PwC、第27回「世界CEO意識調査」の結果を発表

PwC Japanグループ

2024年1月16日
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PwC、第27回「世界CEO意識調査」の結果を発表
景気への前向きな見方は前年より倍増も、テクノロジーや気候変動の圧力の加速で
10年後に自社ビジネスは存続できないと考えるCEOが半数を占める
  • インフレやマクロ経済の変動性に対する懸念が薄れるにしたがい、経済成長見通しに関して前向きな見方をするCEOの割合が18%から38%に倍増
  • CEOの39%が、2024年に自社の従業員数が5%以上増えると回答
  • 一方、CEOの自信は強固なものではなく、半数近く(45%)のCEOが、自社のビジネスを変革しなければ10年後に存続できないと考えている(この割合は2023年の39%から増加)
  • CEOは今後3年間にわたり、テクノロジー、気候変動、他の複数のメガトレンドから、過去5年間に経験したもの以上に大きな圧力を受けると予想
  • CEOの40%が、気候変動に配慮した投資に対するリターンの低下を容認すると回答
  • CEOの70%が、生成AIは今後3年間で自社の価値創造の方法を大きく変えると回答    
※本プレスリリースは、2024年1月15日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先されます。
https://www.pwc.com/gx/en/news-room/press-releases/2024/economic-optimism-doubles-yet-almost-half-of-ceos-do-not-believe-their-businesses-will-be-viable-in-a-decade.html
 
PwCが世界105カ国・地域のCEO 4,702名を対象に実施した「第27回世界CEO意識調査」によると、今後12カ月間で世界の経済成長が回復すると考えるCEOの割合は、前年比で2倍以上となりました。同時に、テクノロジーや気候変動の圧力が加速する中、自社のビジネスの長期的な存続を懸念するCEOの割合は45%まで増加しました。

本調査によると、CEOの38%が今後12カ月間の世界経済の成長見通しについて前向きな見方であり、その割合は2023年の18%から20ポイント増加しました。インフレーションの変動性による目に見える影響がそれぞれ16ポイント低下(40%から24%へ)、マクロ経済の影響が7ポイント低下(31%から24%へ)したことから、CEOの景気減速見通しも昨年調査時の過去最高水準(73%)から45%まで後退しました。各地で紛争が続いているにもかかわらず、地政学的な対立リスクによる自社への影響が中程度あるいは大きいと感じているCEOの割合は7ポイント(25%から18%へ)低下しました。

世界のほとんどの地域のCEOは、国内経済の見通しについて悲観的よりも楽観的な見方をする可能性が高いと考えられます。しかし、北米と西欧のCEOはそのトレンドに逆行しており、西欧のCEOの32%が国内経済成長は改善すると予想する一方で、48%が減速すると考えています。また北米では、31%が改善を、52%が減速するとの見通しを示しています。 

CEOは今後12カ月間で自社の従業員を減らすのではなく増やす可能性が高いとみられ、CEOの39%が従業員を5%以上増やす見通しであると回答しています。どの地域の経営者も従業員を減らすよりも増やすとみられ、雇用に関しては中東が最も積極的です(65%のCEOが5%以上増やすと回答)。 

こうした趨勢は好材料ですが、生成AIに象徴される革新的テクノロジーや気候変動などのメガトレンドが収束している中で、CEOの自信は揺らいでいます。CEOの半数近く(45%)は、現在のやり方を続けた場合、自社のビジネスが10年後に存続できないと回答しており、その割合は2023年の39%から増加しています。メガトレンドへの対処方法に関する不確実性を反映して、CEOは今後12カ月間の自社の売上成長見通しに関し、昨年よりもやや自信を失っています(42%から37%に減少)。
 
PwCグローバル会長のボブ・モリッツ(Bob Moritz)は次のように述べています。

「ビジネスリーダーはマクロ経済の問題に関する懸念が薄れるにしたがい、自社の業界内の革新的要因に一段と注目するようになっています。グローバル経済について前向きな見方が強まっているにもかかわらず、実際に自社の売上見通しについては昨年よりも楽観的な見方が弱まっており、自社のビジネスの根本的な変革の必要性を痛感しています。生成AIの導入を加速させるにせよ、気候変動の課題や機会に対処するための自社ビジネスを構築するにせよ、今年は変革の年になります」

AIによる機会
CEOの圧倒的多数が生成AIを効率性、イノベーション、根本的な変化の原動力となる変革の起爆剤として捉えています。CEOの4分の3近く(70%)は、生成AIが今後3年間で、自社が価値を創造、提供、獲得する方法を大きく変えると考えています。

また、CEOはその短期的な影響についても楽観的です。今後12カ月間、CEOの5分の3近く(58%)は生成AIが自社の製品やサービスの質を向上させると考えており、ほぼ半数(48%)がステークホルダーとの信頼構築を強化すると回答しています。CEOは自社事業の業績向上も期待しており、41%が売上に、46%が収益性に好影響を与えると考えています。テクノロジー・メディア・通信セクターは収益への影響について最も明るい見方をしている一方(54%)、楽観的な見方をする割合が最も低かったのはエネルギー・公益事業・資源セクターでした(36%)。 

