ポーラ美術館、メアリー・カサット《劇場にて》を新収蔵
当館コレクション2点目となる印象派の女性の画家による代表作を7月12日(水)より初公開
ポーラ美術館(神奈川県・箱根町)は、印象派の女性の画家メアリー・カサットによるパステル画《劇場にて》を新たに収蔵しました。パリのオペラ座で繰り広げられた近代生活の一幕が活写された作品を、7月12日(水)より初めて公開いたします。メアリー・カサット《劇場にて》1878-1879年頃
ポーラ美術館は、近代から現代までの作家による優れた作品の収集・展示に取り組んでいます。今回のカサットによる作品の新収蔵は、2022年に収蔵したベルト・モリゾの作品に続くものであり、当館のコレクションにおいて核となる印象派絵画に、女性の画家による優品が新たに加わります。
■新収蔵作品について
女性や子どもの機微を鋭く捉えたメアリー・カサット(1844-1926)は、19世紀後半におけるパリの画壇で前衛の画家として活躍した数少ないアメリカ人の女性の画家です。1874年よりパリに定住し、1877年の第3回印象派展にドガの紹介で初めて参加して以降、大胆な構図、日本の版画の非対称性や高いところから見おろす視点、近代生活の主題を取り入れた絵画表現を追究し、高い評価を獲得しました。
1870年代後半に制作された本作品は、印象派が取り上げた近代生活の主題であるパリのオペラ座を描いたシリーズの1点であり、関連する作品がワシントン・ナショナル・ギャラリーやボストン美術館などに収蔵されています。
劇場は、同時代におけるパリの近代生活を描く主題としてしばしば取り上げられ、ドガ、マネらも劇場をモティーフとした絵画を制作しています。桟敷席に座っている女性の後ろには鏡があり、シャンデリアをはじめとする劇場の情景は、その鏡に映し出されたものとして描写されています。観客の描かれていない鏡像としての情景は抽象的に表現されているいっぽう、女性の表情やアクセサリーははっきりと描かれています。また、モデルの上半身を覆うように描かれた装飾的な扇が、画面に華やかな彩りをもたらしています。
本作品は、カサットが印象派として活躍した1870年代の特徴を示す、彼女の代表作の一点です。
■今回の展示について
新収蔵となる本作品をはじめとして、モリゾ、モネ、ルノワールといったポーラ美術館の西洋絵画コレクションを展示します。加えて、リヒターなど近年新収蔵した現代の作品を通じ、コレクションのひろがりをご覧いただけます。
「ポーラ美術館コレクション選」
会場:ポーラ美術館 展示室4、5
会期:2023年7月12日(水)―12月3日(日)
※展示替えに伴い、7月3日(月)から7月11日(火)までは臨時休館、
7月12日(水)から7月14日(金)は常設展示室(展示室4、5)のみ開館いたします。
■同時開催展
「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで」
会期:2023年7月15日(土)―12月3日(日)
会場:ポーラ美術館 展示室1、2、3、アトリウム ギャラリー
主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
会場構成:中川エリカ建築設計事務所
おもな出品作家:横山大観、川端龍子、レオナール・フジタ(藤田嗣治)、杉山寧、東山魁夷、加山又造、マコトフジムラ、三瀬夏之介、谷保玲奈、吉澤舞子、野口哲哉、深堀隆介、
天野喜孝、杉本博司ほか
展覧会HP:https://www.polamuseum.or.jp/sp/shinjapanesepainting/
■ポーラ美術館について
2002 年に「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに神奈川県箱根町に開館。印象派から20世紀にかけての西洋絵画を中心としたコレクションを核とする展覧会を開催する一方で、現代美術の第一線で活躍する作家たちの作品も展示し、同時代の表現へと展望を拡げている。富士箱根伊豆国立公園という立地を生かした森の遊歩道では四季折々の豊かな自然を楽しめる。
開館時間︓午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館⽇︓会期中無休 ※悪天候による臨時休館あり
所在地︓神奈川県⾜柄下郡箱根町仙⽯原⼩塚⼭ 1285
TEL︓0460-84-2111
入館料:大人¥1,800/シニア割引(65歳以上)¥1,600/大学・高校生¥1,300/中学生以下無料/障害者手帳をお持ちのご本人及び付添者(1名まで)¥1,000
※すべて税込 団体割引、各種前売券による割引あり
公式サイト:https://www.polamuseum.or.jp/