日本国内でも需要が高まりつつある、ツーバイフォーの木造倉庫
徳島県のダイリFPCではLVLトラスを活用した大空間で木造倉庫の可能性を追求
カナダ林産品の普及活動を行う非営利業界団体カナダウッドの日本事務所、カナダウッドジャパン(所在地:東京都港区、代表:ショーン・ローラー)より、日本国内のツーバイフォー工法(枠組壁工法)による木造倉庫の事例をご紹介します。住宅部材の製造販を手掛けている株式会社ダイリFPC(所在地:徳島県徳島市、代表取締役社長:小濱 孝彦、旧社名:大利木材株式会社、以下:ダイリFPC)では、自社倉庫にツーバイフォー工法を採用しています。木材利用が盛んな北米においては倉庫を木造で建設する事例が多く見受けられますが、日本では未だ鉄骨造が一般的です。しかし昨今、日本国内でも木造倉庫の需要が高まっています。
カナダ林産業審議会(COFI)日本事務所が2020年11月に発表した市場調査報告書「Beyond Housing:A Market Analysis of Timber Opportunities in Japanese Non-Residential Construction(日本の非住宅建設における木材の市場機会の分析)」では、日本国内で最も木材利用の成長が見込めるのは運輸・物流、製造、卸売および小売用の建築物で、これらを合わせた未開拓市場では木材使用量が年間50万立方メートル以上も増加する可能性があり、特に倉庫や輸送・物流施設は魅力的な成長機会を有していると分析しています。
延床面積約700平方メートルのダイリFPC倉庫は、ダグラスファーのLVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)を用いたトラスを採用することで強度を確保し、19メートル×36メートルという大空間を柱なしで実現しています。また、木構造には定格荷重2.8トンの移動式クレーンを設置し、倉庫としての機能性も兼ね備えています。外観とは対照的に倉庫内には木造の可能性を追求した工夫が凝らされており、小濱社長は、「あえて外からは工法が分からないようにすることで、誰もが(ツーバイフォー工法の木造倉庫に)取り組みやすいイメージができるのでは」と話します。
倉庫の建設にツーバイフォー工法を採用した理由としては、「鉄骨造に比べてコストパフォーマンスが高く、工期も短縮できます。鉄骨造の倉庫だと中が冬は寒くて夏は暑いという状態になってしまいますが、木造は断熱性が高いので快適性があり、労働環境も大きく改善されます」と小濱社長。また、台風の多い地域だからこそ、高い強度を確保できるのもメリットであるとし、「ツーバイフォーは骨組みだけでなく面で建物全体の強度を保つので、災害にも強い倉庫ができる」点も挙げています。
ツーバイフォーの木造倉庫に確かな手応えを感じている小濱社長は、ツーバイフォー材について「規格サイズを限定することで、資源を有効活用できる非常に合理的な技術。誰でも簡単に性能を発揮させることができるのも魅力です」と評価。なお、倉庫のスタッドにはカナダ産のSPFディメンションランバー、そして壁面にはOSBを使用しています。SPFは長尺材でも安定的な供給が可能で、同様にOSBにも安定供給の実績があり、入手しやすく扱いやすいというメリットがあります。
一方で、ツーバイフォーが北米から持ち込まれた技術であるが故の課題はあったと言います。「日本はなかなか新しいものを受け付けない傾向があるように思い、当初はツーバイフォーに対する偏見も見受けられました。古来の工法だから、国産材だから良いという意見も確かにあるかもしれませんが、技術的な話とは別だと捉えています。木材を生かすも殺すも、結局はその建築に適した使い方次第だと思います」と語っています。
カナダウッドジャパンでは、今後も木造建築に関わる革新的な技術の研究開発をすすめ、日本国内における木材の利用機会拡大を促進するべく、木造倉庫を含む非住宅建築・大規模建築の木造化をはじめとした木造建築の普及活動に引き続き取り組んでいきます。
- ご紹介動画「ツーバイフォーの倉庫と工場」
https://www.youtube.com/watch?v=ZY1oX90xTi0