昭和大学らの共同研究チームが、全国の保険薬局のレセプトコンピューターに保存されている調剤データを用い、抗菌薬の処方動向を明らかに -- 保険薬局薬剤師による薬剤耐性(AMR)対策に活用

昭和大学

京都薬科大学の村木優一教授、昭和大学薬学部の前田真之准教授、および日本薬剤師会の共同研究グループは、全国2638の保険薬局のレセプトコンピューター(診療報酬明細書作成システム)に保存されている調剤データから抗菌薬処方動向を、新規指標を用いて明らかにしました。これにより、薬局単位あるいは地域における薬剤耐性(AMR)対策のためのデータ収集・評価方法が構築され、我が国の抗菌薬使用の大半を占める外来における抗菌薬使用状況に基づいたAMR対策の推進が期待されます。この研究成果は科学雑誌『Antibiotics』(impact factor:4.639)に掲載されました。  薬剤耐性菌の増加と広がりは世界的な問題となっており、2019年には全世界で120万人以上が薬剤耐性菌による感染症で死亡したと推定されています。世界各国でその対策が求められており、日本では2016年に薬剤耐性(AMR)アクションプランが作成され、抗菌薬使用量および薬剤耐性菌の減少が目標として設定されています。AMR対策における重要な取り組みの一つは、抗菌薬使用動向を適切に把握・評価し、対策につなげることです。抗菌薬の過剰使用や不適切な使用を減少させて耐性菌の発生を抑えることにより、耐性菌による感染症の疾病負荷(死亡や障害など)を減少させることが目標となります。  本邦では、経口抗菌薬の使用が大半を占めており、その外来処方の多くは保険薬局の薬剤師が調剤を行っていることから、保険薬局における抗菌薬使用の評価方法の確立が重要となります。今回、京都薬科大学、昭和大学、日本薬剤師会の研究チームは、全国の保険薬局のレセプトコンピューター(診療報酬明細書作成システム)に保存されている調剤データを用いて抗菌薬の使用量を収集し、新規指標としてDPM(defined daily doses/1000 prescription/month)を確立することによって、本邦では初めて保険薬局データに基づく抗菌薬処方動向を明らかにしました。これにより薬局単位あるいは地域におけるAMR対策のためのデータ収集・評価が可能となり、保険薬局薬剤師による抗菌薬使用状況に基づいたAMR対策の推進が期待されます。  本研究成果は科学雑誌『Antibiotics』(impact factor:4.639)に掲載されました(添付資料により全文をご覧いただけます)。 <雑誌名>  Antibiotics (impact factor 2020: 4.639) <論文名>  Exploration of Trends in Antimicrobial Use and Their Determinants Based on Dispensing Information Collected from Pharmacies throughout Japan: A First Report <著者名>  Yuichi Muraki, Masayuki Maeda, Ryo Inose, Koki Yoshimura, Naoki Onizuka, Masao Takahashi, Eiji Kawakami, Yoshiaki Shikamura, Naotaka Son, Makoto Iwashita, Manabu Suzuki, Masayuki Yokoi, Hirokazu Horikoshi, Yasuaki Aoki, Michiyo Kawana, Miwako Kamei, Hajime Hashiba and Choichiro Miyazaki. <DOI>  https://doi.org/10.3390/antibiotics11050682 ▼本件に関する問い合わせ先  昭和大学 薬学部 臨床薬学講座 感染制御薬学部門 准教授 前田 真之  TEL: 03-3784-8594  E-mail: m-maeda@pharm.showa-u.ac.jp  京都薬科大学 臨床薬剤疫学分野 教授 村木 優一  TEL: 075-595-4794  E-mail: y-muraki@mb.kyoto-phu.ac.jp ▼本件リリース元  学校法人 昭和大学 総務部総務課 大学広報係  TEL: 03-3784-8059  E-mail: press@ofc.showa-u.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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