【東芝インフラシステムズ】阪急電鉄新型車両向け電気品納入開始について
東芝インフラシステムズ株式会社
-3.3kV All-SiC素子採用のPMSM駆動システムなど最新システムを採用-
当社は、阪急電鉄株式会社(以下、阪急電鉄)の新型車両において、電気品の納入を開始しました。新型車両は2024年夏より順次運転が開始されます。
今回受注したのは、阪急電鉄の新型車両2000系車両の全閉型永久磁石同期電動機(以下、全閉PMSM)(注1)と All-SiC(シリコンカーバイド)素子(注2)を適用したVVVFインバータ装置(注3)を組み合わせた駆動システム、及び2000系、2300系車両の車両情報制御システム (TCMS)、主幹制御器、空調装置です。
当社は、今後も鉄道車両用の機器およびシステムの開発を進め、安全性と利便性の追求に加え、個々の鉄道事業者のカーボンニュートラルに貢献する鉄道システムを展開していきます。
■主な特徴
駆動システム
VVVFインバータ装置の素子として、従来のSi(シリコン)素子に代わり、高温での動作が可能で、導通損失とスイッチング損失が少ないAll-SiC素子を4in1VVVFインバータ装置(注4)に採用しています。今回、All-SiC素子を採用した4in1パワーユニットを新たに開発し、従来比約10%の小型化を実現しました。さらにAll-SiC素子適用4in1VVVFインバータ装置に適した全閉PMSMを開発し、組み合わせることにより、阪急電鉄1000系で採用いただいている従来のSi素子を用いたPMSM駆動システムと比べてさらなる省エネ効果が期待されます。
車両情報制御システム
車両情報制御システム(TCMS)は、力行(注5)・ブレーキ指令を含めて各種機器の制御及びモニタリングを行う制御・モニタ系と、車内案内表示や防犯カメラ等のサービス機器の制御を行う情報系のネットワークから構成されます。このうち制御・モニタ系は幹線及び支線を2重化することで信頼性を高めています。さらに車上機器の情報をビッグデータとして地上のクラウドサーバに送信、蓄積することで、様々な業務の効率化につなげることを目指しています。TCMSは阪急電鉄として初の採用となります。
主幹制御器
鉄道車両の走行(力行、ブレーキ)制御を行う主幹制御器に、阪急電鉄として初となる無接点方式が採用されました。従来の有接点方式と比べ、無接点方式はカム機構が無いため装置の小型・軽量化、保守の省力化を実現しています。
空調装置
阪急電鉄向けとして初めてインバータ方式の空調装置が採用されました。インバータ制御により従来のON/OFF制御と比較してよりきめ細やかな制御が可能です。また、制御情報や温度情報、運行情報などを機器に蓄積して学習することにより、季節や時間帯、停車する頻度などに応じた空調制御ができるよう研究を進めてまいります。
注1 永久磁石同期電動機:Permanent Magnet Synchronous Motor
注2 半導体スイッチ及び逆並列ダイオードの両方が炭化ケイ素(SiC)で構成される素子
注3 可変電圧可変周波数:Variable Voltage Variable Frequency
注4 1台の冷却器に対して4つのインバータ回路を配置した装置
注5 電力の供給を受けて車両が加速する状態
*東芝インフラシステムズ株式会社は株式会社東芝の100%子会社です。