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芝浦工業大学(東京都港区/学長:山田純)生命科学科・福井浩二教授らの研究チームは、海洋深層水由来のバランスウォーターを継続的に飲用することで多くの健康効果が期待できることを発見しました。
ミネラルは生物にとって必要不可欠ですが、ミネラルを多く含む高硬度水の連続摂取は、逆に身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。本研究では、ミネラル効果を得るための継続的摂取に最適な硬度の検討を行いました。
※この研究成果は、「Nutrients」誌に掲載されています。
■ポイント
・海洋深層水には、認識機能の向上や中性脂肪・血糖値の改善など有益な効果がある
・適切なミネラルを継続的に摂取することで健康を維持できる可能性がある
・海洋深層水由来のバランスウォーターを継続的に飲用する場合は硬度200あるいは300が最適である
■研究の背景
海洋にはカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどが豊富に含まれており、これらは生物にとって必要不可欠なミネラルです。近年、海洋深層水には、肥満解消、心血管系疾患のリスク低減、血圧低下などの有益な効果があることが示唆されていますが、詳細なメカニズムは明らかになっていません。また、ミネラルを多く含んでいても硬度が高すぎる水では、同時にナトリウムイオン濃度も高くなってしまうなどの理由から日常的な摂取には適さず、身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。そこで、本研究では海洋深層水由来のバランスウォーターの効果と適切な硬度を決定することを試みました。
■研究の概要
高知県室戸市沖で採取した海洋深層水からミネラル成分のみを抽出し、硬度の異なる水飲料(バランスウォーター)(硬度レベル:200、300、500)を作製しました。この海洋深層水由来のバランスウォーターを肥満マウスに2か月間投与し、認知・協調機能、さらには血液・生化学的パラメータへの影響を評価しました。マウスには高脂肪食を与え、海洋深層水由来のバランスウォーターを与えなかった対象マウスとの比較を行いました。
実験から、どの硬度の海洋深層水由来のバランスウォーターにおいても、マウスに抗肥満効果は観察できませんでしたが、非投与マウスと比較して認知機能や協調機能が有意に改善されたことを確認しました。
さらに、海洋深層水由来のバランスウォーターを投与したマウスでは、尿素窒素、無機リン、アミラーゼ、グルコースなどの血清パラメータが、非投与マウスに比べ有意に減少しており、腎機能の改善・維持に有効である可能性も示されました。硬度レベル300の海洋深層水由来のバランスウォーターの定性分析では、マグネシウムとカリウムが、それぞれ水道水をろ過した場合の11倍や7倍と高く、更に多数の微量ミネラルも含まれていることが判明しました。しかしこの際、ナトリウムの濃度は2.5倍しか上昇しておらず、また血清レベルでは非添加群と比較しても上昇していませんでした。
(海洋深層水由来を飲料として利用し、含まれる多種類のミネラルを摂取するには、ナトリウムイオン濃度を低く保つことが重要です。ナトリウムの過剰摂取は、糖尿病、高血圧、心血管疾患の高リスク因子であることがよく知られています。)
■今後の展望
本研究では、硬度レベル(200、300、500)の異なる海洋深層水由来のバランスウォーターを肥満マウスに与えることで学習能力の改善や、血中の腎機能パラメータのみならず中性脂肪や血糖値の有意な低下などの効果も確認しました。
実験結果より、海洋深層水由来のバランスウォーターを継続的に摂取する場合には、硬度200、あるいは300が最適であることを確認しました。近年、生活習慣の変化によりミネラルの摂取が不十分となっています。適度なミネラルを含む飲料の継続的な摂取は、適切な健康を維持するのに役立つと考えられます。
■共同研究商品に関して
芝浦工業大学とダイドー・タケナカビバレッジ株式会社(高知県室戸市/代表取締役社長:竹中浩貢)との共同開発商品で、2022年6月17日に発売される「室戸301バランスウォーター」は、海洋深層水本来のカルシウムとマグネシウムのバランスを保っています。
■論文情報
・著者:
芝浦工業大学システム理工学部生命科学科教授 福井 浩二
ダイドー・タケナカビバレッジ株式会社 竹中 浩貢
芝浦工業大学システム工学部生命科学科奨励研究員 加藤 優吾
芝浦工業大学SIT総合研究所客員研究員 河野 雅弘
・論文名: Effect of Extract-Added Water Derived from Deep-Sea Water with Different Hardness on Cognitive Function, Motor Ability and Serum Indexes of Obese Mice
・掲載誌: Nutrients
・DOI:
https://doi.org/10.3390/nu14091794
▼本件に関する問い合わせ先
芝浦工業大学 広報連携推進部企画広報課 担当:植本
住所:〒108-8548 東京都港区芝浦3-9-14
TEL:03-6722-2900
メール:koho@ow.shibaura-it.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/