『 感動創出企業レター ~感動をビジネスに~ 』 Vol.08
ポジティブドリームパーソンズは、感動創出企業として、ホテル、レストラン、ウェディング、バンケット、フラワー、コンサルティングの6事業の全てのサービスにおいて、お客様に“感動”を与えることを価値としています。このような独自のサービスを提供する従業員(メンバー)には、日々質の高いサービスを提供する精神力とビジネスマンとしての資質が求められます。平均年齢31歳という若いメンバーの意欲を引き出し、成長を促すための制度とその仕組みとは何か?感動創出企業レター第8号となる今回は、サービス業界では導入が難しいとも言われるMBOの考え方を取り入れたポジティブドリームパーソンズの評価制度についてご紹介します。
◆“ピラミッド型の目標設定”を支える、企業理念という考え方
ポジティブドリームパーソンズ(以下PDP)の評価制度をご紹介する前に、従業員(以下、メンバー)の高い意識を支える企業理念「PDP WAY」についてご説明をします。本紙前号(第7号)でもご紹介したこの「PDP WAY」は、メンバー一人ひとりの行動指針であり、常に歩むべき道しるべとして存在しています。経営チームがメンバーに対して行う約束【FIELDの提供】、メンバーの在り方の定義【ISMの体現】、そしてメンバー同士の在り方の定義【ARMの体現】という3つの要素で構成されており、この明確な指針がメンバー一人ひとりに浸透することで個々の判断が求められるサービスの現場で一貫した感動を提供できるのです。この“企業理念の浸透”が、本号でご説明をするPDPの評価制度の運用に非常に重要な役割を担っていると考えています。
PDPでは、MBO:Management by Objectives(目標管理)という方法を評価制度として取り入れています。MBOとは、評価をする側の上司と評価をされる側の部下とが合意のもとで目標を設定し、その後に達成度合いを評価する方法のことを指しています。
PDPでは、MBO運用の考え方に“ピラミッド型の目標設定”を取り入れています。まずは、企業のトップ、置き換えれば企業としての目標が決定され、その目標が経営チームである各事業の担当役員に振り分けられます。そして、担当役員に振り分けられた目標はその部下である各事業のミドルマネージメント層、つまりゼネラルマネージャー(GM:部長職)とその部下にあたるユニットマネージャー(UM:課長職)に振り分けられ、より具体化されたものがその部下であるメンバーの目標として設定されていくことになります。企業において一般的な構図であると考えられる“ピラミッド型の目標設定”ですが、多くは企業としての意向が一方的に従業員に落とされ、従業員一人ひとりは目の前の業務の意図や達成による効果を把握しないまま仕事をするという事が多く発生するのではないでしょうか。PDPのMBO制度は、メンバーが企業の考え方を理解した上で、上長と徹底的に目線を合わせてから目標設定を行います。そのため、メンバーと経営との目標に“ブレ”が発生することなく、最前線で働くメンバーにまで経営の意図が理解され、メンバーは自身の仕事が企業の運営に直結していることを実感できるのです。
◆個人の役割に合わせたスピーディで適切な評価が成長を促す
一般的に日本の企業の評価サイクルは半年や一年が一般的と言われる中、PDPでは四半期を1サイクルで評価します。これは、刻一刻と変化するマーケットや事業環境に対してよりスピードを持った対応をするための仕組みであり、メンバーは自らの仕事における中長期的なビジョンに沿って、周囲の変化に適宜対応した短期的かつ明確な目標を常に掲げられるのです。ここで設定する目標のレベルは、メンバー個人の成長の度合いに応じて異なります。PDPでは、メンバーの目標は個人の役割レベルに応じて設定されます。
メンバーは、まず個人の資質や希望する働き方に合わせて正社員、契約社員、ユース(時給制の働き方)という3コースの選択肢が与えられ、それぞれのコースに「ステージ」それに期待される役割レベルが定義されています。そのため、メンバーは自身のステージに見合った明確な目標を設定することが可能となります。さらに、この「ステージ」は複数の「ステップ」に段階分けされ、役割レベルの達成度合いに応じて半年毎に評価会議にかけられ、役員による承認のもとステップが上下します。このステップの変化は、報酬面にも反映されステージ給と呼ばれる基本給与にも反映をされます。
また、PDPでは、四半期ごとに2つの指標で「仕事の成果」と、「役割レベルの定義に応じた達成度合い」、「会社への貢献度合い」を評価する仕組みが設けられています。それら指標のひとつが「パフォーマンス評価」です。これは、仕事における成果が評価基準となり、具体的かつ定量的な目標設定が求められる指標です。もう一つの「ロールプレイ評価」は、役割レベルの体現度合いを評価基準とします。つまり、各ステージで定義される役割をどのような意欲と過程で達成できたかという、より定性的なものです。それぞれの指標を組み合わせた達成度は100点を通常ラインとした120満点で数値化され、独自の算出方法による段階評価に置き換えられます。
この結果、メンバーは自身の成果に応じた四半期ごとのボーナス(クォーター賞与)を受け取ることができる仕組みです。この仕組みを高い精度で運用することで、メンバーの仕事に対する方針に一貫性が生まれ、上司は部下に対してより具体的なマネージメントを実施しやすくなります。具体的には、メンバーは仕事をノルマとしてではなく目標として捉えるようになります。つまり、ノルマとは自分の意思とは別に他者に与えられた課題であり、目標とは自身のために自らが設定した課題です。このように、仕事を自分ごととして捉えられれば当然仕事の質は向上し、明確な評価基準が設定されることで自身の課題を明確化することが出来、結果的に上司は部下の成長を促すことができるのです。
◆企業理念の浸透がMBO成立のカギ
以上までにPDPが取り入れる評価制度の仕組みとその考え方をご説明しましたが、MBOは、一般的に繰り返しの業務が多く完結した結果や成果が数値に表しにくいサービス業等の職種には受け入れられにくいと言われることも事実です。その理由は、一般的に経験からくる感覚や個人の感性がパフォーマンスに反映されると考えられているサービスの現場では、個人のパフォーマンスのレベルを狭い集団の中で区分けし辛く、評価が非常に難しいと考えられているためです。そのような背景の中、PDPにおいてこの制度の運用が可能な理由には、本号の冒頭でご説明した”企業理念の浸透“があげられます。各組織を構成する要素とも言えるメンバー一人ひとりに、企業の考え方の基礎となる企業理念が浸透しているからこそ、各部門の目標と企業の目標が一致しMBOの考え方が成立するのではないかと捉えています。
【株式会社ポジティブドリームパーソンズ 会社概要】
1997年7月、有限会社ポジティブとして創業。2001年10月、株式会社ポジティブドリームパーソンズへ商号変更。代表取締役杉元崇将 。「感動で満ちあふれる日本を創ってゆく。」を企業ビジョンとし、ホテル・レストラン・ウェディング・バンケット・フラワー・コンサルティングの6つの事業を展開している。本社を東京・恵比寿に置き、東京、神奈川、兵庫、広島、福岡、長崎に直営施設を展開する。また2011年には、海外進出の第一号として、韓国にフラワーショップを出店。2013年5月現在、従業員数は約515名。
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株式会社ポジティブドリームパーソンズ 担当:金井
TEL/ 03-5720-7880 FAX/ 03-5704-8674