総務省実証事業「新型コロナからの経済復興に向けたローカル5Gを活用したイチゴ栽培の知能化・自動化の実現※1」にむけた実証事業の実施について
1.実証概要
・背景
高齢化・人口減少社会を迎えて脆弱化が懸念される国内食料生産基盤の強靱化を図るため、スマート農業による超省力化技術の社会実装を加速し、生産性・利益の向上、また、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、農業生産現場においても3密の回避・人手依存の作業体系からの脱却など、「新しい生活様式」に対応した農作業のリモート化が望まれています※3。
本実証事業では、これらの課題の解決にむけて自走ロボット搭載4Kカメラ等による高精細映像による情報の収集、ローカル5Gを用いた安定・高速通信環境を介した大容量データの伝送伝搬、AIによるイチゴの熟度や病害検知、顧客誘導を駆使し就農稼働の削減とコロナ対策にむけた3密回避による収益増加の実現を目指します。
・主な実証内容
本実証事業はローカル5Gのより柔軟な運用の実現にむけて「技術実証」と「課題実証」の2つのテーマを取り組んでまいります。
▼技術実証
様々な分野における利用用途や利用環境で柔軟にローカル5Gシステムを構築できるようローカル5Gシステムのエリア構築に関する技術の確立と、他システムとの干渉調整を柔軟にするためローカル5Gの適切な技術基準等の改定や低廉な機器の普及に資する検討を行います。
(1)電波伝搬モデルの精緻化
(2)電波反射板によるエリア構築の柔軟化
(3)準同期TDDの追加パターンの開発
▼課題実証
本実証ではローカル5Gによる安定した高速大容量通信、ロボット、AIなどの最先端技術を活用した「観光農園現場の見える化」による生産性の高い「稼げる農業」の実現に向け、以下3点の実証を実施します。
(1)イチゴの病害検知
(2)イチゴの熟度別数量把握
(3)密検知・顧客誘導
図1 実証イメージ
2.実証期間
2021年11月2日~2022年3月25日
※本実証事業終了後は、構築したローカル5Gシステムを活用し、2021年度から2022年度で実証している農林水産省『スマート農業加速化実証プロジェクト(ローカル5G)』(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)と連携し課題実証作業に取り組んでまいります。
3.実証スケジュール
・システム構築は2021年12月下旬頃の完了予定です。
・技術実証において電波特性試験等を実施します。2022年1月下旬頃の作業完了を予定しております。
・課題実証では、ローカル5GやAI等システムを運用し、イチゴの熟度・数量把握による来園者誘導を
行います。2022年2月中旬頃までを予定しております。
表1 実証スケジュール
4.現場模様
2021年11月よりシステム構築作業を実施しております。
現場における関連機器の設置模様をご紹介いたします。
5.コンソーシアム構成メンバーの役割
6.本事業に期待される効果
本実証では、ローカル5G環境の構築技術、効率的な運用、反射板を利用した柔軟な電波到達エリアの展開の確立により、ローカル5Gの普及・促進を目指します。
また、ロボット等を用いたAI分析による品質の安定化、病害の早期発見による生産性の向上、熟度適期を把握した来園者誘導により、就農負担の削減、収益拡大を目指します。
これらを通じローカル5Gならびにスマート農業の社会実装化を目指します。
7.その他
【関係報道資料】
・総務省
令和3年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に係る実証提案の公募の結果
(2021年8月31日)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000304.html
・株式会社三菱総合研究所
GO!5G 5G活用モデルの創出(2021/10/11)実証試験概要・報告書
https://go5g.go.jp/
※1:本実証事業は、農林水産省『スマート農業加速化実証プロジェクト(ローカル5G)』(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)と連携し実証を行います。
※2:実証コンソーシアム構成団体は下記の11社となります。
NTT東日本、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、日本コムシス株式会社、株式会社いちご畑、GINZ
AFARM株式会社、埼玉県大里農林振興センター、深谷市、花園農業協同組合、株式会社NTTアグリテクノ
ロジー、株式会社武蔵野銀行、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
※3:地元自治体である埼玉県大里農林振興センター及び深谷市、生産者である株式会社いちご畑、農業と食品産業の研究機関である国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構へのヒアリング並びに一般ユーザへのアンケート調査(約250名)を行っております。