徳島文理大学の葛原隆教授らが「新型コロナウイルスの核殻タンパク質は試験管内にてヒトのヒストンアセチル化酵素によってアセチル化される」という研究成果を発表

徳島文理大学

徳島文理大学薬学部薬学科(徳島県徳島市)葛原隆教授の研究室は、熊本大学薬学部の増田豪助教、大槻純男教授らとの共同研究によって、ヒトのヒストンアセチル化酵素であるGCN5とPCAFが、試験管内においてSARSと新型コロナウイルスの核殻タンパク質(NP)をアセチル化することを発見した。今回の発見は、新規な作用点を標的とした新型コロナウイルスに対する創薬に結びつく可能性がある。なお、この研究成果は今年6月11日刊行の学術誌『Biochemical and Biophysical Research Communications』に発表された。  現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が世界中で猛威をふるっており、世界で2億2千万人が感染し、457万人が亡くなっている。日本でも159万人が感染し、1万6千人もの人が亡くなっている。経済・医療・教育など我々の社会活動全般に与える打撃も深刻であり、新型コロナウイルスの増殖制御のメカニズムを解明することは人類にとって極めて重要な課題である。  葛原研究室では、インフルエンザウイルスやエボラウイルスにおいて、ヒトのヒストンアセチル化酵素がウイルスのタンパク質をアセチル化し、その活性を制御することを見いだしてきた。そこで、2002年にパンデミックを起こしたSARSと今回の新型コロナウイルスの「機能的ヒストン様タンパク質」である核殻タンパク質(NP)においても、ヒトのヒストンアセチル化酵素が作用すると考えて研究を行った。  その結果、ヒトのヒストンアセチル化酵素であるGCN5とPCAFが、試験管内においてSARSと新型コロナウイルスの核殻タンパク質(NP)をアセチル化することを発見した。  一方、別のヒストンアセチル化酵素であるCBPはアセチル化する活性はみられなかった。質量分析解析により、そのアセチル化部位は、NP内のRNA結合領域や膜タンパク質相互作用領域中にあると分かった。そのことから、新型コロナウイルスのNPのアセチル化は、NPの機能の制御に関わると考えられる。  今回の葛原教授らの発見は、新規な作用点を標的とした新型コロナウイルスに対する創薬に結びつく可能性がある。  なお、この研究は2021年6月11日刊行の学術誌『Biochemical and Biophysical Research Communications』に発表された。 【論文名】In-vitro acetylation of SARS-CoV and SARS-CoV-2 nucleocapsid proteins by human PCAF and GCN5 【学術雑誌】Biochemical and Biophysical Research Communications 557 (2021)273-279. 【研究者】 ・徳島文理大学薬学部薬学科:葛原隆教授、畠山大准教授、三木涼輔(学部5年生) ・熊本大学薬学部:増田豪助教、大槻純男教授(共同研究) 【URL】 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0006291X21005933 ▼本件に関する問い合わせ先 徳島文理大学 薬学部 薬学科 葛原隆 教授 住所:徳島市山城町西浜傍示180 TEL:088-602-8477 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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