CEOは生成AIによる変革のメリットにより着目している一方、大多数は従業員のスキル向上が不可欠であると回答しています(69%)。また、それに伴う「サイバーセキュリティのリスク」(64%)、「事実と異なる情報の拡散」(52%)、「法的責任およびレピュテーションリスク」(46%)、「顧客や従業員の特定のグループに対する偏見」(34%)の増加についても懸念を示しています。 

CEOは気候変動の優先事項に関する取り組みの進展を回答
CEOが優先課題を設定する中、多くは気候変動をリスクだけではなく明らかなチャンスとなり得る、産業の創造的破壊をもたらす要素としても捉えています。CEOの3分の1近くは、気候変動が今後3年間で自社の価値の創造、提供、獲得方法を変えると考えており、同様の回答が25%未満だった過去5年間に比べ増加しました。

CEOは自社の決定を行動に移すべく前進しています。76%がエネルギー効率を改善するための施策について「進行中」あるいは「着手し、完了した」とした一方、58%が気候変動に配慮した新しい製品、サービス、技術の開発に関しても同様の進展があったと回答しています。

一方、気候変動リスクを財務計画へ反映させることについて「進行中」もしくは「着手し、完了した」と回答したCEOは45%だけでした(31%は「検討していない」と回答)。気候変動リスクの物理的な影響への対応策を実施している割合も47%にとどまりました(29%が「検討していない」と回答)。

本調査によると、脱炭素化への支持は大きく、取締役会や経営陣の不同意が脱炭素化に対する中程度または大きな障壁になっていると回答した割合は26%に過ぎませんでした。一方で、CEOは克服すべき最大の障壁として「規制の複雑さ」(54%)、「気候変動に配慮した投資に対する経済的リターンの低さ」(51%)を挙げています。CEOは経済的障壁に対処し始めており、4割が気候変動に配慮した投資の最低リターンについて、他の投資よりも低い(多くの場合、1~4ポイント低い)水準を受け入れていると回答しました。

変革の必要性
CEOはグローバル規模でビジネスに直面しているメガトレンドへ一段と意識を向けるようになっており、調査に回答したCEOは自社の長期的なビジネスの存続に関して懸念を強めていることが明らかになりました。CEOの半数近く(45%)は、自社のビジネスを変革せずに今後10年以上存続することはできないとの懸念を示しており、そのように回答した割合は2023年の39%から増加しました。特に本調査では小規模企業ほどリスクが大きいことを示しており、年間売上高が1億米ドル未満の企業のCEOの56%は、自社のビジネスが現在のやり方を変えなかった場合、10年以内に存続できなくなると考えています。年間売上高が250億米ドル以上の企業では、この割合は27%に減少します。 

CEOのほぼ全て(97%)が、過去5年間に自社の価値を創造、提供、獲得する方法を変えるために少なくとも複数の措置を講じており、CEOの4分の3超(76%)が自社のビジネスモデルに大きな影響、あるいは非常に大きな影響を与える措置を少なくとも1つ講じたと回答しています。

しかし、CEOは行動を起こしている一方で、数多くの課題に直面しています。CEOの3分の2(64%)は「規制環境」が自社のビジネスモデルの変革を少なくともある程度阻害していると回答しており、55%が「業務上の他の優先事項」による阻害、52%が「自社の従業員のスキル不足」を指摘しています。

さらにもう1つ障害となっているのは非効率性です。CEOは、意思決定を行う会議への出席からメールの処理に至るまで、自社の幅広い日常業務全体における多大な非効率性を認識しており、それらの業務に費やされる時間の約40%が非効率的であると考えています。PwCがこのような非効率性のコストを控えめに試算したところ、生産性に10兆米ドルの負担を自ら課しているに等しいことが分かりました。

PwCグローバル会長のボブ・モリッツ(Bob Moritz)は次のように締めくくっています。

「今年のデータはCEOの先行きの不透明感の強さを示していますが、CEOは行動を起こしています。彼らは自社のビジネスモデルを変革しており、テクノロジーや自社の従業員に投資を行い、気候変動がもたらすリスクを管理し機会を活かしています。企業が短期的そして長期的に繫栄して、信頼を構築し、持続的かつ長期的な価値を提供するためには、変革のペースを加速させる必要があります」
 
以上 

<調査について>
「第27回世界CEO意識調査」<オリジナルレポート(英語) https://www.pwc.com/gx/en/issues/c-suite-insights/ceo-survey.html >は、2023年10月2日から11月10日にかけて実施し、世界105カ国・地域の4,702名のCEOから回答を得ました。本調査におけるグローバルおよび地域の数値は、調査対象国・地域の世界の名目GDPに占める割合に基づいて加重されており、全主要国・地域でのCEOの見解が公平に反映されるように算出されています。業界別および国別の数値は4,702名のCEOの全サンプルの加重していないデータに基づいています。調査結果の全文はPwCのウェブサイトにてご覧いただけます。これまで実施してきたCEOへのインタビューについては https://www.strategy-business.com/inside-the-mind-of-the-ceo でご覧いただけます。

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