA(本社:ラトビア・リガ、以下「SCHWENK社」)の計5社で構成されるCCS Baltic Consortium(以下「当コンソーシアム」)が手がけるものです。

リトアニア・クライペダ港における液化CO2輸出インフラ構築を目的として、当社、LS社およびKN社が2021年に共同検討を開始(註3)。2022年よりAkmenės社およびSCHWENK社が加わり、リトアニアおよびラトビアの産業部門から排出されるCO2を回収し、陸上および海上で輸送し、地下に貯留するCarbon dioxide Capture and Storage(以下「CCS」)バリューチェーンの分析や実現可能性調査に取り組んでおり、2030年の操業開始を予定しています。

今回の選定でPCIまたはEU域内外を繋ぐ事業に与えられる'Project of Mutual Interest'(以下「PMI」)の認定を受けた計166件のうち、CO2輸送インフラプロジェクトは当プロジェクトを含めて計14件のみです。PCIおよびPMIの認定を受けることで、認定事業者だけが申請できるEUの財政措置であるConnecting Europe Facility(註4)を始めとした数多くの支援を得ることができます。
 
(当プロジェクト バリューチェーン)

現在、リトアニアおよびラトビアでは、自国でのCO2貯留が禁止されているため、両国の企業は自社のCO2排出量自体の削減だけで脱炭素目標を達成することが求められています。ゆえにCCSバリューチェーン構築の果たす役割は大きく、両国のエネルギー・気候目標達成への貢献が期待されています。

当社執行役員のSuryan Wirya-Simunovicは「これまでの取り組みがPCI認定という形で評価されたことを大変嬉しく思います。当社は海運会社として、また輸送によってCCSバリューチェーンを繋ぐ立場にある者として、当プロジェクトがバルト海沿岸地域ひいては広く欧州の脱炭素において重要な役割を果たせるよう、柔軟で持続可能なソリューションの提供に努めていきます。」とコメントしています。

Akmenės社CEOのArtūras Zarembaは「CCSは、我々セメントメーカーのような化石燃料から再生可能エネルギーへの速やかな移行が難しいセクターにとって特に重要です。CCSは最も技術的に進歩したソリューションの一つであり、セメント業界の脱炭素に大きく役立ちます。」とコメントしています。

KN社CEOのDarius Šilenskisは「当プロジェクトはバルト海沿岸地域で最も早く始まりましたが、他の欧州諸国では既にCO2回収が脱炭素実現の選択肢として有望視され調査も進んでいます。我々も当コンソーシアムのメンバーと協力しながら、持続可能なCCSバリューチェーンの構築およびEUのエネルギー・気候目標の達成に貢献します。この率先した取り組みは、より持続可能な未来を実現するKN社の貢献を表しています。」とコメントしています。

LS社Managing DirectorのEspen Tollevikは「当コンソーシアムの一員であることを誇りに思います。液化CO2船舶輸送を35年以上に渡り安全かつ確実に続けてきた実績と経験をもって、これからも当プロジェクトおよび地域のCO2排出事業者に貢献していきます。」とコメントしています。

SCHWENK社取締役会長のReinhold Schneiderは「CO2回収は、これからの10年間に向けて我々が取り組むべき重要事項の一つであり、主要な技術的課題であり、我々のような温室効果ガスの集約度が高い産業が持続可能性そして最終的には競争力を保つための前提条件です。CO2の処理と貯留を可能にすべく、我々はこの多量な温室効果ガスの扱いに長けた事業者たちと協力する必要があります。ゆえに我々は、インフラ構築や、バルト海沿岸地域で回収されたCO2の沖合への恒久的な貯留または処理施設への輸送を目指す当コンソーシアムの一員となっています。」とコメントしています。

(註1)欧州エネルギー市場の完成を目的とした重要なインフラ事業で、「2050年までに気候変動に中立な経済を追求しながら欧州全域に安全かつ入手・持続可能なエネルギーを供給する」というEUのエネルギー政策・気候目標の達成を支援します。PCIの選定基準は、2カ国以上のEU加盟国に国境を越えた経済的・社会的・環境的な便益をもたらすことなどが含まれます。
(註2)2021年3月19日付当社プレスリリース「ノルウェー Larvik Shipping社へ出資、液化CO2海上輸送事業へ参画」(https://www.mol.co.jp/pr/2021/21020.html)をご参照ください。
(註3)2021年5月27日付当社プレスリリース「リトアニアKlaipeda港における液化CO2輸出インフラストラクチャおよび水素生産プロジェクトの共同検討に関する覚書を締結」(https://www.mol.co.jp/pr/2021/21045.html)をご参照ください。
(註4)交通、エネルギーおよびデジタルの分野における欧州域内の接続性の向上を目的として2014年に設立されたEU基金で、プロジェクトの調査研究や実施費用に充てられます。エネルギー分野には2021-2027年で58.4億ユーロ(約9,800億円)の予算が割り当てられています。

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