大阪成蹊大学(大阪市東淀川区/学長 中村佳正)芸術学部の辰巳清准教授が所蔵するBOROコレクション(襤褸:日本の農村で江戸時代から昭和初期に使用されていたツギハギの野良着など)を使用した展覧会「 Art Without Heros: Mingei 」が、英国ロンドンのウイリアム・モリス・ギャラリーで開催されます。同展は世界有数のデザインイベントとして知られるロンドン・デザイン・フェスティバルの目玉のひとつです。今回辰巳准教授は、自身が所蔵する作品の提供と、展示監修、解説文の執筆を行いました。
ウイリアム・モリス・ギャラリー ホームページはこちら
https://www.wmgallery.org.uk/
<本件のポイント>
1. ウイリアム・モリス・ギャラリーは19世紀のアーツ・アンド・クラフツ運動主導者で「モダンデザインの父」と呼ばれる芸術家、ウイリアム・モリスの偉業を記念する英国営美術館。デザイン分野で世界的に権威ある美術館のひとつです。
2. 展覧会「 Art Without Heros: Mingei 」は、1920年代から1930年代に日本で発展した民芸運動に特化した英国史上最大の展覧会です。陶磁器、漆器、木竹工、染織など80点以上の美術工芸品や記録写真や映像が展示、上映されます。この展覧会では同ギャラリーの所蔵品以外に、欧州の美術館から多くの作品が貸し出されていますが、日本からの出品は辰巳准教授のコレクションのみが採用されました。
3. 辰巳准教授は、民俗学者田中忠三郎が収集したBOROコレクションを継承し所蔵。それらの作品を用いた展覧会は海外でも行われており、今回で9都市目の海外開催となります。2021年~2022年にスウェーデンで開催された「BORO - The Art of Necessity」は、同国の年間で最も優れた展覧会として、「エキシビション・オブ・ザ・イヤー2021 」を受賞。同准教授は今回の展覧会でも、コレクションの貸し出しのみならず、展覧会の監修や解説文の執筆を行いました。
<辰巳准教授のコメント>
2023年春に、以前から親交があった同ギャラリーのイングリスビー主席学芸員が来日して、今回の作品出品と展示監修、解説文執筆の依頼を受けました。BORO(襤褸)はこれまで日本では民芸(民衆的美術工芸)の中に位置付けられてきませんでしたが、「民芸を礼賛するだけでなく、客観的、批評的な観点から民芸運動を検証する展覧会としたい」との同学芸員の意向を受けて、依頼を快諾しました。
世界的にサステナビリティへの意識が高まる中「ツギハギの野良着は、自然災害が多く、天然資源が乏しい日本において、人々が困難に立ち向かい、克服してきた人間の真の力強さを象徴するアートである」と位置付けて、イングリスビーと私は共同で展覧会の監修を行いました。展覧会が鑑賞者の新たな気づきを得るきっかけになれば嬉しいです。
<参考:BOROコレクションに関する本学過去記事>
「エキシビション・オブ・ザ・イヤー2021 」を受賞 スウェーデンで開催された「BORO - The Art of Necessity」
https://univ.osaka-seikei.jp/news/1407
(2022/05/13 OSAKA SEIKEI TOPICS)
ボロ着物が、アートに BORO- THE ART OF NECESSITY
https://univ.osaka-seikei.jp/press/5
(2022/6/15 OSAKA SEIKEI PRESS 辰巳准教授インタビュー記事 )
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