アリババグループ、2021年7-9月期の決算を発表。売上高が前年比29%増
2022会計年度第2四半期のグループの売上高は、前年同期比29%増の2,006億9,000万元(人民元、以下同様)(約3兆6,000億円)に達しました。 これは主に中国小売事業の売上高の成長(2020年10月に合併したサンアート・リテールを含む)およびクラウドコンピューティング事業の収益成長によるものです。サンアート・リテール株式会社(以下「サンアート・リテール」)統合の影響を考慮しない場合、グループの年間売上高は前年比16%増の1,804億3,800万元(約3兆2,000億円)となります。
アリババグループ会長兼CEO ダニエル・チャン(張勇)のコメント
「当期において、アリババグループは内需、グローバリゼーション、クラウドコンピューティングの3つの戦略への投資を継続し、グループの長期的持続可能な発展のための強固な基盤を築きました。 アリババのエコシステムは、全世界で約12億4,000万人のアクティブな消費者に達し、今期で6,200万人の純増となり、全世界で20億人の消費者にサービスを提供するという長期目標の達成に向けて順調に進んでいます。」
アリババグループ最高財務責任者(CFO)マギー・ウー(武衛)のコメント
「多角化された事業の業績に牽引されて、グループは当期29%の収益成長を成し遂げました。当期も戦略的投資を継続し、これらの重要な分野で大幅な成長を達成しました。」
株の買い戻し計画では、今期に約2,690万株の米国預託株式(香港証券取引所における約2億1,490万株の普通株)を約51億4,750万米ドル(約5,900億円)で買い戻しました。2021年9月30日現在のグループの現金、現金同等物及び短期投資額は4,434億2,800万元(約7兆9,000億円)です。
当期の純利益(非GAAPベース)は前年比39%減の285億2,400万元(約5100億円)となり、希薄化後米国預託株式(ADS)1株当たり利益(非GAAPベース)は前年比38%減の11.20元(約200円)となりました。調整後EBITDA(非GAAPベース)は前年比27%減の348億4,000万元(約6,200億円)となりました。調整後EBITA(非GAAPベース)は、前年比32%減の280億3,300万元(約5,000億円)となりました。前年比より減少しているのは、主にタオバオの特価版モバイルアプリである淘特(タオター)、地域密着型生活関連サービスを提供するローカルサービス事業、社区内で小規模ニューリテール店舗を展開するコミュニティ(社区)コマース事業、東南アジアのeコマースプラットフォームであるLazada(ラザダ) など、着実な事業成長を示している分野への戦略的投資およびマーチャントへのグループとしての支援によるものです。主要戦略分野への投資額は、前年同期比125億7,500万元(約2,240億円)増加しました。これらの投資の影響を除くと、グループのコマースの収益は前年同期比で横ばいとなります。
現在のマクロ経済状況および競争環境に対するグループの不確実性に基づいて、当社は2022会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)の総売上高ガイダンスを修正し、前年比20%から23%の成長を見込んでいます。
当期、コマース事業の売上高は、前年比31%増の1,711億7,000万元(約3兆円)で、中国小売事業の売上高は、前年比33%増の1,268億2700万元(約2兆2,600億円)となりました。2020年10月1日から2021年9月30日までのアリババエコシステムの世界の年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)は約12億4,000万人で、2020年7月1日から2021年6月30日までの1年間と比較して約6,200万人増加しました。そのうち9億5,300万人は中国市場から、2億8,500万人は中国国外市場からのコンシューマーが含まれています。当期でそれぞれ4,100万人、2,000万人が増加しました。2020年10月1日から2021年9月30日までの一年間で、アリババグループの中国小売市場及びニューリテール事業における年間アクティブ・ユーザー数は約8億6,300万人に達しました。ニューリテール事業は、主にコミュニティ(社区)コマース事業、盒馬(フーマー)、天猫スーパー、サンアート・リテール、淘鮮達で構成されています。
当グループは、豊富なFMCG(一般消費財)の供給により消費者の多様なニーズを満たすことで、中国国内の新興地域市場への進出を引き続き強化していきます。当期、淘特はグループのコミュニティ(社区)コマース事業を通じてより高品質でコストパフォーマンスの高い製品、食品と飲料を消費者に提供し、物流コストを削減し、新興地域の消費者に対する物流サービスを向上させることでさらに多くのユーザーを獲得しています。2020年10月1日から2021年9月30日までの1年間で、淘特(タオター)の年間アクティブ・コンシューマー数は2億4,000万人を突破し、新興地域からの新規顧客の割合も増加し続けています。
ニューリテール事業において、拡大を続けるデジタルサプライチェーンと多様なフルフィルメントサービスに基づき、当グループはマルチモデルによるニューリテール事業を確立しました。グループのコミュニティ(社区)コマースは、新興地域でのサービス提供範囲を拡大し続けています。また、サンアート・リテール の小売サプライチェーンを活用し、品質保持期限の短い生鮮食品を含め、一般消費財(FMCG)及び日用雑貨などのカテゴリーにおいて、高い現地調達能力とサプライチェーン能力を通じてカスタマーエクスペリエンス を向上させて急成長を遂げ、当四半期におけるGMV(流通総額)は前期比150%以上増加しました。
