世界初、人肌並みに柔らかい樹脂による3Dプリント量産技術を確立

キョーラク株式会社

医療・介護・ファッション・スポーツ分野への応用可能
技術実装第一弾としてワコールと乳房を手術された方のパッドを共同開発

プラスチック製品成形メーカーのキョーラク株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:長瀬孝充、以下「キョーラク」)は、人肌並みに柔らかい軟質素材による3Dプリント成形品の量産技術確立に、世界で初めて成功しました。この技術実装第一弾として、株式会社ワコールの乳房を手術された方のためのブランド「ワコール リマンマ」と共同開発し、この技術をインナーウェアの分野で初めて商品[ぷるるんメッシュパッド]に活用しました。
 
 
2つの技術を組み合わせ、世界初、人肌並みに柔らかい素材による3Dプリント成形品を量産
キョーラクでは、3Dプリント技術の製造への適用を目指して様々な技術開発を行っています。今回確立した製造方法である「軟質樹脂によるメタマテリアル3Dプリント技術」は、これまで3Dプリントでの使用は不可能と考えられていた「ショアA硬度0」の軟質樹脂による3Dプリント製造技術の世界初の確立(※1)と、成形品の内部構造を緻密にデザインすることでこれまでにない材料特性を引き出す「メタマテリアル」設計技術(※2)を組み合わせることで実現しました。

第一弾として乳房を手術された方のパッドを共同開発。今後も医療、介護、スポーツなど、多分野での製品実装へ
今回、技術の製品実装の第一弾として、女性のからだに関するデータ収集をおこない、人間科学の知見を持つワコールと、「ワコール リマンマ」史上最も通気性の高いインナーパッド[ぷるるんメッシュパッド]を共同開発しました。本商品は、2023年3月よりワコールから販売開始されました。インナーパッドの製造において「軟質樹脂によるメタマテリアル3Dプリント技術」の活用により、「柔らかさ」と「通気性」を両立し、これまでの素材の課題であった「パッド着用時の蒸れ」を軽減、より快適な付け心地が実現されています。
今後もこの3Dプリント量産技術の、医療分野(車いす等)・介護(介護ベッド等)・スポーツ(インソール等)への応用・実装を図ることで、既存の課題を解決する製品の実現を目指します。

※1 「ショアA硬度0」の軟質樹脂による3Dプリント製造技術
-軟質樹脂の3Dプリント技術の確立により、不可能だった特性の製品を実現可能-

素材の硬さの単位「ショアA」における「硬度0」は人肌並みの柔らかさであり、「ショアA硬度0」の軟質材料は人に優しい素材としてヘルスケア領域で注目されています。一方でその柔らかさがゆえにこれまでは3Dプリント使用は不可能であり、複雑な加工が難しいとされてきました。
今回キョーラクは、100年以上のプラスチック成形の技術力を生かして、「ショアA硬度0」の軟質樹脂を、世界で初めて3Dプリントで安定的に使用する技術を確立しました。3Dプリントの使用により、3Dメタマテリアル構造を付与するなど軟質材料に対しても複雑な加工が可能になります。結果、[ぷるるんメッシュパッド]の様な通気性と柔らかさの両立など、これまで不可能だった製品の特徴を生み出す設計・構造を追求できるようになります。
また、環境面においても、既存の成形方法では製品ラインナップ毎の金型製作や、製造工程での発生する材料廃棄などが発生していましたが、3Dプリント技術ではこれらの無駄を限りなく省くことが出来るため、モデルチェンジの際にかかるコスト・リードタイムを抑えられるだけでなく、環境にやさしい製造方法となります。
 
※2 メタマテリアル設計技術
メタマテリアル技術とは、素材に緻密な構造を付与することによって、その素材自体では発現しない機能の付加や、素材が本来持つ性能を向上させることが出来る技術の総称です。今回の製品においてはメタマテリアル技術を用いて軟質樹脂に3Dメタマテリアル構造を付与することにより、自然なバストに近い触感と、通気性を両立する特殊構造を、株式会社ワコールの乳房を手術された方のためのブランド「ワコール リマンマ」と共同開発しました。
目的とする用途に合わせた最適な設計を行うことで、素材の持つ性能をより引き出すことが出来るメタマテリアル技術を、キョーラクは次世代のモノづくりにおける重要技術と捉え、今後も研究開発・メタマテリアル技術を活かした製品開発を行って参ります。
 

3Dプリントの品質管理について
3Dプリント技術を量産最終製品として適用する場合の品質管理については、世界的に見てもまだまだ課題が多く、信頼性のある量産体制を構築することはハードルが高いのが現状です。キョーラクは、これまで自動車部品、食品包装分野の製品製造で培ってきた実績のある品質管理体制により、今回の製品の量産立ち上げを行うことが出来ました。

株式会社ワコールおよび「ワコール リマンマ」について
ワコールは、「世の女性に美しくなって貰う事によって広く社会に寄与する」事を目標とし、インナーウェア(主に婦人のファンデーション、ランジェリー、ナイトウェア及びリトルインナー)を中心に、アウターウェア、スポーツウェアなどの繊維製品および関連製品の製造から販売までを一貫して管理する「製造小売業」です。
 「ワコール リマンマ」は、乳房を手術されたお客様に快適な生活を送っていただくためのお手伝いをという想いをこめて、乳がん等で乳房を手術された方にむけてのパッドやブラジャーをはじめとするインナーウェアのブランドです。
<ワコール 公式ウェブサイト>
https://www.wacoal.jp/
<ワコール リマンマ 公式ウェブサイト>
https://www.wacoal.jp/remamma/

キョーラク株式会社について
キョーラクは創業100年以上の歴史をもつプラスチック成形の総合企業です。食品・医療・自動車・住宅等、多くの分野で得た知見や特許を応用し、当社独自の3Dプリンタ製造工法を活用し新製品開発を行いました。今後も多様なニーズや課題の解決にお応えして「つくりたい」をかたちにします。
これらの技術を活用した製品開発に興味をお持ちの企業様からのご連絡をお待ちしております。

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