GEキャピタルと日経リサーチ 日本の中堅企業に関する共同調査結果を発表

GEキャピタル・日経リサーチ

国内景況の先行きに慎重、成長への課題は人材の確保と育成

GEキャピタル(東京都港区)と日経リサーチ(東京都千代田区)は、日本の中堅企業を対象とした共同調査を実施し、その結果を発表しました。 この調査は、年間売上高が10億から1,000億円の企業を中堅企業と定義しています。この層の企業は、日本企業の従業員総数の約2割、総売上高の約4割を占めるなど、日本の経済成長に欠かせない存在でありながら、世間の注目は大企業と中小・零細企業に奪われ、調査や研究の対象になることも少ないのが現状です。 今回の調査は、中堅企業の現状やそれら企業を取り巻く課題や機会を検証することを目的に、2014年3月に実施しました。調査報告書には、GEキャピタルが米国で実施した調査結果を用いた、経営者意識の日米比較も含まれます。 調査報告書の要旨は以下の通りです。 <要旨>※図表はPDFを参照 日本企業の総数に占める中堅企業の数は約2%。しかし、そこで働く従業員総数は全体の約2割、総売上高は約4割と、非常に大きな位置を占めている。 中堅企業の多くは、国内外の経済環境は好転しつつあると認識しているが、将来的な見通しについては慎重である。 既存事業の維持・拡大が最大の成長戦略と考えているが、厳しい国内需要動向や価格競争に直面し、増収の継続に難しさを感じている。成長のカギを握るのは人材であると考え、優秀な人材の確保と育成を重視しているが、その実現には大きな困難が立ちはだかっている。市場や競合としての「海外」も意識せざるを得ないが、そこでも課題は人材である。 一方で、資金繰りには楽観的で、消費税改定も大きな問題にはならなかったとする企業が多い。規模により違いはあるが、攻めの成長戦略を採用する企業も多く、他社との連携や買収など、他社の力も利用しようという戦略が見える。設備投資も総じて増加傾向である。 ■ 世界経済と日本経済は改善、しかし日本経済の見通しは厳しい。 世界経済と日本経済の景況については、概ね良好とみており、特に日本経済に対しては6割が「良くなった」もしくは「やや良くなった」と回答している。一方で、アジア経済に対する良好との見方は3割にとどまり、世界経済や日本経済に比べて厳しい。 日本経済の今後1年の見通しでは、2割の中堅企業が現在よりも悪くなるとしており、先行きを慎重にとらえている。 ■ 人材の確保・育成と増収の継続を困難視。資金面は楽観的。 優秀な人材を確保し、育成し、自社に引き留めることを重視しているが、同時にもっとも難しい課題であると考えている。8割超の企業が、人材育成・教育を成長戦略の実現へ向けた課題とし、少しでも資金があれば人材に費やしたいとの声もみられる。また、増収を維持することを困難視する企業が多い。 反対に、資金の調達については8割超の中堅企業が問題ないと考えている。経済の好調を受けてか、資金調達については楽観的な見方が広がっているようだ。 ■ 既存事業の維持・拡大で成長を目指す。他社の力も利用する積極戦略も。 7割強の企業が、既存事業の維持・拡大を成長戦略と考え、新規事業の開拓は2割にとどまっている。成長戦略を実現する方法として、4割が既存製品・サービスの向上や拡大としている。 しかし、設備投資や画期的な新製品・サービスの開発、他社との連携・事業交流をあげる積極的な企業も4割存在しており、他社の力も利用しようという戦略が見える。設備投資も総じて増加傾向である。 ■ 国内市場の新規開拓を重視も、競争の高まりが足かせに。海外展開に積極的なのは3割。 国内で新たに市場を広げることを重視するが、国内での競争の高まりへの対応が大きな課題であると考えている。 海外展開を行っている企業は3割強にとどまる。しかし、海外展開している企業の約4割は、2014年度の売上に占める海外市場の割合が前年度比で増加するとみている。 ■ 消費税引き上げが原価抑制を困難に。価格転嫁は比較的容易。 半数以上の企業が、消費税引き上げの結果、原価の抑制が困難になったと回答した。一方で、増税分を価格に転嫁することについては、容易との回答が困難をわずかに上回り、増税が引き起こした最大の問題は原価面にあるとの認識が示された。 3割の企業は2014年度上半期の経営に影響はないとみているが、売上減少と利益減少を予測する企業もそれぞれ3割存在する。 ■ 米国企業最大の懸案は社会保険コスト。増収を継続させることは日米双方で大きな課題。 日本と米国の中堅企業に同じ質問をして得られた回答を基にまとめた日米比較では、日米経営者の意識の違いが浮き彫りになった。経営上もっとも大きな課題として、日本企業が優秀な人材の確保・育成を挙げたのに対し、米国では社会保険に関するコストを問題視する声が圧倒的であった。増収を継続させることは、日米企業共通で困難視している。 日本企業は「買収」「情報技術」「金融商品への投資」への関心が米国企業より低い一方、「教育・訓練」「人材採用」への関心は高い。「少しでも資金があったら、どのように利用するか」を尋ねたところ、日米ともに「手元資金として保持」と「設備投資」がトップであった。

株式会社日経リサーチが保有する企業データベースより、売上高10億円以上1,000億円以下の株式会社、有限会社、合名・合資・合同会社10,000社を抽出し、郵送調査を実施した。調査期間は2014年3月3日から3月24日。有効回答は1,023社だった。

本調査の企業属性については本編で触れている通りだが、各企業の回答者は社長、CEO、COOが28%、その他の役員が34%で、これらの会社役員が回答者全体の6割超を占めている。

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