越境及びグローバル小売・卸売事業には、主にLazada(ラザダ)、AliExpress(アリエクスプレス)、Trendyol及びDarazなどが含まれます。当期越境及びグローバル小売 ・卸売事業は共に力強い成長を遂げ、総売上は前年同期比34%増の150億9,200万元(約2,700億円)となりました。
当四半期、東南アジアのeコマースプラットフォームであるLazada(ラザダ)の注文数は前年同期比で82%の増加となり、過去7四半期連続でユーザーアクセス頻度が向上しています。主な理由は、ローカル及びグローバルの両面からの製品の供給種類が増加し、ユーザー粘着性(ユーザー・スティッキネス)が向上したことによるものです。同時に、トルコ最大のeコマースプラットフォームであるTrendyolのローカルサービス及びウォレットビジネスは急速に成長しています。当四半期、Trendyolはトルコ市場で主導的な地位を維持し、GMV(流通総額)は前年同期比80%(同じ為替レートに基づく)以上の力強い成長を遂げています。
クラウドコンピューティング事業の当期の売上高は、前年同期比33%増の200億700万元(約3,560億円)で、初めて200億元の水準を突破しました。これは主にインターネット、金融サービス、及び小売業界の顧客収益の力強い成長によるものです。アリババクラウドの優位性は独自開発のテクノロジーにあり、グループはより多様な新製品を顧客やパートナーに提供するため研究開発に取り組んでいます。
当四半期に、アリババグループは自社データセンター用の自社開発サーバーチップ「倚天(Yitian)710」、および業界唯一の大規模リモートダイレクトデータアクセスを搭載し、コンピューティングパフォーマンスを30%向上させることができる「第4世代X-Dragonアーキテクチャ」をリリースしました。アリババクラウドの新しいオペレーティングシステム「龍蜥(Anolis OS)」は、オペレーティングシステムベンダーとオープンソースコミュニティを通じてサービスを提供します。将来、アリババクラウドはアリババグループのビジネスパートナーに技術・サービスサポートを提供するために、20億元(約356億円)を投資する予定です。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の当期の売上高は、前年同期比20%増の98億4,600万元(約1,750億円)となりました。収益の増加は主にグループ内で急成長している越境及びグローバル小売事業において完了注文数が増加したことによるものです。当四半期末の時点で、グループの越境eコマースビジネスをサポートするために、300万平方メートル以上の倉庫を運営し、引き続き国際的な物流インフラを強化しています。さらに、ツァイニャオは消費者の購買体験を向上させるために、AliExpress(アリエクスプレス)が運営するヨーロッパ4か国でセルフピックアップサービスの拡大を実施しています。2021年9月30日の時点で、ツァイニャオの農村ステーションは中国本土の新興地域の1,000以上の県と鎮をカバーしており、その1日あたりの処理荷物量は前年同期比で280%以上増加しています。
ローカルサービス事業の当期売上高は前年同期比8%増の95億1,300万元(約1,700億円)となりました。デリバリーサービスプラットフォームであるウーラマ(餓了麼)は、顧客獲得及びユーザー体験の向上のための投資拡大を続けており、年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)は前年同期比28%増の強力な成長を遂げています。注文数は前年同期比30%以上の増加となっており、非飲食店からの注文率も増えました。これは新規マーチャントが急増し、顧客浸透率が向上したことによるものです。特に日用品やヘルスケア商品での注文数増加が顕著でした。
デジタルメディア及びエンターテインメント事業の当期の売上高は 80億8,100万元(約1,440億円)となりました。当期におけるヨウク(Youku)の1日平均有料会員数の規模は、前年比14%増となりました。これは主に良質なコンテンツと、88VIPメンバーシッププランによる継続的な貢献によるものです。アリババ・ピクチャーズはコンテンツの投入と配信の面で着実に業績を上げ続けました。アリババ・ピクチャーズは、10月の大型連休に中国で興行成績上位となったほとんどの映画の制作・配給に携わりました。
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※本原稿は、2021年11月18日に発表されたアリババグループ本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。
※日本円は1人民元=17.8円、1ドル=114.3円のレートで換算しています(11月時点)、日本円数値はあくまでも参考です。
※アリババグループの2022会計年度は、2021年4月1日から2022年3月31日までの期間です
■アリババグループとは
アリババグループのミッションは、『あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる(To make it easy to do business anywhere)』です。アリババグループは未来のビジネスインフラを構築し、102 年(3 世紀)以上 続く良い企業を目指しています。